心理学・行動経済学

【他人の意見が全て】社会的証明の原理とは?大衆を動かす力をビジネスに生かす方法を解説

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社会的証明の原理とは?

社会的証明の原理(social proof)とは、何が正しいかを判断するとき、自分で考えるのではなく、他人が何を正しいと考えているかを基準に判断する傾向のことです。

社会で多くの人が行動しているということは、状況証拠的にその行動は正しいと判断できます。つまり「何が正しいかは、社会が証明している」ということです。

社会的証明の原理は、より多くの人々が同じ行動を取るほど、その行動が正しいという証明が強化されていきます。支持する人が多ければ多いほど、より確固たる証明になるのです。

結婚した男性の方がモテるのはよくある話。既に他の女性が選んだという事実が、その男性の魅力の社会的証明として機能するからです。

一昔前は、男性も女性も適齢期を過ぎて結婚していないと、白い目で見られていました。これも社会的証明によって説明できる現象です。

信じたくないかもしれませんが、現代人は、自分の頭で下したと思っている判断の多くが、実際には他人の判断を追随しているだけなのです。

あなたはきっと、Amazonや楽天で、レビューがたくさんついている商品を買おうとするでしょう。あなたの判断は、他人の判断によって支配されているのです。

他人の行動だけを判断基準にし、自分では一切考えない人は五万といます。社会的証明の原理は、それほどまでに人間の行動を左右する強力な作用なのです。

社会的証明が発動する2つの条件

人間は1日のうちに、大小35,000回の意思決定をしていると言われています。この中で、かなりの数は他人の判断に従っていると考えられますが、そうではない意思決定も多数含まれています。

どんなシーンで社会的証明の原理が発動するのか。その条件を見ていきましょう。

条件①:不確かな状況であること

まず他人の振り見て我がふりを決めるのは、どの行動を取るのが正しいかわからない不確かな状況です。

初めて入るレストラン、それも海外のお店だったらどうでしょう?

どのメニューがおいしいかはわかりません。またクセが強く、現地の人以外は好んで食べないメニュー(日本で言うところの納豆やホヤなど)もあるでしょう。

そんなときは、お店の人に「外国人に人気のメニューはなんですか?」と聞けば良いのです。十中八九ベターなメニューを選べるはずです。

逆に確信を持って正解の行動を選べるシーンでは、社会的証明は不要です。

行きつけの居酒屋でメニューを選ぶ際、あなたは既に好みのメニューを知っています。他所の注文に聞き耳を立てる必要はありません。

条件②:自分と似た属性の人が行動していること

もう一つの条件は、自分に近い属性の人がその行動を取っているかということです。

あなたが大学の新入生だったとしましょう。まだ校舎の位置関係がわかっておらず、次の講義が行われる教室がどこだかわかりません。

この場合、別の学部の学生の後を追うのは得策ではありません。

少なくとも同じ学部の学生でなければなりません。また上級生よりも、同じ新入生の方が、同じような講義を取っている可能性が高いと考えられます。

後を追うべきは、同じ学部で同じく新入生と思われる人です。

似たような境遇の人が取る行動が、あなたの行動にもっとも影響を与えます。逆に、あなたと全く異なる境遇の人の行動は、あなたが取るべき正しい行動の証明にはならないのです。

これはビジネス文脈では重要な示唆です。

「顧客」と「企業」は、しばしば利益相反関係になる全く異なる立場です。企業がいくら製品をほめちぎろうが社会的証明にはならず、顧客には販促メッセージとしか映りません。

社会的証明になるのは、同じ顧客の立場の意見、つまり「クチコミ」です。

ただし良いクチコミしかない場合、企業側が検閲していると判断されます。中には悪いクチコミも混ざっていなければ、本当の意味での社会的証明にはなりません。

なぜ社会的証明の原理が起こるのか?

社会的証明の原理により、自分の頭ではなく他人の判断に身を委ねるのは、考えるリソースを節約するためです。

あなたが山にキノコ狩りに行ったとします。あなたは初心者なので、どのキノコが食べられるかがイマイチわかりません。

そんなとき、あなたは植物辞典を開く必要はなく、ましてやちょっとかじって確かめる必要もありません。

他の人が取っているキノコを取り、他の人が避けているキノコは避ければ良いだけです。

全ての不確かな状況をいちいち0から考えて行動していたら、とても時間内にタスクをこなすことはできません。緊急の場合は、なおさら他人に従うべきでしょう。

日常の多くのシーンは、「右へならえ」で対処可能です。他人が正しいと判断した行動は、大抵は自分にとっても正しいはず。簡易に結論を出した方が効率的なのです。

社会的証明の実験例

心理学者のアルバート・バンデューラが行った実験を紹介します。

犬を怖がる3〜5歳の子供を被験者とした。被験者には、目の前で小さな男の子が犬と楽しそうに遊ぶ様子を1日20分間見せた。

すると4日後には、被験者の67%が、自ら進んで犬と戯れるようになった。1ヶ月後でもこの傾向は変わらず、むしろ犬と遊ぶのをより楽しむようになった。

別の実験では、現実に子供が犬と遊ぶ様子ではなく、動画を見せたが、同様の効果が確認された。中でも効果が高かったのは、たくさんの子供がさまざまな種類の犬と接している映像だった。

よく考えた上での行動だけでなく、恐怖心のように体がビクッとしてしまう原始的な反応であっても、覆ってしまっていることがわかります。

社会的証明は、我々が想像しているよりもずっと強力であり、また心理の深い部分で作用しているようです。

社会的証明が起こる事例

社会的証明の原理は、あなたの身の回りでも見ることができます。いくつか典型的な例を見てみましょう。

事例①:バブル

金融資産なり、土地なりが、本来の適正とされる価格を突き抜けて高騰してしまう現象を「バブル」と呼びます。社会的証明によって起こる典型的な現象です。

時価で取引される資産の値動きを、正確に予測できる人は1人としていません。ゆえに市場には不確かさ(金融業界では「リスク」と呼ぶ)があります。

「そこまでの価値はないんじゃないか?」と思っても、次々と高値が更新されていく光景を目の当たりにすると、「実はもっと価値があるのかも?」と思ってしまうのです。

事例②:取り付け騒ぎ

現代の先進国ではほとんど起きませんが、取り付け騒ぎ(銀行預金者が、預金の引き出しを求めて一斉に窓口に押し寄せる)も社会的証明による現象です。

取り付け騒ぎの発端は、ちょっとした出来事から始まります。ニュースで銀行が危ないと感じ取った人が、1人また1人と引き出し、それを見た人が連鎖的に危機感を募らせます。

中には、「銀行の前に人だかりができている」と勘違いした人がいたために、取り付け騒ぎが起こったこともあるくらいです。

しかし銀行は預金分の現金をキープしているわけではないので、殺到されてしまうと現金が足りなくなります。引き出しが不可となると、パニックはますます波及していきます。

事例③:トイレットペーパーの買い占め

災害時などで、トイレットペーパーが買い占められる現象が起こります。構造的には、取り付け騒ぎと全く同じです。

何かのニュースで、「トイレットペーパーが買えなくなる!」と感じた消費者が、我先にと買い占めを行います。その様子を見た第三者が後に続きます。

しかしトイレットペーパーは毎日買うような商品ではないので、販売店は一定量しか置いていません。殺到されたらすぐに売り切れてしまい、本当に品薄になってしまうのです。

事例④:行列が行列を呼ぶ

想像してみてください。こんなシーンを経験したことはないでしょうか?

ふと歩いていたところ、何やら行列を発見。どうやら飲食店のようだ。ちょうど昼時で、何か食べようと思っていたところ。時間はあるし、ここは1つ並んでみるか。

行列ができているということは、多くの人が高く評価していることの証明になります。であるならば、きっとあなたにとっても美味しい可能性が高いことになります。

行列がさらなる行列を呼ぶ現象も、社会的証明の原理によるものです。

事例⑤:コメディの笑い声

コメディ番組には、明らかに合成された笑い声が挿入されています。わざとらしく違和感を感じないでもないですが、使われ続けているということは、効果があるということなんでしょう。

それがあからさまであっても、他の人が笑っているということは、きっと面白い話をしているんだろうと感じます。そして本当に面白いと感じ、自然と笑ってしまうのです。

思考した上での行動だけでなく、このような反射的な感情ですら社会的証明に頼っていることがわかりますね。

事例⑥:泣き女

「笑い」だけでなく、「泣く」ことも社会的証明によって誘発されます。そう、みんな知っている「もらい泣き」ですね。

中国や東南アジアなど、アジア圏には「泣き女」という職業があります。古くからある風習で、決して怪しい仕事ではありません。

泣き女は赤の他人の葬儀に参列し、遺族以上に思いっきり泣くことで他の参列者の涙を誘います。そうすることで、故人をより尊い存在に昇華させることができるわけです。

最悪の事例:ジョーンズタウン事件に見る社会的証明

ジョーンズタウン事件は、アメリカのキリスト教系カルト教団の信者918人が、集団自殺を決行した事件です。有名な事件なので、日本でもそこそこ知られています。

この惨劇の裏にも、社会的証明の原理が働いています。

このカルト教団は、もともとは「サンフランシスコ」を拠点としており、そこに住む貧しい人々が信者になっていました。

1977年、教祖のジム・ジョーンズ氏は、「南米のガイアナ」のジャングルへ大半のメンバーを引き連れて移住しました。そこに信者だけが住む街を作り、「ジョーンズタウン」と名付けました。

翌1978年、ジョーンズタウンに視察に来たレオ・ライアン下院議員とその視察団が、ジョーンズタウンを離れようとしたときに殺害される事件が起きます。

この事件により、もはや教団は終わったと察したジョーンズ氏は、全信者を集め、服毒自殺するよう要請しました。そして大半の信者は、進んで毒を口にしました。

もし教団がサンフランシスコにいたら、事件は起きなかったであろうと推測されます。

ガイアナのジャングルは、都会のサンフランシスコとは全く異なる環境です。信者にとっては、恐ろしく不確かな場所であったはず。不確かさは、社会的証明を頼りに判断するようになる条件の1つです。

もちろん毒を飲むことに対する疑いはあったでしょうが、大声で拒否するというよりは、「え?どういうこと?」と、様子見のような状況に陥っていたのではないでしょうか。

外部の人なら、あまりの異常事態に即反応したでしょうが、あいにくと信者だけの孤立した環境です。大半の人は、他の信者の出方を伺っていたことでしょう。

沈黙を破るように、熱心な信者から1人また1人と毒を飲んでいきます。そして仲間の行動に続く形で、他の信者達が次々と服毒自殺を遂げていきました。

ジョーンズ氏が用意した環境は、社会的証明がこれ以上ないくらい強く発現する環境でした。普通なら絶対に応じない要求に「YES」と言わせるほど、社会的証明には強い力があるとわかる事例です。

現代は社会的証明の影響力が高まっている

社会的証明の原理は、太古の人類から受け継がれている思考パターンであり、時代によらず存在し、また利用され続けてきました。

しかし現代において、社会的証明の影響力は格段に増しています。

理由は次の2点です。

  1. 短時間で判断を迫られるようになった
  2. 他者の意見を容易に大量に入手できるようになった

理由①:短時間で判断を迫られるようになった

現代は情報に溢れています。現代日本人が1日に触れる情報量は、「平安時代の一生分」で、「江戸時代の1年分」とも言われています。

その情報の洪水から、自分に必要な情報を選び取らなければならなりません。現代人はかつてないほど短時間のうちに、情報の取捨選択をするよう迫られています。

短時間で判断するためには、0から調べていては時間が足りません。

だから他人の意見に耳を傾けるのです。現代人が自分の意思で下したと思っている判断の大半は、実際には他人の判断によって決定されているのです。

理由②:他者の意見を容易に大量に入手できるようになった

そして耳を傾ける声の量が、過去のそれとは比べ物になりません。

インターネット以前では、他人の意見を聞く先は、友人や家族などのリアルな人間関係に限られていました。しかし現代では、赤の他人(しかし自分とはよく似た人)のクチコミを、無尽蔵に入手できます。

現代人は、過去とは比べ物にならないほど、判断に他人の意見を求めており、また判断に必要な他人の意見をカンタンに入手できる環境にいます。

ゆえに現代は、かつてないほど社会的証明の影響力が増しているのです。

社会的証明をビジネスに応用する8つの方法

そんな強力で、影響力がドンドン強まっている社会的証明を、どのようにビジネスに活かしていけば良いのでしょうか?

ポイントは、「他の人も買っているよ?」を可視化してアピールすることです。

方法①:クチコミを載せる

この後にも社会的証明を活用する方法を色々と書いていますが、結局のところ「クチコミ」に勝る社会的証明はありません

クチコミは、はるか昔から人を動かす力を持っていましたが、その真価が100%発揮されるようになったのは、インターネットが登場してからです。

かつてクチコミは、家族や友人からしか得られなかったので、ピンポイントで欲しい製品のクチコミを入手できませんでした。しかしインターネットにより人間関係の境界線が取り払われた現代では、クチコミを入手できない製品はありません。

いまやAmazonは、あらゆる小売業・製造業より遥かに大きな売上を誇っています。「クチコミ」という社会的証明が、企業側の色良いマーケティングメッセージに勝っていることの証跡です。

方法②:わざと行列を作る

マーケティング意識が強いアパレルブランドや飲食店は、わざと行列ができる環境を用意します(場合によっては、近隣への迷惑や感染症リスクに対する批判を承知で)。

今の時代、顧客を並ばせずに捌く方法はいくらでもあります。事前にネットで入店抽選をしても良いですし、整理券を配ったって良いわけです。

顧客だって炎天下(または寒空)で立って並ぶよりは、室内でまったり待っていた方が良いに決まっています。近隣住民も煩わしい行列など見たくありません。

しかしお店側は、自社製品が大人気であるイメージを世間に植え付けたいために、あえて長い行列を作ります。店内には余裕があるのに、わざと外に並ばせる方法もあります。

方法③:新規出店・リニューアルの大幅値引き

新商品、新店舗、またはリニューアルオープンの際に、大々的な値引きを行うマーケティング手法があります。プレオープンの形を取ることもあります。

わたしが遭遇したことがあるのは、

  • 新規出店のラーメン屋で、オープン記念300円
  • 新規出店のピザチェーンで、プレオープンで1人1枚タダ

見かけ上は「オープン記念」と標榜していますが、明らかに下心があります。

極端な安さに惹かれた客が押し寄せ、行列を作ります。行列を見た人は、「おや、あそこは人気店なのかな?」という印象を受けるでしょう。出だしは上々です。

他にも、「オペレーションのテストをする」「顧客の反応を見る」「まずはとっかかりを作ることで次の来店ハードルを下げる」など、複数のメリットを享受できる方法です。

方法④:他の人も買っています

ストレートに社会的証明を購買につなげるためには、「他の人が買っている」という事実をアピールしましょう。

  • 〇〇万人が購入しました!
  • 〇〇秒に1個売れています!
  • たったいま注文が入りました!

といった具合です。

BtoB製品の場合は、導入企業のロゴを入れるのも良いアピールになります。

「お気に入り登録数」を表示することでも、社会的証明を誘発できるでしょう。基本的には、「購入数<お気に入り登録数」なので、数字上のインパクトはこちらの方が上です。

方法⑤:品薄にする

わざと品薄にし、売り切れ状態を作っておくのも効果的です。

「売り切れ=みんなが買っている」と認識されるので、この製品は買って間違いないという社会的証明になるからです。いつでも予約できる飲食店は、予約する気になりませんよね。

そもそもいつでも買えるなら、いま買う必要はありません。無くなってしまうからこそ、いま買う理由になるのです。完売状態を作るのは、重要なマーケティング手法の1つです。

なお品薄商法は、「希少性の原理」という別の心理効果を誘発する手法でもあります。

≫【今しか買えない】希少性の原理とは?ビジネスで希少性を作る方法を解説【あえて絞れ】

方法⑥:先客の存在を匂わせる

チップ、投げ銭、あるいは募金のシーンを想像してみてください。まだ箱が空の状態で、自分がお金を投じる最初の客だったとしたら、果たして行動できるでしょうか?

お金を投じる心理的なハードルを下げるためには、あらかじめ少しばかりお金を箱に入れておけば良いのです。さらに高額紙幣も入れておき、「こんな額を投じる人もいるんだ」という前例を作っておくべきでしょう。

自分が最初の顧客になることを嫌う人は、意外と多いもの。BtoB市場では特にその傾向が強いでしょう。自分より先に顧客がいたことにするのは、理にかなっています。

ビジネスであれば、あえて最初から品切れの商品をいくつか設けておくのも有効です。高額商品も少量売れているように見せられれば、なお良いですね。

方法⑦:サクラ

「サクラ」とは、偽の顧客を買う行為です。古典的なマーケティング手法です。ただしサクラは違法(詐欺)なので、あからさまにやってはいけません。

スカスカのお店だと、そのお店の製品は買うべきではないという証明になってしまうので、客が入っているように見せかけるわけです。パチンコ屋の打ち子もサクラです。

また物理的に人数が入っているように見せるだけでなく、その場が盛り上がっているように見せるのもまたサクラの仕事です。

先ほど紹介した「泣き女」もサクラの一種です。

コントやオペラなどで、大袈裟に笑う人や感動する人を混ぜておけば、ステージ全体の盛り上がりを演出でき、普通に入場している一般客の満足感も上がります。

さらに、インターネットビジネスでも、サクラを活用することは可能です。

特にプラットフォームビジネスの場合は、参加者が多いこと自体が価値になるので、何とか人を呼び込まなければなりません。サクラは必要悪と言えるかもしれません。

そこで「新規登録で300円プレゼント」といった具合にユーザーを買うわけです。アフィリエイト報酬にしても良いかもしれません。ユーザーの質は下がりますが、初期のブーストとしてはあり得ます。

方法⑧:コミュニティマーケティング

その製品の顧客や見込み客が交流する場を設ける「コミュニティマーケティング」という手法があります。またコミュニティ自体が製品になっている「オンラインサロン」という形態も存在します。

コミュニティマーケティングの特徴は、その中にいる人が、皆その製品のファンであるということ。より強い社会的証明を引き出すのは、自分と似た人が行動しているときです。

コミュニティ内では、外の世界とは異なる独特の行動が正となります。その独特の行動に追従する人が増え、だんだんと外の世界の価値観や行動パターンからズレていきます。

そのためコミュニティがよく機能しているビジネスは、周囲からはカルト宗教のように映ります。ゆえに「信者ビジネス」と揶揄されることもありますが、これは実に的を射た表現。

教祖もとい、企業にとっては、外の世界の人間を動かす(買わせる)よりも、コミュニティ内の人間を動かす方がはるかにカンタンです。だからコミュニティを作ると売れるのです。

社会的証明の捏造にご用心

社会的証明は、捏造したり、お金を払って買ったりすることも可能です。しかしズルしたのがバレると、場合によってはビジネスに致命的なダメージを与えます。

SNSのフォロワー数は、典型的な社会的証明です。影響力を水増ししたい人は、怪しい業者依頼したり、プレゼントキャンペーンをしたりして、フォロワーを買います。

しかしそのアカウントの投稿を見れば、フォロワー数の割に反応が少ないことが一目瞭然。「フォロワー買ってんじゃん」と即バレてしまいます。

こういうズルがバレてしまうと、周りの反応はお寒いもの。悪評ほど素早く拡散されるので、顧客に悪いイメージを植え付けてしまいます。明らかにマイナスの影響です。

捏造はなるべくなら避けるべきです。やるなら絶対にバレない範囲で実行しましょう。

悪いクチコミの削除は大抵バレます。削除したらSNS経由で刺されるので。比較的バレないサクラは、知り合いに頼むなどしてバレないようにやっているものです。

ただしアジア諸国に見られる「泣き女」のように、公然と認知されている捏造であれば、そのような心配は不要でしょう。

集合的無知:周囲が常にが正しいとは限らない

社会的証明によって起こる現象に、「集合的無知(または多元的無知)」があります。

あなたが他人の判断が正しいと思って行動するように、その他人もまた、別の他人の行動を見て判断しています。こうして群衆に、明確な意思が存在しない状態が出来上がります。

そこである種の矛盾、カンタンに言えば、「赤信号みんなで渡れば怖くない」の状態が発生します。

誰もが「赤信号は渡ってはいけない」と知っています。

しかし他の人が赤信号を堂々と渡っているので、「どうやらほとんどの人は、赤信号は渡っても良いと認識しているみたいだ」と感じます。

一人ひとりは皆「Aが正しい」と考えているのに、群衆の行動から「Bが正しいみたいだから、Bの行動を取っておこう」となってしまう現象。これが集合的無知です。

1人だけなら起こらなかったエラーが、複数人いることによって起こってしまうわけですから、「周囲の行動が常に正しいとは限らない」と理解しておくべきでしょう。

また集合的無知は、よく知っている間柄よりも、お互いを知らない人同士の方が強く現れることもわかっています。

危機的状況が見過ごされる危うさ

集合的無知は、ある種の状況で致命的な結果を生んでしまいます。

例えば道端に、中年の男性が横たわっていたとしましょう。

あなたは「あの人、倒れているんじゃないか?救急車を呼ばなくて大丈夫かな?」と感じます。しかし、周りの人は、助けを呼ぶ様子がありません。

そうすると、「酔っ払って寝ているだけかな?どうやら一大事ではないみたいだ」と、緊急事態を横目にスルーしてしまいます。

危機的状況に遭遇したとき、大抵の人はいきなり行動するより、まず状況判断しようとするものです。1人また1人と様子見する人が増え、次第に全員がスルーする状況が自己実現的に生成されます。

犯罪史には、大勢の目撃者がいたにもかかわらず、誰1人通報しなかったことにより、被害者が犠牲になってしまった事件が複数存在します。

しかし実際には、「大勢の目撃者がいたにもかかわらず、誰1人通報しなかった」ではなく、「大勢の目撃者がいたからこそ、誰1人として通報しなかった」のです。

ここにも群集心理の危うさが見て取れます。もし目撃者が1人しかいなければ、集合的無知は起こりません。目撃者は自分の判断に従って、通報していたことでしょう。

自分の頭で考えよう

社会的証明の原理により、大抵の場合は、周囲の「右にならえ」で正解を選べます。しかしどこかの時点では正解だったとしても、時代が変われば正解は変わります

先人がずっと「右にならえ」で行動してきたため、後ろに続く人も無条件に従うのが正しいと盲信するようになります。こうして大衆の意思が空っぽのまま、全員が誤った方向へ流れていく現象が起こります。

例えば、「有名大学を卒業し、大企業に入社。その企業でキャリアを積み、大企業の信用力を使ってマイホームをローンで買う」といった、典型的な日本人の人生観があります。

どこかの時点では正しい選択だったと思いますが、現代でもこの選択を盲目的に受け入れる危険性について、気づいている人はそこまで多くありません。

かつての工業主体だった経済では、資本力がある大企業が圧倒的に有利でした。企業の寿命は総じて長く、定年まで勤め上げることも可能でした。

そして大企業への入社を有利にするために、有名大学に進学するというロジックが成り立っていました。

また経済が上向きで、物価が上昇していたので、値上がりがほぼ約束されていた時代のマイホームは、妥当な買い物だったでしょう。

しかし現代は、上記のような前提は崩れています。

にも関わらず、過去のライフスタイルを金科玉条のごとく盲信&追従して、自分の頭で考えないまま人生の重要な選択をする人が大勢います。

「今日のお昼はどこで食べようか?」くらいの選択なら、他人に従えば問題ありません。しかし人生を左右するような選択は、自分の頭でしっかり考えなければなりません。

まとめ

今回は、「社会的証明の原理」を解説しました。

社会的証明の原理とは…

何が正しいかを判断するとき、自分で考えるのではなく、他人が何を正しいと考えているかを基準に判断する傾向のこと

生き物には、一個体が単独で生活する種と、複数の個体がより集まって協力しあって生活する種がいます。人間は後者であり、「人間は社会的な生き物」なのです。

ある種のシーンでは、個より集団を尊重する本能が人間には備わっています。そのため、自分の意見よりも、周りの意見を重視してしまうのです。

ときに周囲の意見は、本人が絶対に避けたいと思うような選択すら取らせます。場合によっては命に関わるような選択も。それほどまでに、社会的証明は強力なのです。

ビジネスでは非常に強力な武器になるので、使わない手はありません。顧客に買わせるためには、「他のみんなも買ってるよ?」とアピールすべきです。

社会的証明に流されないように

ときに、言い方は悪いですが、社会的証明により大きな影響を受けるのは、頭が悪い人たちです。正確には、「自分の頭で考えられない人」ですね。

災害時に、トイレットペーパーを我先に買い占めようとする人は、自分の頭で冷静に状況判断ができません。だから他人の行動を見て判断するしかないのです。

しかし世の中の大半は、自分で考える脳を持たない大衆です。またそういった大衆ほど、周りに流されて、カンタンに財布の紐を緩めてくれる存在でもあります。

ビジネスでは社会的証明を賢く使うべきですが、自分自身に対しては、社会的証明だけに頼らず、自分の頭で考えるクセをつけたいですね。

よく似た心理学用語

人間は社会的な生き物ということで、他者の振る舞いによって心理が影響を受ける現象は、数多く存在しています。

「社会的証明の原理」とよく似た効果があるので、ここで2つ紹介しておきます。

類似①:バンドワゴン効果

バンドワゴン効果は、人気があればあるほど、さらに人気が出る現象のことです。

Amazonや楽天で多くのレビューがついた商品は、ますます売上を伸ばします。人気の政党や政治家は、ますます人気を獲得します。

言っていることは「社会的証明の原理」とほぼ同じですが、バンドワゴン効果の方がより認知度が高い印象です。

≫【流行の正体はコレ】バンドワゴン効果とは?具体例で解説【売れる商品はもっと売れる】

【流行の正体はコレ】バンドワゴン効果とは?具体例で解説【売れる商品はもっと売れる】同じようなパンケーキ屋なのに、なぜか一部のお店だけ長蛇の列になるのを不思議に思ったことはありませんか?その原因は、流行っているものほど欲しくなる「バンドワゴン効果」にあります。バンドワゴン効果を解説しつつ、あまり語られないターゲット顧客の狙い方まで踏み込んで考えます。...

類似②:同調行動

同調行動は、他人と同じ行動を取りたがる傾向のことです。

他人と同じ行動をとれば、失敗の可能性を下げることができます。また同じ行動を取ることで、自分がそのコミュニティの仲間であるとアピールすることにつながります。

「社会的証明の原理」とほぼイコールの概念です。

≫【また誰かの真似するの?】同調行動(ハーディング現象)とは?身近な具体例で解説

【また誰かの真似するの?】同調行動(ハーディング現象)とは?身近な具体例で解説日本人は周りの人と同じ行動をするのが好きですよね。悪い意味ではいじめもその一つです。原因は「同調行動」にあります。同調行動は人間の本能に起因していますが、その本能に抗える人が成功を掴んでいます。その他大勢に合わせることに疑問を持っている人は、ぜひチェックしてみてください。...

参考書籍

参考書籍は、社会心理学者ロバート・チャルディーニ氏の『影響力の武器』です。

人に要求を飲ませるために、最上の6つの方法を教えてくれる良書です。正気の沙汰なら絶対に飲まない要求でも、首を縦に振らせてしまう力を持っています。

マーケティングや営業界隈では、必読の一冊にノミネートされています。モノを売る仕事をするなら、確実に押さえておいてくださいね。

要約記事もありますので、時間がない人はこちらをどうぞ。

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しかし現代はありがたいことに、月額で本読み放題のサービスがあります!

外せない❶ Kindle Unlimited

Amazonの電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)」は、月額980円。本1冊分の値段で約200万冊が読み放題になります。

新刊のビジネス書が早々に読み放題になっていることも珍しくありません。個人的には、ラインナップはかなり充実していると思います。

Kindle Unlimited 公式サイト

≫【厳選】ビジネスマンがKindle Unlimitedで読むべき15冊

外せない❷ Audible

こちらもAmazonの「Audible(オーディブル)」は、耳で本を聴くサービスです。月額1,500円で約12万冊が聴き放題になります。

Audibleの最大のメリットは、手が塞がっていても耳で聴けること。通勤中や家事をしながら、子供を寝かしつけながらでも学習できます。

冊数はKindle Unlimitedより少ないものの、Kindle Unlimitedにはない良書が聴き放題になっていることも多い。有料の本もありますが、無料の本だけでも十分聴き倒せます。

Audible 公式サイト

≫【厳選】ビジネスマンがAudibleで聴くべき17冊

ちなみにわたしは両方契約しています。シーンで使い分けているのと、両者の蔵書ラインナップが被っていないためです。

どちらも30日間は無料なので、万が一読みたい本がなかった場合は解約してください(30日以内であれば、仮に何冊読んでいても無料です)。

そして読書は、早く始めた人が圧倒的に有利。本は読めば読むほど、複利のように雪だるま式に知識が蓄積されていくからです。

ガンガン読んで、ガンガン知識をつけて周りに差をつけましょう!

とりあえず両方試してみて、それぞれのラインナップをチェックするのがオススメです!

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