- スキルがあれば食いっぱぐれない
- 希少なスキルがあるほど稼げる
という感じで、みんながスキルをつけたいと必死に考えています。終身雇用が崩壊した世界では、自分のスキルが身を守る1番の手立てになるからです。
ここで気になるのは、スキルを身につけるのにどれくらいの時間がかかるのか?ですよね。働きながらだと、なかなか時間は割けません。
さてそんなスキル習得にかかる時間には、
- 20時間の法則
:サクッとできるようになる - 1000時間の法則
:中上級者、セミプロレベルになる - 1万時間の法則
:その道の一流の人になる
があります。もちろんそれぞれで、意味するところがちょっとずつ違う。
これらの法則を参考にして、あなたのキャリア形成を考えてみませんか?これらの法則を使えば、「100万人に1人」はたまた「1億人に1人の人材」になれるかも?
スキル習得で身を起こしたい人は、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
【サクッとできるだけなら】20時間の法則
「20時間の法則」はその名の通り、たったの20時間で何かのスキルを習得しようというものです。作家のジョシュ・カウフマンさんが提唱しました。
- 1日1時間弱の練習なら1ヶ月
- 毎日3時間集中するなら1週間
でスキル習得が可能ということになりますね。
世間一般では後述する「1万時間の法則」がよく知られていますが、これはその分野のスペシャリスト、つまり一流になるための時間。
そうではなく、サクッと絵を描いたり、楽器を弾いたりできるレベルになるには、どれくらい時間が必要なんだろう?
そう思ったカウフマンさんが方々調べたところ、20時間あればスキル習得は可能ということでした。
Youtubeに上がっているTEDトークでスピーチを聞けます。20分弱なので、時間のある人はぜひ見てみてください。
中身を簡単にまとめると、次のような順序で学べば20時間でスキルが習得できるとのこと。
ステップ①:スキルを分解し、必要なスキルを見極める
「プログラミング」とか「野球」とか、いろんな種類のスキルがありますが、これらの中にはさらに細かいスキルが内包されています。いま必要なスキルはその全部ではないはずですね。
プログラミングで、ホームページを作るだけなら「HTML」「CSS」「PHP」のスキルだけで済みます。草野球に出るなら、とりあえずキャッチボールとバッティングだけで済みそうです。
もう少し丁寧に言えば、
- まずスキル習得の目的を定める
- 目的達成に必要なスキルだけを選ぶ
ということですね。
カウフマンさんが出した例はウクレレ。ウクレレには何百種類というコードがあり、それらを覚えるのはかなり大変です。
ですが、1曲で使うコードは4〜5種類。これだけ覚えれば1曲弾けるようになります。さらに大抵のポップソングは、共通の4種類のコードを覚えれば弾けてしまうんだそうです。
的を絞ることで、必要なスキルもまたグッと絞れるのです。ここが「20時間の法則」の肝の部分になります。
ステップ②:教材を使って練習&修正していく
ありがちなパターンとして、教材をたくさん買い込み、全部読んでから始めようとしてしまいます。ですが、それではスタートが遅くなってしまうので、20時間では終わりません。
実際の練習をすると、よくわからない箇所や難しい箇所にぶち当たります。その際は教材を見ながら適宜修正していくイメージです。
ステップ③:気が散るものを取り除く
ことさら触れるほどの話でもありませんが、テレビやスマホゲームのような、気が散るものはなるべく遠くに置きましょう。
「20時間の法則」は、真剣に20時間取り組めばできるようになるという話です。テレビを見ながらなんとなく20時間やっても、スキルは習得できません。
あとは20時間学習を続ければ、大抵のことはできてしまうというわけです。
基本的には、この20時間で学んだスキルを、そのままキャリアの強みにするわけではありません。目の前にある課題をクリアするためや、単に楽しむために習得するイメージです。
例えば英語の習得は難しいけど、海外旅行に行くための英語だったら、20時間くらいで十分学べてしまうかもしれません。
個人的な経験では、ノーコードで簡単なサイトを作ったときは、学習期間+それっぽいサイトができるまでで、丁度20時間くらいでした。
あとはNFTアートの販売に挑戦したとき、絵が描けないのでピクセルアートでそれっぽい作品を作りました。ツールの学習から始めて作品ができるまでで、大体20時間くらいでしたね(売れませんでしたが)。
もっと詳しく知りたい人は、ジョシュ・カウフマンさんの著書を読んでみてください。
【中級者なら】1,000時間の法則
「1,000時間の法則」は、その分野の「セミプロ」「中上級者」になるためには1,000時間の学習が必要という考え方です。
1,000時間の法則は、誰が提唱したとか、科学的な根拠などがあるわけではないようです。後述の「1万時間の法則」の10分の1という、キリの良い数字が使われているだけかもしれません。
ただ大抵のことは、学習始めたてで勢いよく伸びていき、その後どんどん成長度合いが鈍くなっていきます。上級者から一流に至る壁は厚く、もう少しの詰めに何年もかかりします。
似たような話で、プレゼン資料や、学校のレポート、アート作品などは、完成度80%→100%にかかる労力は、体感で全体の5,6割くらいかかる印象です。
一流のスキルが完成度100%として、完成度50%くらいの中級者スキルに到達するのに必要な時間が、10分の1で済むのはそこまで不思議ではありません。
1,000時間は現実路線で目指しやすい
「1,000時間」と聞くと、ピンと来ないので、数字を分解して考えましょう。
- 1日1時間の学習なら、約2年半ちょっと
- 1日3時間の学習なら、1年弱
で、一定のスキルを習得できることになります。なかなかリーズナブルな印象ではないでしょうか?
一流には至れないないものの、世の中に一流でなければ務まらない仕事なんてほとんどありません。1,000時間で習得したスキルでお金を稼ぐことも十分可能でしょう。
【一流を目指すなら】1万時間の法則
「1万時間の法則」は、その分野で一流と言われる成功者になるためには、1万時間の学習が必要という考え方です。
1万時間もすぐにピンと来ない数字ですね。
- フルタイムの仕事(1日8時間を週5日)で、約5年間
- 1日3時間の学習で、9年ちょっと
というイメージです。
この法則の発端は、心理学者のアンダース・エリクソン氏の研究。氏の研究によれば、スポーツや音楽で一流と呼ばれている人たちの学習期間が、平均10,000時間だったとのこと。
ちなみに、この時点では「1万時間の法則」という名前はついていませんでした。
のちに英国人作家のマルコム・グラッドウェル氏の著書『天才!成功する人々の法則(原タイトル:Outliers)』で、エリクソン氏の研究を引用する形で、「1万時間の法則」が世に広まることになります。
1万時間の法則はウソなのか?
「1万時間の法則」という言葉を聞くと、さも「1万時間学習すれば、自分も一流になれる!」と思ってしまいます。
結論を先に言えば、そんな甘い話はありません。発端となるエリクソン氏の研究を思い出してみましょう。
一流の人の「平均学習期間が1万時間だった」というだけで、もっとたくさん学習した人もいれば、少ない学習期間で一流になった人もいます。
加えて重要なのは、研究対象になったのは成功者だけで、その裏には1万時間学習しても一流になれなかった人がいるわけです。
人気ボクシング漫画の『はじめの一歩』で、鴨川会長も言っています。
努力した者が全て報われるとは限らん。しかし!成功した者は、皆すべからく努力しておる!!
出典:『はじめの一歩』より鴨川会長のセリフ
言い換えると、「1万時間学習しても成功するとは限らない。しかし、成功した人は平均1万時間学習している」となりますね。
中国の諺「台上一分鐘、台下十年功」
1万時間の法則には、多少疑義が残るように感じている人も多いと思います。実は、中国の古いことわざに、似たようなモノがあります。
それが、「台上一分鐘,台下十年功」。日本語では、「舞台の上で1分間の演技をするためには、舞台の下で10年間の努力が必要」という意味になります。
個人的には古くから伝わる格言やことわざは、的を射ていると思っています。
科学的根拠はなかったとしても、長い歴史の中で、多くの人々の間で役に立っているからこそ、今でもその言葉が語り継がれていると考えているからです。
大体1日3時間くらいの学習を、週1日休みペースで続けると、10,000時間に到達するのは大体10年くらいです。「1万時間の法則」と矛盾していませんね。
【注意】ただ時間をかければ良いわけではない
「20時間の法則」「1,000時間の法則」「1万時間の法則」、全てに共通しますが、ただ時間をかければスキルを習得できるというわけではありません。
時間とは言わば、学習の「量」に当たりますが、当然ながら、学習の「質」も伴わなければ、上達は見込めません。
少し極端な例えをしてみましょう。
Aさんは「けん玉」のスキルを習得したいと思っています。
使い方が一切わからないし、使っている人を見たこともないない。そこで足でけん玉を使うことにしました。足なので、なかなか玉が剣に刺さりません。
でも諦めずに、ずっと足でけん玉を学習し続けています。
もしかしたら、足でけん玉ができるようになるかもしれませんが、きっとすごい時間がかかってしまいますね。上手くいっていない学習を続けても、上達にはつながりません。
必要なのは「お手本」と「フィードバック」
スキル習得に欠かせないのが、「お手本」と「フィードバック」です。
まずお手本とは、「正しいやり方を伝えてくれるもの」です。
師匠のような人でも良いですし、本や教材でも良いでしょう。私淑(ししゅく)も良いですね。私淑とは、直接指導を受けるわけではないけど、著書やSNSなどから、その人を師として仰ぐやり方です。
そして学習が効果的に進んでいるかを示してくれる「フィードバック」。フィードバックを得る目的は、学習方法が正しくない場合に、やり方を自己修正するため。
例えば、真っ暗闇で、鏡もなく、誰も見ていない部屋でダンスの練習をしても、上達しているのかさっぱりわかりません。わからなければ、間違っていても修正のしようがありません。
フィードバックを得るには、他人に見てもらうのが良いでしょう。先生やお客さんに、直接フィードバックがもらえるのがベスト。それが難しい場合は、SNSの反応率や、サイトのPV数などの数値をフィードバックとしましょう。
フィードバックの結果、自分が効果的に学習できていないと気づけたら、別の方法の学習を試してみましょう。
スキルの掛け合わせで希少な人材になる方法
さて重要なのは、習得したスキルを使って、どのようにキャリアを築いていくかですね。
- 「1万時間」で一流を目指す
- 「1,000時間」×3つのスキルで希少になる
- たくさんの「20時間」のスキルでジェネラリスト
の3つのモデルパターンを考えてみました。
パターン①:「1万時間」で一流を目指す
まず最初のパターンは、一つのスキルで圧倒的に突き抜けるやり方です。
何かのジャンルで「第一人者」のポジションを築ければ、安定した収入も得られるでしょう。希少な存在なので、得られる対価も大きくなるかもしれません。
ただし余程好きなことでなければ、10,000時間も費やすのは難しい。徹底的に自己分析を行い、「これは!」と思うジャンルに出会ったら目指したい選択肢ですね。
また茨の道でもあることも覚悟が必要。一流となると、生まれ持った才能も影響しますし、伸び悩みに苦しむことも多いのではないでしょうか。
なお仮に1流になれなかった場合でも、尋常ではない経験をしているので、世間一般から見れば十分外れ値です。他の「1,000時間」レベルのスキルを掛け合わせれば、希少な人材になれるでしょう。
パターン②:「1,000時間」×3つのスキルで希少になる
多くの人にリーズナブルなのは、「1,000時間」で培った中級者スキルを3つ掛け合わせるというもの。
1,000時間の学習をすれば、100人に1人くらいのスキルにはなっているはずです。このスキルを3つ掛け合わせれば、「100×100×100=100万人に1人」になれます。
1日2〜3時間の学習で1ジャンル攻略できるので、3年で100万人に1人の人材になれる算段です。
欲張ってもう一つ100人に1人のスキルを習得すれば、なんと「1億人に1人の逸材」に!
例えば、「飲食店勤務」×「デザイナー」×「webマーケティング」が組み合わされば、飲食店向けのコンサルとしてはかなり有能でしょう。
個人でも稼げますし、飲食系のスタートアップで幹部にもなれそうです。
もう一つ、「マネジメント」や「事業企画」のスキルが身に付けば、飲食系スタートアップの経営者として類稀なる活躍ができるかもしれません。
わたしの場合で言えば、まず法人営業6年半の経験があります。勤務時間は1万時間を超えていますが、雑務の時間もかなりあります。純粋な営業活動に費やした時間で言えば、1,000時間の法則レベルな気がします。
加えてブログなどで文章を書いている時間も、1,000時間を超えています。これも100人に1人のスキルにはなっていると思います。
あとは新規事業とか、格闘ゲームとかも、費やした時間は1,000時間を超えていますね。私の場合は、掛け合わせで仕事をしているわけではありませんが…。
スティーブ・ジョブズの有名なスピーチ「Connecting the dots」になぞらえるなら、その時々で頑張ったバラバラの経験が、どこかで化学反応を起こして大きな成果につながります。
もちろんその可能性は大いにあります。ただ効率的にキャリアを形成していくなら、関連があるジャンルのスキルを習得していくなど、戦略的にスキルを学ぶ方が良いでしょう。
パターン③:たくさんの「20時間」のスキルでジェネラリスト
最後に紹介したいのが、「20時間」でとりあえずできることがいっぱいある状態です。
例えば、ちょっとPhotoshopが使えるとか、経理ソフトが使えるとか、契約書が読めるとか、提案資料が作れるとか、その時々のタスクをこなせるだけのスキルですね。
知識が0じゃなければ、専門スキルがある外注スタッフに指示出しできるので、思った以上に活躍の幅は広がります。規模の小さい会社や初期のスタートアップでは、「何でもできる人」が重宝されます。
できれば、「1,000時間」レベルのスキルが1つか2つあると良いですね。メインのスキルに加えて、「20時間」のスキルが色々ある「ジェネラリスト」のポジションです。
例えば、個人で仕事をしていて、「専門じゃないけど、ビジネススキルが一通り備わっている人」はかなり貴重。やるかどうかは別にして、労働市場での人材価値は高いと思います。
社会人の学びに「この2つ」は絶対外せない!
あらゆる教材の中で、コスパ最強なのが書籍。内容はセミナーやコンサルと遜色ないレベルなのに、なぜか1冊1,000円ほどしかかりません。
それでも数を読もうとすると、チリも積もればで結構な出費に。ハイペースで読んでいくなら、月1万円以上は覚悟しなければなりません…。
しかし現代はありがたいことに、月額で本読み放題のサービスがあります!
外せない❶ Kindle Unlimited
Amazonの電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)」は、月額980円。本1冊分の値段で約200万冊が読み放題になります。
新刊のビジネス書が早々に読み放題になっていることも珍しくありません。個人的には、ラインナップはかなり充実していると思います。
外せない❷ Audible
こちらもAmazonの「Audible(オーディブル)」は、耳で本を聴くサービスです。月額1,500円で約12万冊が聴き放題になります。
Audibleの最大のメリットは、手が塞がっていても耳で聴けること。通勤中や家事をしながら、子供を寝かしつけながらでも学習できます。
冊数はKindle Unlimitedより少ないものの、Kindle Unlimitedにはない良書が聴き放題になっていることも多い。有料の本もありますが、無料の本だけでも十分聴き倒せます。
ちなみにわたしは両方契約しています。シーンで使い分けているのと、両者の蔵書ラインナップが被っていないためです。
どちらも30日間は無料なので、万が一読みたい本がなかった場合は解約してください(30日以内であれば、仮に何冊読んでいても無料です)。
そして読書は、早く始めた人が圧倒的に有利。本は読めば読むほど、複利のように雪だるま式に知識が蓄積されていくからです。
ガンガン読んで、ガンガン知識をつけて周りに差をつけましょう!
とりあえず両方試してみて、それぞれのラインナップをチェックするのがオススメです!