- 本は1ページ目から順番に読んでいくもの
- 本は隅々まで目を通すもの
どちらも間違いです。時間がかかりすぎます。
時間は有限です。仮に1日1冊(普通の人からすれば相当なスピードで)本を読んだとしても、10年で読めるのは3,600冊です。
3,600冊と多く聞こえるかもしれませんが、小中学校の図書室でも1万冊くらいは蔵書があります。日本で1年間に発行される本は7万冊もあります。
我々が読める本の数は、思っている以上に少ないのです。ただでさえ忙しくて本を読む時間をロクに取れない人は、効率よく本を読まなければ、全然消化できません。
この記事では、本を素早く、そして効率良く読むコツを解説しています。これまで丁寧に読んでいた人は、2〜3倍には早くなるでしょう。もちろん読書の質を落とすことなくです。
読書量と成長は間違いなく比例します。忙しさを理由に成長を諦めたくない人は、ぜひ最後までチェックして見てください。
【本を読む前】事前準備
ちょっとした事前準備により、読書のスピードと質が飛躍的に向上します。本の読み方のコツを解説する記事ですが、戦いは本を開く前に始まっているのです。
本を読む目的を決める
まず何のために本を読むのか、その目的を決めましょう。
目的は何らかのアウトプットに紐づいているケースが多いと思います。
- プレゼンを成功させたい!
- 部下のやる気を引き出したい!
- ホームページを作りたい!
- 古民家を自分で改修したい!
といった具合ですね。
目的意識があると、本を読んだときに、必要な箇所が浮かんで見えます。読む箇所と読まない箇所の濃淡をつけるためには、目的意識が欠かせません。
人間は、自然と興味関心がある情報を選び取っています。逆に関心がない情報は、右から左に抜けていきます。
この現象は、「カラーバス効果」や「カクテルパーティー効果」と呼ばれています。
勧められた本を選ぶ
これから勉強しようと思うジャンルは、どの本が良いかさっぱりわかりません。ワインなんかと同じで、読書に慣れないうちは、本の選球眼は養えません。
こういうときは、あなたが学びたいジャンルで一歩先を行っている人に「オススメの本を教えてください!」と聞いてしまいましょう。そしてオススメされた本を素直に読みましょう。
聞ける人が知り合いにいなければ、SNSやブログでオススメされている本でもOKです。Amazonのレビューも参考になります。
本は自腹で買う
本は自腹で買うことをオススメします。職場が購入してくれる制度もありますが、それでも必要な本は自腹で買った方が良いでしょう。
人間にはお金を投じてしまったが最後、何とかして投資回収したいという心理が働きます。「サンクコスト効果」と呼ばれる現象です。
サンクコスト効果は毒にも薬にもなりますが、ここでは「何としても知識を吸収しなければ!」という、薬になります。
紙の本の場合は、マーカーや書き込みが加えられないのも問題です。また、後ろで待っている人がいると、ソワソワして読書のペースが乱れます。
他人の金で買った本は、制約があることも忘れないでください。
次に読む本も買っておく
「まだ本を読んでもいないのに、もう次の本?」と思うかもしれませんが、読書をただ1回でなく、習慣とするなら重要な話です。
本はなるべくテンポ良く読んでいきたいものです。毎回本を読み終わるたびに次を探すようでは、読書のペースが落ちてしまいます。
常に数冊分の未読本ストックを持っておくのがオススメです。ストックが少なくなったら、まとめて調達しましょう。
【まだ読まない】本はいきなり読み始めない
目の前に本があっても、いきなり1ページ目から読み進めてはいけません。
まずは本の全体像をつかんでおきましょう。これが読書効率アップの秘訣です。
本の構造が何となくでも頭に入っていると、どこを注力して読めば良いかわかります。逆に言えば、どこを省いても構わないかもわかります。
一度これらの習慣がつくと、いきなり1ページ目から本を読むのが怖くなります。まるで先の見えない暗闇を歩いているような気分になるのです。
まえがき&あとがきを読む
著者自身が、「この本は、ざっくり言うとこういう内容だよ」と教えてくれているのが、まえがき&あとがきです。
まえがきは、提案書の冒頭と同じで、「これからこういう内容を話すよ」と宣言しています。あとがきは、言うまでもなく「本のまとめ」ですね。
目次を読む
目次で本の構造がわかります。大項目にあげられているのは、その本の骨子です。著者がどういうロジックで本を展開しようとしているのかがわかります。
目次は各章の見出しでもあります。新聞も見出しを見るだけで、何となく読んだ気になるのと同様、本の目次を見るだけでも何となく読んだ気になります。
目次は少し時間をかけて、じっくり目を通しておくと良いでしょう。
著者プロフィールを読む
最後のページに作者のプロフィールや略歴が載っています(ない場合もありますが)。
著者の情報は、見落としがちですが重要です。本の中で、どの情報が信頼できて、どの情報を耳半分で聞けば良いかがわかります。また著者の立ち位置によって、バイアスにも気づけます。
著者が学者なら、科学的なエビデンスはある程度担保されているでしょう。しかし実務への応用は全て他者からの引用になるので、そのつもりで聞く必要があるでしょう。
海外での勤務や留学経験があれば、その国の視点に明るい人だとわかります。大企業畑の人であれば、マネジメントは得意と見えますが、0→1の事業企画には疎いと予想できます。
過去の著書情報も参考になります。過去に社会主義や共産主義の本を書いている人なら、「資本主義にはアンチのバイアスがかかっているな」と見て取れます。
読まずにパラパラめくる
読み始める前段階の締めくくりに、本の全ページをサーッとめくっていきましょう。読まずに眺めるだけです。
脳は関心がある情報が目に入ると、ピクッと反応します。パラパラと眺めるだけでも、自然と目が止まるページや文章が出てきます。もちろんそこを重点的に読もうという話です。
眺めるだけでも良いですし、気になるページに折り目をつけておいても良いでしょう。
本を読むときのコツ
ここまでやって、ようやく本を読み進めていきます。
全部読まない
「本を一言一句読まなければいけない」と考えるのは勘違いです。雑誌や新聞は読みたいページだけ読みます。同じように濃淡をつけて読めば良いのです。
「パレートの法則(別名2対8の法則)」に従うなら、本の中で重要なページは2割しかありません。この2割さえ分かっていれば、その本の8割は理解できたことになります。
ビジネス書などの実用書であれば、目的に沿って、必要と感じたページだけを重点的に読んでいけばOKです。残りは斜め読みでさっさとページを進めましょう。
ここまでやってきた、「本を読む目的を決める」や「本の構造をざっと理解する」は、本を隅から隅まで読まないための布石に他なりません。
紙の本なら徹底的に汚す
気になる文章にはマーカーを引いたり、ページの端を折って印をつけます。電子書籍だと難しいですが、感想や意見を書き込むこともします。
よく紙の本は後で売れるからと、汚さずに読む人がいます。そういう人がいるおかげで、キレイな中古本を安く買えるわけですが、学びたいなら本は徹底的に汚すべきです。
中古本など、売ったところで二束三文です。大した値段にはならないので、開き直って書き込みまくりましょう。
ダメな本ならすぐ切る
いざ読んでいくと、「あれ?期待してた内容と違うぞ?」となることがあります。読み進める以前に、パラパラめくって眺める段階で気がつくかもしれません。
ダメと判断した本は、すぐに切りましょう。投資は損切りが大事と言われるように、自己投資である読書も損切りが必要です。
先に紹介した「サンクコスト効果」により、もったいないから最後まで読み切りたい気持ちが湧きます。毒にも薬にもなるサンクコスト効果の毒の側面です。振り切ってください。
理解できなかったら易しい本を先に読む
本を読んでいると、いまいち文章が頭に入ってこない場合があります。疲れているか、もしくはその本のレベルが今のあなたには高すぎる、ということになるでしょう。
明らかにわからない単語が出てくる場合は、すぐに前提知識が足りないんだなとわかります。厄介なのは、一つ一つの単語は難しくないのに理解できない文章です。
哲学書や学術書には、難しい専門用語は出てこないのに、なぜか理解できない文章があります。これも結局は、前提知識に腹落ちしていないがゆえに起こることです。
ゆっくりじっくり読んでも理解できない場合は、易しい入門書に戻り、力をつけてから再度チャレンジしましょう。
本を読んだ後は
本は読んで終わりではありません。読後のアクションも重要です。学んだことがどれだけ記憶に焼き付くかは、読書の後にかかっています。
学んだ知識をアウトプットする
覚えたての知識は、アウトプットした方が記憶に焼きつきやすくなります。
本を読む目的が、ホームページの制作やプレゼンの成功であれば、アウトプットの機会は自然とやってきます。しかし知識をつけること自体が目的の場合は、意識しなければアウトプットできません。
本で学んだポイントを、同僚や家族に説明したり、SNSで呟くなりすれば、これも一つのアウトプットです。ノートやブログに書くのも良いですね。受験や資格の問題集を解くのもアウトプットです。
同じジャンルの別の本を読む
なるべく同じジャンルの本を続けて数冊読むのがオススメです。一見ムダに見えますが、そんなことはありません。
他の本にも重複して書かれている内容は、重要な情報なんだと認識できます。
また異なる意見にも耳を傾けるべきでしょう。病気になったときに、別のお医者さんにセカンドオピニオンを求めるのと同じです。一人の著者だとどうしても偏りが出ます。
同じような本を読むことは復習にもなります。「エビングハウスの忘却曲線」によれば、時間をあけずに復習した方が記憶に定着しやすくなります。
また一度読んだジャンルなので、重複する内容が多いはずです。2冊、3冊と読むほどに、読むスピードは上がります。想像より時間はかからないはずです。
派生する本を読む
「これは良い本だった!」と思ったら、その本から派生する本に枝を伸ばしてみましょう。そうやって、どんどん知識が拡張されていきます。
本を1冊読むと、その中で新しく興味が湧く分野が紹介されていたり、引用元の参考書籍が紹介されていたりします。同じ著者の別の本もありますね。
人間の脳は、全く新しい情報よりも、すでにある記憶と関連づいた情報の方が記憶に定着しやすい構造になっています。派生した本を読むのは、記憶に残す観点でも効率的なアプローチです。
【一応】怪しい速読法には注意!
世の中には、いろんな速読法を勧めている人がいます。実際にできた人もいれば、科学の実験では効果がないとされた結果もあります。
ここで白黒つけるつもりはありません。ただそういう裏技に頼ってムダな時間を過ごすくらいなら、正攻法で読書スピードを上げた方が良いのでは?と思います。
読書のスピードを上げる方法は、たくさんの本を読むことです。
理屈はシンプルで、知識が増えるほど熟読する必要がなくなるからです。よく知っている情報の説明なら、完全にスキップしても問題ありません。これが正攻法の速読です。
特定のジャンル、例えばビジネス書であれば、ビジネス書をたくさん読めば、読むスピードは目に見えて上がっていくでしょう。
ジャンル問わず本全般で読書スピードを底上げしたい場合は、中学や高校の基本的な知識をしっかり学び直すのが良いですね。時間はかかりますが、生涯で見ればリターンは大きいでしょう。
まとめ
今回は、短い時間で効率的に読書をする方法を解説しました。
忙しい現代人は、本を読む時間はなかなか取れません。そして限られた時間で本の知識をインプットするにはコツがあります。
事前準備
- 本を読む目的を決める
- 勧められた本を素直に読む
- 本は自腹で買う
- 次に読む本もストックしておく
本を読み始める直前
- まえがき&あとがきを読む
- 目次を読む
- 著者プロフィールを読む
- 読まずにパラパラめくる
本の読み進め方
- 全部読まない
- 紙の本なら徹底的に汚す
- ダメな本ならすぐ切る
- 理解できなかったら易しい本を先に読む
本を読んだ後
- 学んだ知識をアウトプットする
- 同じジャンルの別の本を読む
- 派生する本を読む
この読み方を続けていけば、むしろ今まで通りに1ページ目から普通に読むのが気持ち悪く感じるようになるはずです。
ぜひ読書習慣で周りに差をつけましょう!
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冊数はKindle Unlimitedより少ないものの、Kindle Unlimitedにはない良書が聴き放題になっていることも多い。一応有料の本もありますが、無料の本だけでも十分聴き倒せます。
月額は1,500円。1日50円と考えれば安いです。こちらも30日間は無料でお試しできます。
なかなか読書の時間が取れない人は、音楽の代わりに読書してみてはいかがでしょうか?
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新刊のビジネス書が早々に読み放題になっていることも珍しくありません。個人的には、ラインナップはかなり充実していると思います。
外せない❷ Audible
こちらもAmazonの「Audible(オーディブル)」は、耳で本を聴くサービスです。月額1,500円で約12万冊が聴き放題になります。
Audibleの最大のメリットは、手が塞がっていても耳で聴けること。通勤中や家事をしながら、子供を寝かしつけながらでも学習できます。
冊数はKindle Unlimitedより少ないものの、Kindle Unlimitedにはない良書が聴き放題になっていることも多い。有料の本もありますが、無料の本だけでも十分聴き倒せます。
ちなみにわたしは両方契約しています。シーンで使い分けているのと、両者の蔵書ラインナップが被っていないためです。
どちらも30日間は無料なので、万が一読みたい本がなかった場合は解約してください(30日以内であれば、仮に何冊読んでいても無料です)。
そして読書は、早く始めた人が圧倒的に有利。本は読めば読むほど、複利のように雪だるま式に知識が蓄積されていくからです。
ガンガン読んで、ガンガン知識をつけて周りに差をつけましょう!
とりあえず両方試してみて、それぞれのラインナップをチェックするのがオススメです!