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【例文でわかりやすく】「帰納」と「演繹」の意味と違いを徹底解説【ロジカルシンキング】

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  • 「帰納」と「演繹」を覚えていますか?99%の人は忘れているのではないでしょうか?
  • 「そもそも何の話だっけ?」という人も多いはず(むしろこっちの方が多いかも)

「帰納」と「演繹」は、ロジカルシンキングの基礎

説得力のある提案には、それを支えるロジックが必要です。ロジックを組み立てるときに使える最もカンタンなテクニックが「帰納法」と「演繹法」なのです。

優秀なビジネスパーソンは必ず活用しています。意識していなくても、経験則により自然に使えている人もしばしば見受けます。

この記事でわかること

  • 「帰納」と「演繹」とは何か?その違いとは?
  • 「帰納」と「演繹」の具体的な例
  • ビジネスで差をつける「帰納」と「演繹」の活用方法

「あ、この人できる人だ」と思われるビジネスマンになるために、「帰納法」と「演繹法」をマスターしましょう!

「帰納」と「演繹」はロジカルに説明するための方法

人がロジカルに何かを説明しようとするとき、気づかなくても

  • 帰納法(きのうほう)
  • 演繹法(えんえきほう)

のどちらかを使って説明していることが多い。

自分のアイデアを上司に承認させたり、営業で顧客に納得させたりするためには、ロジカルにその必要性を説かなければなりません。

さもなければ、「それはただのあなたの考えでしょう?」と納得してもらえません。

帰納法と演繹法は、ロジカルシンキングの基本となっていますが、意識して使っている人はほとんどいないのではないでしょうか?

まずは、超カンタンに2つの違いを解説していきます。

例から学ぶ「帰納法」

帰納法は…同じような事象を複数見つけ、その共通点から結論を導く手法です。

イギリスの哲学者であるフランシス=ベーコン(1561~1626)が発展させた論理的思考法と言われています。

この説明だと漠然としていてわかりづらいので、例題を見ていきましょう。

「帰納法」による推論の例①

あなたはある実験をしました。

「りんご」「トンカチ」「本」を手に持って、ひとつずつ屋根の上から落としました。その結果、次のような発見がありました。

観測された事象

1つ目:りんごは地面に落ちた
2つ目:トンカチは地面に落ちた
3つ目:本も地面に落ちた

なるほど、そういうことか! つまり…
共通点から導かれる結論

全てのものは地面に吸い寄せられている、地球には引力がある!

このように、複数の観測された事象から、何かしらのルールや一般論を導き出す思考プロセスを「帰納法」と呼びます。

「帰納法」による推論の例②

ただし帰納法には、とある弱点があります。次の例を見てみましょう。

あなたは海で泳いでいた生き物を、網を使って3匹捕まえました。それを観察してみたところ、次のような発見がありました。

観測された事象

1匹目:サンマにはエラがついていた
2匹目:アジにはエラがついていた
3匹目:イワシにもエラがついていた

なるほど、そういうことか! つまり…
共通点から導かれる結論

海に住んでいる生き物はエラ呼吸をしている!

もうおわかりですね。

確かに海にいる生き物はエラ呼吸をしている「魚類」が多いですが、イルカやクジラは「哺乳類」でエラはありません。

帰納法の弱点は、「出された結論が間違っている可能性があることです。

例から学ぶ「演繹法」

演繹法は…一般論や法則を、個別の事象に当てはめ、結論を導く手法です

こちらは、フランスの哲学者であるルネ=デカルト(1596~1650)が発展させた論理的思考法と言われています。

基本的に、「演繹法」と「帰納法」とは思考の順番が違うだけです。

「演繹法」による推論の例①

また例を見ていきましょう。

前提

地球には引力があり、全ての「もの」は地面に落ちるこれは現代では疑いようのない常識であり、絶対の法則である

個別の事象

りんごは「もの」である

なるほど、そういうことか! つまり…
導かれる結論

りんごは地面に落ちる!

「帰納法」と順番が変わりましたね。

「演繹法」は、すでに絶対的な法則から結論を導くので、複数の観察対象は必要ありません

「演繹法」による推論の例②

次に「帰納法」では間違った結論が出てしまった例も見てみましょう。

前提

全ての魚類は、エラ呼吸をしている

個別の事象

アジは魚類の一種である

なるほど、そういうことか! つまり…
導かれる結論

アジはエラ呼吸をしている!

もうお分かりですね。演繹法は、100%間違えないロジックになるのです。

ただし、前提が間違っていたら全ての論理が崩壊してしまうことに注意です。

「演繹法」は次の3ステップのロジックになることから、

  1. まず絶対的な法則がある
  2. その法則に個別の事象を当てはめる
  3. 当然のごとく導き出される結論を述べる

演繹法を3段論法とも言います。これもよく聞くワードなので、覚えておいて損はないでしょう。

「演繹法」をビジネスシーンで使う方法

順番が前後しますが、先に「演繹法」の活用方法を解説します。

基本スタンスとして、「演繹法」で説明できることは、なるべく演繹法で済ませるのがいいです。客観的で説得力があり、かつ、たくさんの事例を探す必要がないのでダンゼン楽です

型にはめて説明する格好になるので、活用しやすいのも演繹法の特徴です。実際のビジネスのシーンだと、以下のような例が使えます。

「演繹法」活用シーン①:公的認証・資格を使う

  • 「演繹法」を営業に使うシーン
    :あなたが、IT商材を販売している営業だとします。
  • 前提
    :ISO27017は、クラウドサービス提供および利用のための情報セキュリティガイドラインです。

  • 個別の事象
    :弊社のクラウドサービスは、ISO27017を取得しています。

  • 導かれる結論
    :弊社のクラウドサービスは、セキュリティ対策をしており安全です!

業界標準の認証を取得していることで、一定の品質があるとアピールしている例ですね。

「資格」「学歴」もこれに当てはまります。

資格の場合

  • 前提:PMPはプロジェクトマネジメントの国際資格だ
  • 個別の事象:私はPMPを持っている
  • 導かれる結論:私は世界基準で通用するPMだ

学歴の場合

  • 前提:東京大学は頭が良い人が入る
  • 個別の事象:私は東大出身だ
  • 導かれる結論:私は頭がいい

といった具合です。

「演繹法」活用シーン②:業界の権威を使う

お次は広告やプロモーションの例です。上記の例に似ています。

  • 「演繹法」をマーケティングに使うシーン
    :あなたが、自社製品の売り出し方を検討しているマーケターだとします。
  • 前提
    :東京大学の〇〇教授はアンチエイジング研究の権威です。(※テキトーな例です)

  • 個別の事象
    :〇〇教授が当社の製品を監修しています。

  • 導かれる結論
    :当社のアンチエイジング製品は優れています!

こちらは資格の代わりに、その業界の「権威」を使っています。

わかりやすいのはアカデミックの権威です。「〇〇教授監修!」とか「〇〇博士監修!」のような謳い文句はよく広告に使われています。

何もない製品と、後ろに何かしらの権威がついている製品なら、後者の方がイメージがいいですよね。

「演繹法」活用シーン③:公表された統計データを使う

続いては、社内プレゼンで使えるシーンです。

  • 「演繹法」をプレゼンに使うシーン
    :あなたが、新しい事業を検討している企画部門担当だったとします。
  • 前提
    :政府の統計データによれば、中国ではこれから少子高齢化が本格化するそうです。

  • 個別の事象
    :当社のサービスは高齢者向けで日本で成功しています。

  • 導かれる結論
    :当社のサービスで中国に進出すれば成功します。

これは、政府の統計データという「公表データ」で演繹法を展開しています。

余談ですが、この例題は「タイムマシン戦略」に似た例ですね。

タイムマシン戦略とは、かつて孫正義氏が提唱した経営戦略です。アメリカで成功しているビジネスを遅れている日本に持ち込んで、新規ビジネスを高い確率で成功させる戦略です。

「演繹法」活用シーン④:フレームワークを使う

これが演繹法の最後の例です。先ほどよりちょっとテクニカルですが、より実践的です。

  • 「演繹法」を経営企画で使うシーン
    :あなたが、複数の事業ドメインを持つ会社の経営企画担当だったとします。
  • 前提
    :PPM(Product Portfolio Management)は、経営資源の配分の優先順位を決めるためフレームワークです。

  • 個別の事象
    :このフレームワークに当てはめると、当社の主力である人材派遣事業は「金のなる木」ですが、人材データを活かしたAI人事システムは「スター」です。

  • 導かれる結論
    :AI人事システムに、経営資源を集中させましょう。

これは「フレームワーク」に当てはめて、経営が進むべき方向性を判断しています。

フレームワークとは、経営学者や大手コンサルティングファームが編み出したもので、ビジネスを成功させるための思考の枠組みです。

フレームワークは、(時代遅れになっていなければ)ビジネスの法則とも言えます。フレームワークに当てはめて考えた結論は信憑性があり、ロジカルで説得力があります。

ちなみに例に出したPPM(Product Portfolio Management)とは、事業を4つの事象に当てはめて、どのようにヒト・モノ・カネの経営資源を分配するかを判断するフレームワークです。

他にも、心理学、経済学、行動経済学といった実践的な学問の理論を使うのもアリです。

「演繹法」を使うときのコツ

演繹法は客観的であり、たくさんの情報を必要としないので、簡潔でわかりやすいです。そのため、演繹法はプレゼンの冒頭資料や、広告とは非常に相性がいいです。

ただし、演繹法を使うときには、必ず気にかけておかねばならない注意点があります。それは前提の確からしさを担保することです。

次の例を見てどう感じるでしょうか?

  • 「演繹法」が機能しないシーン
    :あなたが、海外事業部の中途採用の面接官で、候補者から次のようなアピールを受けました。
  • 前提
    :TOEICは英語力の国際的な基準です。

  • 個別の事象
    :私は、TOEICで900点を取っています。

  • 導かれる結論
    :わたしは英語スキルが堪能です。

「普通の人よりは英語できるだろうけど、ビジネスで英語使うとなるとどうなの?本当にできるの?」という疑問がわきますね。

TOEICが高校英語の延長の机上テストに近く、実践的な英語力を測る基準ではないとみんなが思っているからです。

疑義を唱えられないためには、次の2点を意識しましょう。

疑義を唱えられないためのコツ

  • 前提にする情報の出典と確からしさを伝える
  • なるべく公的機関が出したデータを使う

余談ですが、議論で相手を論破するときは、相手が「演繹法」で前提にしている情報に異を唱えるのが効果的です。「そもそも参照しているデータ間違ってますよね?」と言われたら、もうロジックは崩壊です。

相手のメンツが潰れて関係悪化するので、積極的に使って欲しいわけではありません。ですが、ロジックとはそういう性質のモノなのです。

「演繹法」の限界を知っておく

演繹法における限界とは、ビジネスには絶対の法則はないということです。

全ての前提は、過去の情報から作られており、将来も変わらない保証はありません。いくら素晴らしい前提を積んだところで、法制度の変化や技術の進歩により、前提は変わってしまいます。

不確かなビジネスの世界で説得力のある前提となる情報は、どれも普遍的なものばかり。世界中で使い回されたフレームワークや、どこの企業でも見ている少子高齢化の推移など。

つまり、「演繹法」から導かれる結論でライバルと差別化するのは難しいということです。

あくまで、「このビジネスは、次にどの分野を攻めるべきか?」という大雑把な戦略レベルの決定に演繹法を使います。

具体的なビジネスモデルといった戦術レベルの決定は、演繹法では導き出せないのです。

「帰納法」をビジネスシーンで使う方法

「帰納法」の活用の基本スタンスは、「演繹法」では手の届かない検討を、「帰納法」を使って考えるということです。

演繹法で済ませられる範囲で前進できるときは、演繹法で考えていればいいのですが、どこかで必ず壁にぶち当たります。

こういうときには、実際のユーザーの声を集めて、これをサンプルデータとして解決の糸口を見つけます。つまり「帰納法」ですね。

例えば、次のようなシーンです。

「帰納法」活用シーン①:営業マン

  • 営業マンの悩み
    :たくさんのライバルがいる中で、営業で抜きん出るためにはどうすればいいか?机上でできる調査はもうやり尽くしている…。

営業であれば、足を使ってたくさんの顧客と話しましょう。

  • 「売れたときはこういう傾向があった」
  • 「失敗したときはこういう傾向があった」

という観測データを積み重ねます。

そこから共通点を見出し、あなたの業界、もしくはあなたの会社で誰も知らない成功パターンを見つけるのです。

「帰納法」活用シーン②:新規事業企画

  • 新規事業企画の悩み
    :新規事業をインバウンド向けという方向性は決めたけど、具体的なビジネスモデルが思い浮かばない…。

新規事業の企画はもっとシビアです。

誰でも入手できる情報で検討する「演繹法」で成功するようなアイデアなら、とっくに誰かがやっているはず

「帰納法」による思考なしで、新規事業を成功させることは不可能です。

潜在ユーザーへインタビューした生の声から、誰も気づいていなかった課題やニーズを引き出したときに良いアイデアが生まれます。

「帰納法」を使うときのコツ

「帰納法」は、前提となる情報が限られた事象(インタビューした数人のユーザーなど)から得たものになるので、どうしても客観性に欠けてしまいます。

集めた情報が、家族や友人から得ていた場合、「身内だからポジティブな意見が出ているだけじゃないの?」と色眼鏡で見られてしまいます。

集めた情報にバイアスがかかっていないことが重要です。

インタビューであれば、

  • なるべく自分と無関係な人に聞く
  • オープンクエスチョン(イエス/ノーや選択式ではない質問)で聞く
  • アンケートを使って、観測する事象数を増やして客観性を強化する

といった工夫が必要です。

まとめ

今回は「帰納」と「演繹」を解説しました。

いま自分はどちらを使って説明しようとしてるか、相手はどちらを使ってロジックを組んでいるか、意識してみましょう。

次の通りまとめます。

演繹法 帰納法
概要 一般論や法則を、個別の事象に当てはめ、結論を導く手法 同じような事象を複数見つけ、その共通点から結論を導く手法
メリット ・論理に客観性があり、間違いが起きづらい
・論理がシンプルでわかりやすい
・データを集める必要がなくて楽
・演繹法ではたどり着けない新しい発見ができる
デメリット ・ありきたりな結論になりがちで、ライバルや競合に差をつけるアイデアは出てきづらい ・論理の客観性に乏しく、間違いが起きやすい
・データを集めるために泥臭い作業が必要
向いているシーン ・広告
・プレゼン資料のつかみ
・そのほか、戦略レベルの判断
・ライバルの同僚や競合他社に差をつけたいとき
・新規事業の企画
・そのほか、戦術レベルの判断

「演繹法」と「帰納法」を使い分けよう

基本的には、「演繹法」を使いながらロジック展開するのが良いでしょう。間違いが少なく、手間がかからないからです。何よりロジカルです。

ですがここぞというとき、「これ以上の深い答えは、自分で探さなければ見つからない!」というときは「帰納法」を使いましょう。

おそらく何事も突き詰めれば、「帰納法」じゃなければ答えを出せない領域に差し掛かるでしょう。「演繹法」だけでは、既存の法則をなぞるだけの評論家になってしまうかも。

最後に勝つのは、自分自身で泥臭く集めた情報により、「帰納法」でこれまで誰も辿り着けなかった答えを導き出せる人なのかもしれません。

(参考)抽象と具体

もう一つ有名でよく似ているロジカルシンキングの方法があります。それが「抽象化」と「具体化」です。

  • 抽象化
    :複数の物事から共通点を見出すこと(≒帰納法)
  • 具体化
    :普遍的な概念を、特定(通常一つ)の事柄に当てはめること(≒演繹法)

普段の生活だと何となく抽象的はダメで、具体的なほど良いという印象を受けます。ですがこれは間違い。どちらもできなければなりません。

具体的じゃなければ行動に移せませんが、抽象的なモノの見方ができなければ正しい方角への舵取りができません。総じて抽象的な思考が足りない人が多い。

絶対の正解がない現代においては、答えのない場所に問いを投げかける抽象化のスキルがより重要です。本記事の文脈で言えば、演繹法だけじゃなく、帰納法も使えなければならないということです。

≫【できる人は知っている】抽象化と具体化のスキル。絶対に続けられるトレーニング方法とは?

【できる人は知っている】抽象化と具体化のスキル。絶対に続けられるトレーニング方法とは? ちゃんと説明をしてるのに、いつもうまく伝わらない 議論があっちこっち行って、まとめられない 斬新なアイデアが出て...

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≫【厳選】ビジネスマンがKindle Unlimitedで読むべき15冊

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冊数はKindle Unlimitedより少ないものの、Kindle Unlimitedにはない良書が聴き放題になっていることも多い。有料の本もありますが、無料の本だけでも十分聴き倒せます。

Audible 公式サイト

≫【厳選】ビジネスマンがAudibleで聴くべき17冊

ちなみにわたしは両方契約しています。シーンで使い分けているのと、両者の蔵書ラインナップが被っていないためです。

どちらも30日間は無料なので、万が一読みたい本がなかった場合は解約してください(30日以内であれば、仮に何冊読んでいても無料です)。

そして読書は、早く始めた人が圧倒的に有利。本は読めば読むほど、複利のように雪だるま式に知識が蓄積されていくからです。

ガンガン読んで、ガンガン知識をつけて周りに差をつけましょう!

とりあえず両方試してみて、それぞれのラインナップをチェックするのがオススメです!

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