コミュニケーション&論理的思考

【ビジネス文脈】相手の立場に立って考える、の意味とは?具体的に言語化します

  • ちゃんと相手の立場になって考えてみたら?
  • もっと顧客目線で考えたほうが良いんじゃない?

20代前半で法人営業をしていた頃に、よく上司に言われました。でも「相手の立場に立って考える」ってわかるようで、具体的にどうすれば良いのかわからないんですよね。

それもそのはず。相手の立場に立って考えるには意識改革が必要です。これまで「自分主語」で考えてきたことを、「相手主語」に矯正しなければならないんです。超難しいんです。

結局6年半営業をやって、新規事業でパートナー企業を口説く仕事をして、ようやく理解できました。7-8年かけてやっと矯正できました。(もしかしたら、まだまだなのかもですが)

相手の立場に立つということは、ハサミを渡すときに、持ち手を方を向けて渡すということ。意識すれば誰でもできますが、自分からは気づきづらいものです。

この記事では、相手の立場になって物事を考えるために必要な、「具体的なアクション」を丁寧に言語化しています。

ビジネスでの文脈を想定し、

  • 法人顧客の場合の考え方
  • 個人顧客の場合の考え方

に分けて解説しています。

ちなみにわたしは、どちらかというとコミュ障系でしたが、このポイントを押さえて多くの成功体験を得ました。

営業成績全国1位をとったり、超大手企業の大幹部に「昨日の提案が忘れられず、昨晩は寝れなかった」と熱い言葉をもらったりしました。

押さえる項目の数がちょっと多く感じるかもしれませんが、できるところからで大丈夫です!ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。

【ご法度】ビジネスにおけるコミュ障行動

まず最初に、相手の立場に全く立っていない「コミュ障行動」を押さえておきましょう。実はこういうコミュニケーションを取る人が少なくありません。

ちなみにビジネスにおけるコミュニケーションスキルは、性格が明るいとか、誰とでも仲良くなれるとか、そういう話ではありません。一見コミュ力高そうな人でも、NG行動は散見されます。

NG行動①:相手の相談に対して即答する

一問一答で回答がひとつしかないシーンなら即答でも良いでしょう。ですが世の中には絶対で唯一の答えがない場合がほとんど。人によりけり、場合によりけりです。

例えば、子供に「ぼく、今日学校へ行きたくない…」と言われて、「いいからすぐに支度しなさい!」と即答するのは正しいでしょうか?

理由を聞かなきゃわからないですよね。もしかしたら、本当は行きたいけど、友達と喧嘩したのが気まずくて、悩んでいるのかもしれません。言外の文脈を理解しない即答は乱暴すぎます。

上司や先輩は、部下や後輩からの相談に対して、自分の成功体験から「こうすれば良いんだよ」と即答しがちです。でもその回答は、相手の文脈に置き換えても成立するのでしょうか?

わたしは戦略を考えてから行動したい派なので、とにかく数うち当たれみたいなアドバイスは苦痛です。相手に向かない方法を取らせたところで、成果にはつながりづらいでしょう。

NG行動②:自分の要求から話す

客引きから「居酒屋どうっすか?」「カラオケどうっすか?」と言われても嬉しくないですよね。

自分の要求から話すコミュニケーションは、相手の文脈なんてお構いなしなんです。

もう少しお上品な言い方の、

  • 「今キャンペーンやってます!」
  • 「会員登録お願いします!」
  • 「オススメの料金プランはこちらです!」

も、本質は変わりません。コミュ障行動です。

【法人/個人共通】相手の立場になって考えるポイント2つ

法人・個人でも変わらずに意識しなければならないポイントから始めていきましょう。

「相手の立場になって〇〇を考える」だとピンと来づらいので、どのポイントも「〇〇を理解する」としています。主語を自分にした方がイメージしやすいと思うので。

これらを理解しておけば、相手の立場を慮ろうと意識せずとも、自然と相手目線のコミュニケーションを取れるようになります。

ポイント①:相手の知識レベルを理解する

相手が理解できる言葉を選ぶのが、コミュニケーション改善の第一歩。専門用語をペラペラ並べている人は、相手に全然優しくありません。

哲学の祖ソクラテスの残した教えに、「大工と話すときは、大工の言葉を使え」があります。

大工さんに、「コアコンピタンス」とか「コンバージョンレート」とか言っても伝わらないでしょ、という意味です。

ゴリゴリのコンサルタントなど、専門用語を使った方がコミュニケーションしやすい場合もあります。ですが、ほとんどのケースは易しい言葉を使った方が吉です。

初対面の人に対し、わたし個人が目安にしているのは、小学6年生の子供にも伝わるレベルです。

ポイント②:QCD(品質・コスト・納期)の優先度を理解する

製造業やシステム開発の現場では、

  • Quality(品質)
  • Cost(コスト)
  • Delivery(納期)

というフレームワークがよく使われています。

この3つはトレードオフの関係になるので、相手に優先順位をつけてもらわなければなりません。相手が意識していなかった場合は、あなたが導いてあげましょう。

もし予算がカツカツなら、品質や納期は妥協してもらわなければなりません。引っ越しにように期限が決まっているなら、多少コストが嵩むのは目を瞑ってもらわなければなりません。

「QCD」はあらゆる交渉ごとに応用できる代物です。ぜひ意識しましょう。ちなみに「全部優先する」は「全部優先しない」と同じ意味になるのでNGです。

【法人編】相手の立場になって考えるポイント4つ

先に法人顧客とのコミュニケーションで、相手の立場に立って考える方法を解説します。

個人相手と比べると、法人相手の方がロジックで見当をつけやすい特徴があります。

ポイント①:相手のビジネスモデルを理解する

まずは相手方の「ビジネスモデル」を理解しておく必要があります。

ビジネスモデルは、やや広義な意味を持つ単語ですが、ここでは「商流」「利益モデル」に着目します。

ビジネスモデルの中身①:商流

相手のビジネスは、

  1. 誰を顧客としていているか?
  2. 誰から仕入れているか?

を確認します。

誰を顧客としていているのか?

特に大事なのは、「顧客の顧客は誰なのか」です。

あなたが相手のお客さんを見るように、お客さんはその先のお客さんを見ています。ここがわからないと、相手と目線がずれたまま話すことになります。

文字にするとややこしいですが、「お客さん」と一緒に、「お客さんのお客さん」を主語にして会話ができると、すごく良いコミュニケーションになります。

こういう考え方ができる人はとっても少ないので、相手からは非常に信頼されます。

誰から仕入れているのか?

相手の法人の仕入れ先は、あなたのライバルになる場合があります。この場合は「競合を理解する」という意味になります。

ですが、ライバルではなく協力関係になる場合もあります。

あなたが繊維商社の営業だったとします。そしてとあるアパレルブランドに美しい布地を提案しています。

この場合、仕入先にあたる縫製工場がその布地を扱います。アパレルブランド自体が工場作業しているわけではありません。

なので縫製工場の会社の存在を知っておこうね、という話になります。

相手方からすれば、個社名までは知らなくても、どういう業種の会社が仕入れ先になっているかは知ってて欲しいところ。

押さえておけば、相手のコミュニケーションコストが下がります。あなたは「話がわかる人」と認識されるようになります。

ビジネスモデルの中身②:利益モデル

一般的なビジネスは、基本的には「利益」が最終目標値になっています。利益を因数分解して、おおよその変数を明らかにします。

汎用的にすると、次の図のような感じになります。

この数字のどれかを改善できなければ、相手方にとってはやる価値がない施策ということになります。この的を外してしまうと、箸にも棒にもかからない提案になってしまいます。

なお、必ずしも全変数の分析が必要なわけではありません。

あなたが提案したい商材がアプローチできる変数と、その周辺の変数が確認できていれば良いでしょう。売上を上げるための提案なら、コスト関連の変数は重要ではありません。

なお相手のビジネスモデルを理解しなくても、問題なくコミュニケーションが成立する場合があります。

わかりやすく言えば、相手の売上には寄与しない商材ですね。例えば、

  • バックオフィスツール
  • 通信インフラ
  • オフィス什器

などなど

は、相手のビジネスモデルに依存しないことが多いでしょう。こういう商売は、相手のビジネスモデルの理解が必須でない代わりに、ただの下請けになりがちです。

ビジネスモデルで語り合えない人は、相手からはビジネスパートナーとは見なされません。相手との会話は「値下げの話」が多めになります。

逆に言えば、仮にあなたが相手の売上には関係なさそうな商材を扱っているとしても、相手の売上に絡めて話ができるようになれば、一皮も二皮も向けた存在になるでしょう。

≫【シンプルに考えよ】売上のロジックツリーを解説。売上を上げる5つのレバーを押さえよう

ポイント②:相手のKPIを理解する

KPI(Key Performance Indicator)は、日本語では「重要業績評価指標」と言います。相手が日々追われている数字であり、その良し悪しで評価される数字でもあります。

KPIは列挙しているポイントの中で1番クリティカルです。KPIを改善できる施策は相手にとって、ストレートでもっとも嬉しい提案になります。

会社の中の担当者であれば、部署ごとに何らかのKPIが振られているはず。経営者が相手なら、いま1番関心がある指標がそれです。

KPIは想像ではなく、直接ヒアリングしたいですね。できれば「具体的な目標値」や「現状と目標値までのギャップ」も知れるとさらに良い。

結局相手は人なので、その人の利を説かないことには動いてくれません。あなたは先方の会社に良かれと思っていても、目の前のその人に旨味がなければ、提案としては手落ちなのです。

≫_KPIとKGIの違いとは?KSFって?4ステップの設定方法を解説

ポイント③:相手の制約を理解する

「制約=規制」と捉えてもらってOKです。各種業界には、ビジネスモデルに影響する重大な規制があるケースが多いです。代表的なのは医療系や金融系でしょう。

規制を理解せずに、お医者さんに「キャンペーンで患者をバンバン呼びましょう!」なんて提案は通りません。提案したところで、「そもそもそれできないし」とちゃぶ台返しされて終了です。

真面目に提案するなら、相手のビジネスに関する代表的な法律の要点は押さえておきましょう。ただしビジネスモデルやKPIに比べると、重要度は落ちます。

ポイント④:組織の中での相手の役割を理解する

相手が末端の担当者なのか、あるいは部長か、はたまた社長か。組織の中の役割を理解すると、こちらが使う言葉遣いが変わります

  • 現場に近い人は、実務レベルの話を気にします
  • 経営層に近い人は、事業の方向性を気にします

末端の担当者は細かい料金プランを気にしますが、ある程度の規模の会社の社長はいちいち細かいプランなんて気にしません。

一方で同じ社長でも、零細企業の社長なら細かいプランまで気にするでしょう。相手の役割によって、どの粒度で会話するかが変わってきます。

【個人編】相手の立場になって考えるポイント2つ

続いて個人相手のビジネスで、相手の立場にあったコミュニケーションのコツを解説していきます。

個人は法人と違い、「利益」とか「KPI」のような分かりやすい指標はありません。なのでより複雑になります。ここでは大枠の考え方を2つ紹介します。

ポイント①:相手の欲求を理解する

法人でいうところの「利益」は、個人の場合は「欲求」に置き換えられるでしょう。

欲求は千差万別なので、「コレっ!」というものはありません。ただヒントはあります。

マズローの欲求段階説を見てみましょう。

低位の欲求が優先され、解消されていくごとに、上位の欲求が重要になっていくという見方をします。

1番強い欲求は、生命を維持するための欲求や、身の安全を求める欲求。最低限度の生活にも困窮する人は、まずはここを乗り越えないことには、次の欲求に辿り着きません。

身の安全がクリアできている人は、「他人とのつながり」を求めます。これも満たされれば、自分が重要な人物だと思いたい「承認欲求」が強くなります。

承認欲求すら突き抜けた人は、各々の理想とする生き方を追求したい「自己実現の欲求」に駆られます。こここまで辿り着ける人は多くありません。辿り着いた人はすでに一定の成功を収めている場合が多く、客単価は上がるかもしれません。

≫ マズローの欲求段階説とは?例を交えて丁寧に説明【全ての根源は「欲求」にある!】

ポイント②:一つ上の目的を理解する

相手の口から出た「欲しいもの」は、その上位にある「目的」を達成するための手段でしかありません。重要なのは「目的」を知るところにあります。

抽象的でわかりづらいので、例を出しましょう。お客さんが、「帽子が欲しい」と言ったとします。

相手の立場に立って考えられない人は、売れ筋だったり、お客さんの年齢や性別から似合いそうな帽子を見繕って選ぶでしょう。ほとんどの人がやってしまいます。

ですが重要なのは、「なぜ帽子が欲しいのか?」の目的です。

単にオシャレのためかもしれませんし、日焼け防止のためかもしれません。もしかしたら、宗教的に頭を隠したいからかもしれません。

日焼け防止のためなら、

  • UVカット
  • 光を吸収する黒い色
  • 日差しを遮る長いつば

といった特徴がある帽子が良いでしょう。これらは目的をヒアリングしなければ辿り着けない答えです。

お客さんの口から出た「欲しいもの」は、お客さんが「目的を達成するため手段」だと思っているものに過ぎません。そしてその手段が最適解とは限りません。

あなたはもっと有効な「手段」を思いつけるかもしれません。より良い手段の提案は、より高い単価につながり、あなた個人への信頼にもつながります。

まとめ

今回は、ビジネスマンなら誰もが悩んだことがある「相手の立場になって考える」とはどいう意味なのかを言語化してみました。

「自分ではない相手の心を想定して考える」みたいな思考だと頭がこんがらがるので、「相手の〇〇を理解する」に置き換えた次第です。

誰が相手でも意識すべきコツは次の通り。

【法人/個人共通】相手の立場になって考えるポイント

  1. 相手の知識レベルを理解する
    :相手に伝わる言葉を選んで使う
  2. QCDの優先度を理解する
    :品質・納期・コストの優先度をヒアリングする。全部優先はNG

相手が法人の場合は、次の点を押さえましょう。特に①と②が重要です。

【法人】相手の立場になって考えるポイント

  1. 相手のビジネスモデルを理解する
    :顧客の顧客が誰なのかを理解する。利益に貢献する変数を突き止める
  2. 相手のKPIを理解する
    :相手の人がもっとも関心がある数字が何かを突き止める
  3. 相手の制約を理解する
    :先方のビジネスに絡む規制を理解する
  4. 組織の中での相手の役割を理解する
    :現場に近い人には実務的な、経営に近い人にはより大きな方向性を示す内容を話す

個人の場合は、法人と違ってケースが当てはめづらい。大枠の考え方を押さえましょう。

【個人】相手の立場になって考えるポイント

  1. 相手の欲求を理解する
    :マズローの欲求段階説がヒント
  2. 一つ上の目的を理解する
    :お客さんが欲しがるものは、目的達成の手段に過ぎない。その目的を知ればより良い手段を提案できる

意識しているうちに、だんだんと意識しなくても自然とこういう思考になると思います。そうなったら「相手の立場になって考える」の矯正完了ですね。

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