ちょっとやる気を出した社会人や大学生が、まず最初に考えるのが「何か資格でも取ろうか?」です。
しかし、「取ろうかな?どうしようかな?」と思っている時点で、その資格は必要ありません。あなたのキャリアの役にも立ちませんし、長期的に考えたらあなたの成長を阻害する要因になります。
この記事では、資格取得に意味がない4つの理由を解説しています。
よく聞く次のようなセリフは、全て誤った考え方です。
- 資格がないよりマシ。普通自動車免許だけは恥ずかしい
- 実績がないなら、資格でアピールするしかない
- 資格がいらないなんて、優秀な人間の考え方だ
いずれも目線が短期に寄りすぎています。
人生スパンや向こう10年のキャリアといった長期を見据えた場合、最も大事なリソースは「時間」です。日々の生活や仕事の合間を縫って、学習に使える時間はそう長くはありません。家族持ちならなおさらです。
そんな大事な時間を、「たかが資格なんか」に費やしてはいけません。
もしあなたが資格取得を検討しているなら、ぜひこの記事を読んでください。5〜10分程度で済みます。もしかしたら、数百時間、あるいは数千時間の節約になるかもしれませんよ?
必要な資格と不要な資格
本記事の結論は、「資格なんて目指すな」ですが、絶対にそうと言うつもりはありません。やはり必要な資格もあります。
あなたが取得を考えている資格は、「必要な資格」でしょうか?それとも「必要ない資格」でしょうか?
【必要】その職業に不可欠な資格
あなたが目指す先(基本的には職業)に、エントリーする時点で求められる資格は、必要な資格です。
これは文字通りの意味で「資格」です。その資格を持っていなければ、「あなたはその先に進む資格がない」ということになります。
例えば次のような資格です。
- 弁護士資格
- 医師免許
- 保育士資格
- 宅建
- 普通自動車2種免許
など
あなたの夢や目標の達成にこれら資格が必要なら、取得しない選択肢はありません。当たり前すぎて、その資格を取ることを悩んだり躊躇したりすることもないはずです。
ただしあなたの夢や目標に必ずしも必要不可欠ではなく、「この資格があった方が幅が広がりそう」くらいの動機なら、その資格は不要です。
【不要】知識やスキルのレベルを示す資格
中には本当の意味での資格ではなく、あなたが持っている知識やスキルのレベルを定量的に示す資格もあります。こちらの資格は、基本的には必要ありません。
例えば次のような資格です。絶対ではないですが、「点数」や「等級(1級、上級など)」がある資格は必要ないでしょう。
- TOEIC
- 簿記
- 秘書検定
- ITパスポート
など
ただし例外もあります。
例えば「TOEIC800点」が、昇給や海外赴任の社内条件になっている場合。レベルを示す資格であっても、意味合いとしては「弁護士資格」や「医師免許」に近くなります。
逆に言えば、そのような達成条件がなく、ただ箔をつけるための資格は必要ないということです。
理由①:ムダが多いから
あなたが持っているリソースの中で、もっとも貴重なのが「時間」です。資格の勉強には大抵ムダな箇所が含まれており、貴重なリソースを無為に浪費してしまいます。
実務に必要ない範囲が含まれている
中の人が真っ当に運営している資格ほど、試験範囲が網羅的にできています。
例えば「中小企業診断士」は、およそ経営・ビジネスに関わる全ての要素が絡んでくるので、ボリュームは相当なもの。より幅広いケースに対応できる資格にするため、どうしても網羅的である必要があります。
しかし、試験範囲の全てを実務で使うことは、まずありません。
中にはその分野の歴史のように、誰も使わない知識もあるでしょう。見たのは試験勉強のときだけで、その後は忘れてしまうような知識も多分に含まれています。
「実務では使わないが、資格取得に必要だから学ぶ」というのは、手段が目的化してしまっています。本質的には意味が学習に、貴重な時間を割いているのです。
古くなっている情報もある
資格試験を作っている中の人が、既に前線を退いているケースが往々にしてあります。そうなると、試験範囲の内容が、既に過去のものになっている可能性が高くなります。
100歩譲って、試験範囲の鮮度を保とうと努力したとしても、その努力には限界があります。
あらゆる業界は、技術の影響を避けられません。新技術が登場すれば、その業界でのベストプラクティスも変わります。これほど技術進歩が早くなっている現代では、試験範囲は常に1歩遅れた内容になってしまうでしょう。
あえて最新ではなく、古い情報を勉強する意義を見出せません。
理由②:アウトプット不足になるから
多くの資格試験は、基本的にインプット型の学習になります。テキストを読んで、過去問を解いての繰り返しです。
しかしアウトプットがない学習は非効率です。ある実験によれば、もっとも脳への定着率が高いのは、「アウトプット7:インプット3」の割合でした。
英語のテキストを読むよりも、外国人の友人を作った方がよっぽど上達は早いでしょう。FPの勉強をするよりも、まず実際に投資をしてみることです。
資格の勉強に取り組むことが、かえって成長を妨げる結果になってしまうわけです。これは非常に皮肉な話ですね。
理由③:就活で有利になるという誤解
もしその職業に不可欠な資格であれば、それは文字通りの「資格」です。配送業をやりたいのに、車の免許を持っていなければ話になりません。
しかしそうでない場合、ただの箔付けの資格が就活に有利になるとは考えない方が懸命です。
意味のない資格は趣味と変わらない
まず「なんであれ資格があった方が箔が付く」という考え方は、根本的な誤解です。
不動産と関係ない業界で「宅建」を持っていると履歴書に書いたところで、それは「けん玉で、もしもし亀よが100回できます」と書いているのと変わりません。
業務に関係ない資格であれば、いくら並べ立てたところで価値はありません。
最終面接官は資格を重視しない
たくさん資格を持っている人を「勤勉!優秀!」と評価する採用担当者がいたとしたら、その人は相当センスがありません。早く気づくか、別の人に代わってもらった方が賢明でしょう。
また大抵の場合、最終面接官は人事の担当者ではなく、経営幹部です。
真っ当な経営感覚を持っている人であれば、「その資格を取得した理由」に注目します。もし動機が薄ければ「コイツは、時間の優先順位がつけられないヤツだ」と判断するでしょう。
むしろ資格がマイナスの印象に映る可能性すらあります。ベンチャーのように最短の道のりで成長を目指す企業なら、立派な資格を持つ候補者に、直感的に違和感を覚えるでしょう。
現場経験に勝る資格なし
断言します。現場経験より資格を重視することは100%ありません。
TOEIC満点よりも、実際に外国人と英語で仕事をした経験の方がはるかに重要です。簿記2級を持っているよりも、実際に経理事務の経験がある方がはるかに重要です。
なぜなら、企業が欲しいのは「実務をこなす力」だからです。
所詮資格などは、実務のレベルを測る上での参考にしかなりません。目の前で日本語をしゃべっているあなたに、日本語検定の資格を求める人がいないのと同じことです。
もしあなたに、「実務を積むより、資格の方を優先しよう」という気持ちがあるなら、それは「実務に自信がない」と認めていることになります。自信がある人ほど、資格なんていらないと思っています。
仮にあなたが、実務に自信がないとしても、資格に頼るべきではありません。既に述べてきたように、資格のための勉強は、基本的に非効率になりがちだからです。
「急がば回れ」の通り、一見すると遠回りに見える道のりが、実際には最短距離です。資格に逃げようとすれば、現場からの叩き上げにあっという間に差をつけられてしまいます。
理由④:レッドーシャン市場だから
個人的に、資格の勉強をオススメしない最大の理由は、基本的に「資格のある職種=レッドオーシャン」だからです。これに関しては、全資格に共通するネガティブな側面です。
よくよく考えてみましょう。
なぜその職種に関する資格が誕生したかといえば、元々その職種に需要があったからです。もちろん今でも需要はあるでしょう。そこまではOKです。
しかし資格というわかりやすい目標ができると、そこに多くの人が群がります。なぜなら、自分の頭で深く考えることなく、「その資格があれば食っていける」と短絡的に結論を導けるからです。
結果として資格の存在によって、その業界は競争が激しくなり、また値踏みされるようになります。学生時代と同じく、他人の採点結果を仰ぐ世界に自ら門をくぐることになります。
大きな成功は得られなくなる
資格によりレッドオーシャンと化した業界は、下限の収入もある程度決まりますが、上限の収入も決まってしまいます。生活費は得られるかもしれませんが、法外な成功もありません。
その資格があることで、その業界の相場ができてしまうからです。また他にも資格保有者がたくさんいるので、あえて高い人を選ぶ理由もありません。資格保有者は替えが効く存在なのです。
もしあなたにどれほどの実力があったとしても、税理士なら税理士の、中小企業診断士なら中小企業診断士の相場に、どうしても当てはめられてしまうでしょう。
頂点も取れない
資格という枠が設定されてしまうと、ある意味でスポーツ競技の様相になります。みんなが同じルールで戦うことになるので、あなたが頂点に立つことは極めて困難になります。
反対に世の中で大きな成功を掴んだ人は、他人とは違う道を貫いています。
- YouTuberのヒカキンさん
- ソロキャンプで再燃した芸人のヒロシさん
- 現役保育士ながら、育児に関する研究をしているてぃ先生
不確かな道なので、その道に資格などありません。しかし競争相手が少ない分、ちょっとクオリティが高いだけで1位になれてしまいます。貴重で替えが効かない存在なので、値踏みもされません。
極論、キャリアとして考えるなら「資格があるビジネス=斜陽」になってしまうのです。
その資格が足枷になるジレンマ
「一貫性の法則」により、人は1度ある立場を取ると、その後も一貫した行動を取るようになります。大々的で取得が難しい資格ほど、より大きな一貫性の力が働きます。
資格を持ってしまうこと自体が、あなたの将来の幅を狭めてしまう要因になりかねません。資格があるが故に、赤く染まっていく市場でずるずるキャリアを継続させることになるのです。
弁護士資格を持っている人は、その後も資格が生きるような法律関係の仕事を選ぶようになるでしょう。もし他の業界に興味が移っても、昔取った杵柄は捨てられません。
逆にしがみつく資格がない人は、自由に新しい分野に挑戦できます。勃興した頃のインターネット業界やWEB3.0業界など、新しい分野にチャレンジするのは、いつだって若い持たざる者でした。
大局的に考えれば、新しい分野により大きなチャンスが眠っていることは明白です。資格があることがかえって足枷になることも、よくよく理解しておくべきでしょう。
結論:思考停止から抜け出そう!
今回は、キャリアにおいて資格が必要ない理由を解説しました。資格取得を考えている、あるいは既に行動を始めている人には、耳の痛い話だったかもしれませんね。
繰り返しになりますが、「取ろうかな?」と迷っている時点で、その資格はあなたに必要ありません。本当に必要な資格なら「取るしかない」ので、そもそも迷いません。
「資格があるだけマシ」は低レベルな発想
「1mmも勉強もしてない奴より、何であれ資格を持っている人の方がマシ」という意見をよく聞きます。確かにそれはその通り。遊び呆けてた大学生よりは、簿記3級でもあった方がマシでしょう。
しかしそれは、「バックれる奴より、遅刻する奴の方がマシ」という、実に低レベルな比較優位の話です。およそベストを目指す人の考え方ではありません。
勉強しようという意欲があるのは、その時点ですでに素晴らしいことです。それだけに、安易に資格に流されてしまうのは、本当にもったいないことだと思います。
自分の頭で考えよう!
安易に資格に飛びつきたくなるのは、
- 「そこに確かな需要がある」と、深く考えなくとも分かるから
- 「その通りに学習すればOK」と、プロセスを自分で考えなくて済むから
ですね。
しかしカンタンに需要を確信できるということは、その市場は既に競合だらけだということです。おまけわかりやすい目標設定までしてくれているので、飛びつく人が大量にいることも想像に難くありません。
つまり「本当に美味しい市場は、思考停止で辿り着ける資格の先には転がっていない」ということです。
結局のところ、キャリアの成功は「希少性」にかかっています。
難関資格はそれなりに希少性が発揮されるでしょうが、替えはいくらでも効きます。同じ量の努力をするなら、資格がない荒野で努力をした方が、はるかにコスパが良いでしょう。
- 将来需要が増すのは、どんなスキルや知識なんだろう?
- そのスキルや知識を習得するには、どんなロードマップが必要だろう?
と、自分の頭で考えましょう。あなたが存分に活躍できて、なおかつ高い収入を得られるブルーオーシャンは、その先にあります。
社会人の学びに「この2つ」は絶対外せない!
あらゆる教材の中で、コスパ最強なのが書籍。内容はセミナーやコンサルと遜色ないレベルなのに、なぜか1冊1,000円ほどしかかりません。
それでも数を読もうとすると、チリも積もればで結構な出費に。ハイペースで読んでいくなら、月1万円以上は覚悟しなければなりません…。
しかし現代はありがたいことに、月額で本読み放題のサービスがあります!
外せない❶ Kindle Unlimited
Amazonの電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)」は、月額980円。本1冊分の値段で約200万冊が読み放題になります。
新刊のビジネス書が早々に読み放題になっていることも珍しくありません。個人的には、ラインナップはかなり充実していると思います。
外せない❷ Audible
こちらもAmazonの「Audible(オーディブル)」は、耳で本を聴くサービスです。月額1,500円で約12万冊が聴き放題になります。
Audibleの最大のメリットは、手が塞がっていても耳で聴けること。通勤中や家事をしながら、子供を寝かしつけながらでも学習できます。
冊数はKindle Unlimitedより少ないものの、Kindle Unlimitedにはない良書が聴き放題になっていることも多い。有料の本もありますが、無料の本だけでも十分聴き倒せます。
ちなみにわたしは両方契約しています。シーンで使い分けているのと、両者の蔵書ラインナップが被っていないためです。
どちらも30日間は無料なので、万が一読みたい本がなかった場合は解約してください(30日以内であれば、仮に何冊読んでいても無料です)。
そして読書は、早く始めた人が圧倒的に有利。本は読めば読むほど、複利のように雪だるま式に知識が蓄積されていくからです。
ガンガン読んで、ガンガン知識をつけて周りに差をつけましょう!
とりあえず両方試してみて、それぞれのラインナップをチェックするのがオススメです!