心理学・行動経済学

【隙間の魔力】パーキンソンの法則とは?あなたの自由を縛る正体はコレだった

  • 「年収1,000万円なのに、全然貯金ができない!」
  • 「人員を増やしたのに、忙しさ変わらないじゃない!」

こんな声をよく耳にしませんか?とっても不思議ですよね。

えっ、年収400万円でも普通に暮らせるはずなのに、1,000万円もあって貯金ができないの?新しい人の雇えば、一人当たりの労働量は減るはずなのに、忙しさは全然変わらないってどういうこと?と。

これは「パーキンソンの法則」による現象です。パーキンソンの法則により、人は余ったリソースを全部使い果たすように自然と行動してしまうのです。

この記事では「パーキンソンの法則」を具体例で解説しつつ、残業を減らしたり、貯蓄を増やしたり、顧客の売上をUPさせる応用方法を紹介しています。

時間やお金に追われて、人生に窮屈さを感じている人は、ぜひ最後までチェックしてみてください!

パーキンソンの法則とは?

パーキンソンの法則(Parkinson’s Law)は、次の2つからなる法則です。

  • 第一法則
    :仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
  • 第二法則
    :支出の額は、収入の額に達するまで膨張する

1958年に、イギリスの歴史学者・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンの著書『パーキンソンの法則:進歩の追求』で提唱されている法則です。

第一法則について

パーキンソンがイギリス帝国の官僚制を観察したところ、当時イギリス帝国が縮小していたにもかからず、殖民地省の役人の数が増加していることがわかりました。

イギリス帝国の役人は、仕事の有無に関わらず役人の数が一定割合(年率5.17〜6.56%)で増加していたこともわかっています。

この現象に対しては、

  • 役人(人)は、なるべくライバルではなく、部下を増やしたがる
  • 役人(人)は、相互に仕事を作り合う

の2つの要因が指摘されています。

人員を増やせば一人当たりの仕事の量は減るはずです。しかしながら、本来2−3時間で終わるような仕事しか与えられていなかったとしても、8時間フルに使うような仕事の仕方をしてしまうということです。

第二法則について

第二法則は、予算財源を常に使いきってしまい、国民の税負担が増加の一途を辿っていたイギリスの財政状況から導き出されたものです。

現代の日本でも同様の現象が起こっています。役所の各部門には予算が振られていますが、大抵それを使い切るようになっています。結果として、大して重要ではない仕事でも、その部門の予算消化のために血税が使われているのです。

要約:パーキンソンの法則=資源を使い切ってしまう法則

つまるところ、パーキンソンの法則とは、「資源(人・もの・金・時間)があればあるだけ使い果たしてしまう現象」と言えます。

あなたの身近なパーキンソンの法則

パーキンソンの法則は、あなたの身の周りにも潜んでいます。身近な事例を3つ取り上げてみましょう。

打ち合わせの時間が長引く

打ち合わせは1時間でセットされるケースが多いと思います。30分で終わるような議題でも、なんやかんやと1時間ギリギリまで使ってしまった経験は誰しもお持ちでしょう。

わたしも営業時代に覚えがあります。お客さんに1時間枠でアポをとって、話が早めに終わりそうになると、意味のない雑談を無意識に時間を埋めようとしていました。

社内の打ち合わせも、参加メンバーがなんとなく「この会議は内容的にすぐ終わるだろうな」と直感的に感じているときってありますよね。こういうとき、全然違う仕事の話を15分くらいしてから本題に入ることもよくありました。

人員は増えているはずなのに、いつも人手不足

わたしは法人営業時代にのべ数百社のお客さんと接してきましたが、すべからく「ウチは人手不足だからね〜」と言っていました。「ウチは今の人員で十分だよ!」と言っていた会社は、1社もいなかったんじゃないかと。

でも不思議なもので、人員は当初から大幅に増えていることも多いんですよね。

わたし自身の経験で、とある新規事業のプロジェクトを、最初はたった3人で始めました。ダブルブッキングやトリプルブッキングは当たり前。「せめてもう3人いれば楽になるのに…」と思っていました。

その後、プロジェクトが社内ベンチャーを立ち上げるまでに至り、総勢20人程度まで増えたのですが、なぜか忙しさは変わらない。結局組織が大きくなると、それに応じて仕事を作り出してしまうので、一向に人手不足が解消されないのです。

今にして思えば、本当に必要な仕事に絞れば、10人で十分回せたろうにと回想します。ちょっと苦い思い出ですね。

収入が増えたら引っ越す

昇進して年収が上がったので、もう少し広い家に引っ越すなんなら家を買ってしまうか。なんて話をよく耳にします。家だけじゃなく、車や家電も同じ話です。

収入を増えたら、生活水準を上げたくなってしまう現象も「パーキンソンの法則」によるものです。「年収1,000万円あるのに、余裕がない!」という家庭は典型的な例でしょう。

日本人の平均年収は400万円程度ですが、実は老後に生活が困窮しやすいのは年収700万円の層という話があります。一度上げた生活レベルを下げることができず、いずれ貯金が枯渇してしまうわけです。(参考記事

【考察】パーキンソンの法則の本質は「隙間を埋めること」

パーキンソンの法則は、「資源(人・もの・金・時間)があればあるだけ使い果たしてしまう現象」です。

ここからは個人的な見解ですが、パーキンソンの法則の本質は、「人間は隙間があると埋めたがる」という性質にあると考えています。

  • 家でカレーを食べるとき、いつものお茶碗より大きなお皿にご飯を盛ると、なんだかいつもより多く盛ってしまう
  • 大きな本棚を買ったら埋めたくなってしまう
  • 大きなコップを渡されたら、自然と8分目くらいまで注いでしまう。

こんな風に、人間は隙間が生じたときに、それを埋めにいく習性があるのでしょうか?

【生かすも殺すもあなた次第】パーキンソンの法則の応用方法

パーキンソンの法則は、自分の行動を戒める反面教師にもなりますし、売上をあげるテクニックにもなります。パーキンソンの法則に溺れて損をするか、使いこなして得をするかは、あなた次第です。

パーキンソンの法則であなたの行動を戒める方法4選

パーキンソンの法則に気づいていない人は、時間的にも空間的にも、隙間があれば埋めに行くでしょう。

ですが、あなたはもうパーキンソンの法則がなんであるかを理解しています。あなたは自分の時間やお金を浪費しないために、次のような工夫ができるでしょう。

①タスクは期限を切る

自分の仕事にはなるべく納期を設けたくないのが本音です。ですが、納期を伸ばせば伸ばすほど、ダラダラ引き伸ばすことがわかっています。となれば、あえて自分自身に納期を課すのが良いでしょう。

カレンダーに作業時間を入力しておいて、そこでやり切るように仕事を進めるのがオススメです。注意点として、必ず定時内の時間でカレンダーに入れていきましょう。残業ありきになると、終電まで仕事をダラダラ引き伸ばすことになりかねません。

②予定の隙間を奨励する

パーキンソンの法則により、予定の隙間を気持ち悪く感じる人もいるでしょう。その隙間を埋めるように、急ぎではない仕事を入れたり、大した用事がないアポを入れたり、そんな経験はないでしょうか?

パレートの法則に従うなら、意味のある仕事は20%で、無意味な仕事は80%。急ごしらえで作り出す仕事は、大抵優先度が低い無意味な仕事です。

空いたスケジュールは、本当に取り組むべき仕事を決めるために、じっくりと考える時間にしてみてはいかがでしょうか?

③一度生活レベルを最低限に落とす

これはわたし自身が実践して効果テキメンでした。

ふとしたきっかけで、なるべく投資に回せるお金(いわゆる入金力ですね)を増やそうと思い立ち、ろくに管理していなかった家計を、マネーフォワードで全部見える化させました。

そして、年収が上がるにつれ、知らず知らずのうちに食費が上がっていることに気がつきます。食費以外も削れる支出は削り、これ以上は下げられない水準まで下げたところ、月の生活費は約30万円→20万円まで下がりました。

荒療治で一度生活水準を落とすと、不思議なことにムダに贅沢する気がなくなります。余ったお金は、投資や本当に必要な支出に回せるようになり、以前よりも豊かさを感じるようになりました。

④部屋の収納スペースを増やさない

棚は大きければ大きいほど、小物を増やしてしまいます。クローゼットは大きいほど、余計に服を増やしてしまいます。本棚、食器棚、冷蔵庫などなど、収納スペースが大きいほど、支出は増えていきます。

物が増えるのは単純に支出が増えるばかりでなく、管理コストもついて回ります。汚れたら洗濯したり、定期的に整理したり、壊れたら修理したり。引っ越すときもコストになります。

収納スペースがあるだけ物を買ってしまうのは、人間の修正なので、最初から収納スペースを制限しておくのが得策です。さらにスペースを拡張する貸し倉庫なんて言語道断。

パーキンソンの法則を応用して売上をあげる方法2選

パーキンソンの法則の本質は、隙間を埋めたくなる衝動にあります。隙間を意図的に増やしたり減らしたりすれば、相手を意のままに操ることができるでしょう。

①お客さんに買い物カゴ(なるべく大きな)を持たせる

先日のこと、輸入食品チェーンのカルディに行ったところ、入り口でカゴを渡されました。洋服のアウトレットなんかも、入り口で大きな手提げ袋をもらいますよね。

これは親切でそうしているのではなく、売上が上がるからそうしているのです。カゴの中に飴玉一つじゃ収まりが悪い。なればカゴが程々に埋まるまで、商品を投入していくでしょう。

小売のような物理的な商品を扱う業種であれば、きっと一つや二つ使いどころがあるはず。

デジタル商品であっても応用は可能です。スマホの容量が大きければ、それだけたくさんのアプリや写真や音楽をダウンロードするようになるでしょう。Kindleの容量が大きければ、それだけ多くの本を購入するでしょう。

②申し込みに期限を設ける

いつでも購入を申し込めるとすれば、顧客は相見積もりをとったり、さらに必要性を検討したりします。そうなれば、顧客の温度が下がったり、他社が付け入るスキを与えたりしてしまいます。

「いましか購入できません!どうしますか?」と迫れば、顧客はノータイムで決断せざるを得ません。他と比べる余裕はなく、「その商品が欲しいか?払える値段か?」だけの判断になり、成約率アップが期待できます。

不動産屋なんかも、「あの物件いま決めないと、明日にでも埋まっちゃいますよ!」なんて、急かしてきますよね。アレはかなり効果あるんじゃないでしょうか。

申込みの締め切りを設けられない商品の場合は、割引購入できる期限を設定するのが有効です。

まとめ

今回は「資源(人・もの・金・時間)があればあるだけ使い果たしてしまう現象」であるパーキンソンの法則を紹介しました。実際には、「隙間や余裕があれば、それを埋めたくなってしまう現象」と捉えられます。

  • 年収が上がればそれだけムダな消費を増やす
  • 時間があればギリギリまでダラダラと仕事を続ける
  • 収納スペースがあると、ついつい埋まるまで物を増やしてしまう

といった具合ですね。戒めにして、時間やお金を浪費しないように気をつけましょう。

この現象を逆手にとると、

  • 買い物をカゴを持たせれば、それを埋めるように購入点数を増やしてくれるでしょう
  • 購入期限に締め切りを設けて、検討時間を制限すれば、制約率アップが見込めるでしょう

といった具合に、顧客を操って売上を増やすこともできます。したたかに活用しましょう。

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