『影響力の武器』の概要
『影響力の武器』は、アメリカの心理学者ロバート・チャルディーニの著書。発行は1984年と古く、長年に渡ってビジネスパーソンの「秘伝の書」として読み継がれてきました。
本書が特に優れている点は、「他人に要求を飲ませる上で、最上の方法だけを選りすぐっている」ということ。
チャルディーニ氏は、「なぜ人は、こうも都合よく他人に動かされてしまうのか?」という疑問に、強い関心を抱きました。ときには営業・販売現場に潜入し、実践と心理学の知見を交えて、独自の理論を構築していきました。
そうして生み出されたのが、人を動かす6つの原理です。
- 返報性
:施された相手には、施しを返さなければならない - コミットメントと一貫性
:小さな要求に「YES」と言わせれば、大きな要求にも「YES」と言わせられる - 社会的証明
:人が取るべき正しい行動は、周囲の人の行動で決まる - 好意
:好きになった相手の要求は断れない - 権威
:権威あるものの要求には、思考停止で服従する - 希少性
:希少なものは、いますぐ決断しなければ手に入らなくなる
心理学は他人を動かす方法の宝庫ですが、その中でも特に強大な力を誇る6つが厳選されています。あまりに強力すぎて、正気の沙汰なら絶対に拒否する要求にも、首を縦に振らせてしまうほどです。
ビジネスでの利用を想定するなら、本書は心理学関連の書籍では群を抜いて実践的です。交渉、営業、販売、マーケティング全般においては、無双の力を発揮します。
原理①:返報性
「返報性」とは、施しを受けた相手に対し、自分も報いる行動したいと思う傾向のことです。
社会的な生き物である人間は、太鼓の昔から隣人同士で助け合って生きていました。人類が発展できたのも、社会全体で助け合あって、適材適所の分業が進んだからです。
そして赤の他人同士が協力し合えるのは、「貸した借りは帰ってくる」という確信があるからです。もし人間に返報性がなければ、困った人を助ける道理がなくなってしまいます。
もしあなたが、「借りは返さなきゃ気持ち悪い」と感じるなら、それはあなたが真っ当な人間である(というよりは、遠い祖先の遺伝子が順当に受け継がれている)証拠です。
また返報性には次の4種類があります。
4種類の返報性
- 「好意」の返報性
:恩に報いる。好きになってくれた相手を好きになる - 「敵意」の返報性
:敵対心を向けてきた人にお返しする - 「譲歩」の返報性
:譲歩してくれた人には、こちらも譲歩を示す - 「自己開示」の返報性
:情報をオープンにしてくれた人に対し、こちらも情報をオープンにする
恩を返すのはもちろんのこと、仇を返すのもまた返報性です。
「返報性」を活用するコツ
実際に「返報性」を活用するシーンは、恩を与えて、顧客などからの見返りを求めることがほとんどでしょう。
下心があるのは構わないのですが、次の点は意識しておきましょう。
- 見返りは気にせず、先にギブする
- ギブしたら、あとは忘れる
順番は決まっていて、真っ先にギブです。
お会計後に、次回使えるクーポンを渡されて恩を感じる人はいないでしょう。同じコストをかけるなら、来店した瞬間にお茶でもプレゼントした方が効果的です。
しかしギブしたからといって、必ずしも全員が報いてくれるわけではありません。そして相手に報いることを強制するのもNGです。それをやったら関係はそこで終わりです。
イメージ的には、ギブという撒き餌をバラ撒いておき、かかった魚だけを釣り上げます。最終的な帳尻では、バラ撒いたエサ代よりも、リターンの方が大きくなります。
ギブアンドテイクに関してだけは、「どんぶり勘定」が正解なのです。
≫【試食販売が売れるワケ】返報性の原理を解説。2倍売れるビジネス活用の具体例も
原理②:コミットメントと一貫性
「コミットメントと一貫性」は、2つの要素が組み合わさっています。
一貫性の法則
:人が一度決定したり、ある立場を取ったりすると、その後も一貫した行動を取ってしまう傾向のこと
コミットメント
:自分の意思で立場を表明し、その後の言動に責任感を持つこと
コミットメントは、一貫性の法則を引き出す最高のパートナーになります。
例えば、あなたがキャンプ道具を売りたいとしましょう。いきなり核心に迫るのではなく、まずは小さな質問から始めます。
あなた「夏も過ぎて涼しくなってくると、キャンプの季節って感じがしますね」
来店客「そうですねぇ(YES)」
あなた「キャンプに行くご予定はおありですか?」
来店客「行きたいなぁって思い始めたとこです(YES)」
あなた「そうなんですね!キャンプの道具はもうお持ちなんですか?」
来店客「昔買ったのがあるんですけど、もうずいぶん古くなってしまって…」
あなた「よろしければ、ご検討されているキャンプ先と、いまお持ちのアイテムを教えていただくことは可能ですか?」
あなた「教えていただければ、必要なアイテムがわかりますので!」
来店客「そうですか(YES)。えーっとですね、…」
といった具合です。
途中の質問から始めたら、おそらくは怪訝な顔で「あっ、結構です」と言われてしまうでしょう。しかし順を追って展開すれば、相手はどうにも断りづらくなります。
この習性を利用すれば、あなたは相手を思いのままに操ることができます。
「コミットメントと一貫性」を活用するコツ
「コミットメントと一貫性」を効果的に使うには、次のコツを意識しましょう。
- こちらから強制せず、相手の自由意志で意思表示させる
- 徐々に要求をエスカレートさせる
相手に強制的に態度を取らせてしまうと、そこには責任感が生まれません。あくまで相手が自分の意思で選択したと思わせなければなりません。
また「今日は天気がいいですね」とか「お子さんはお元気ですか」といった質問を重ねたところで、最終的な要求は通りません。段階的に、核心に迫る質問にエスカレートさせていきましょう。
交渉術として有名な「フット・イン・ザ・ドア」は、最終目的に「YES」と言わせるために、その手前で、よりカンタンな「YES」を取りにいく手法です。
≫一貫性の法則とは?小さなコミットメントで相手に「YES」と言わせる方法を解説
原理③:社会的証明
「社会的証明」とは、何が正しいかを判断するとき、自分で考えるのではなく、他人が何を正しいと考えているかを基準に判断する傾向のことです。
何が正しいかは社会が既に証明してくれているので、「右にならえ」で行動すればOKということです。
社会的証明が見られる行動
- バブル
:大勢の人が高値で買うことで、本来価値がないものに価値があると錯覚する - 行列が行列を呼ぶ
:他人が優れていると評価しているので、自分にとっても有益と判断する - クチコミで店を選ぶ
:行列と同様、他人の評価によって、自分にとっての良し悪しを判断する
特に「クチコミ」でお店や製品、サービスを選ぶ人は多いのではないでしょうか?というかほとんどの人がそうですよね。
現代人が1日に浴びる情報量は、「平安時代の一生分」と言われています。膨大な情報から判断するには、いちいち考えている余裕はありません。他人の意見に従えば、概ね間違いは起きないはずです。
「社会的証明」が人々の行動に与える影響力は、月日を追うごとに増しています。「みんなが使ってるよ!」が、非常に重要なメッセージとなるでしょう。
「社会的証明」を活用するコツ
社会的証明で相手を動かすなら、次の点を意識しましょう。
- 相手に似た属性の人の行動を示す
- ビジネスの場合は、企業色を薄める
他人の行動が参考になるのは、その他人が自分と似たような境遇だからです。北海道の人にとって、沖縄で人気のタイヤは参考になりません。同じ雪国の人の意見じゃなければ、購入には至りません。
またビジネスの文脈で考えた場合、利益相反関係になりやすい「顧客」と「企業」は、別の立場になります。だから同じ顧客の立場からの「クチコミ」は、あらゆる企業メッセージに勝るのです。
≫【他人の意見が全て】社会的証明の原理とは?大衆を動かす力をビジネスに生かす方法を解説
原理④:好意
「好意」は、非常にシンプルです。好きになった人の要求は断れないという話。
「惚れた弱み」というヤツですね。ただしここでの「好意」は、恋愛感情だけでなく、友情や尊敬のようなプラスに働く感情すべてを指しています。
好意を勝ち取るには次の6つのアプローチがあります。
好意を勝ち取るためのアプローチ
- 外見の魅力(ハロー効果)
:見た目が良いほど評価が上がる。身だしなみには注意すべし - 類似性
:人は、同じ条件であれば、共通点がある人を好きになる。共通点を持つ相手のお願いは断りづらい - ほめる
:好意の返報性により、好かれた相手を好きになってしまう。そして「ほめる=相手へ好意を寄せている」のシグナルになる - 馴染み(単純接触効果)
:接触回数が多いことは、その対象物が安全である状況証拠になる。だから馴染みのある人や物を好きになる - 協同作業
:「同じ釜の飯を食う」のように、共通の目標に向かって協同した相手を好きになる - 好ましい何かと関連づける(連合)
:好ましいイメージのもの(例えば美味しい食べ物)を関連づけるだけで、あなたの印象もプラスの評価を受ける
脳は複雑なようで、意外と単純です。テレビCMに好感度のタレントが出ていれば、そのタレントが手にしている製品まで好印象を抱いてしまいます。
仮にあなたや製品に魅力はなくとも、他の魅力ある何かに近づけたり関連づけたりするだけで、その好意にあやかることができてしまうのです。
「好意」を活用するコツ
「好意」で相手に要求を通すときは、2通りの方法があることを認識しましょう。
- あなたに好意を持たせてから、要求する
- 最初から相手が好意を抱いている人に、要求させる
もちろん、あなたが相手の好意を勝ち取るために努力するのは素晴らしいことですが、既に好意を持たれている人に営業させた方が手っ取り早いかもしれません。
インターネットサービスに見られる「友達紹介プログラム」や、ネットワークビジネス(いわゆるマルチ)は、最初から断りづらい相手に営業させているところがポイントです。
≫【心理学】「好意」は最強の武器。人に好かれるための6つの方法を解説
原理⑤:権威性
「権威性」は、相手を無条件に服従させる力です。「相手の意見が正しい」あるいは「この人は権力がある」と見て、何も考えずに言うことを聞いてしまう状況を作り出す力です。
水戸黄門の「印籠」は、まさに権威性そのものです。
しかし権威は、必ずしもその人の本当の実力を映す鏡ではありません。権威は着飾ることがでるので、実績0の人でも、見せかけの権威で他人を従わせることができてしまいます。
権威性を引き出す3つのトリガー
- 肩書き
:役職や勤め先のネームバリューが権威となる - 服装
:白衣やスーツなどを着ると、その服が持つ権威まで着ることができる - 装飾品
:高価な装飾品により、社会的地位の高さによる権威を印象付ける
歴史的には、暴力が社会を牛耳っていた期間が長かったので、体が大きいことが権威でした。今でも体を大きく見せること(例えば底上げ靴)は、詐欺師が権威を着飾るために使うテクニックです。
ビジネスでは、肩書きに箔を付ける方法がよく用いられます。嘘をつくこともできますが、本来の実力を正当に権威付けするために、
- 導入事例
- 受賞歴
- 業界の権威によるお墨付き
などをアピールするのが正しい使い方でしょう。
「権威性」を活用するコツ
「権威性」をビジネスで実践する際、見落とされがちですが、「わたしはあなたと利益相反しない」とアピールするのが重要です。
企業と顧客が利益相反の関係にある場合、顧客は企業の言葉を100%鵜呑みにはしません。企業の売りつけたい魂胆を理解しているので、丸め込まれないように慎重になるからです。
顧客のガードを下げるには、あえてあなた(または企業)が損するが、顧客にとってはメリットがある提案をしましょう。
ビジネスモデル上、多くのビジネスは顧客との利益相反関係を避けられませんが、人と人との関係なら話は別です。「あなたの利益を第一に考えています」を、行動で示しましょう。
≫【服従せよ】権威性=無条件で従わせる力。権威を獲得するコツを解説【実績0でも可】
原理⑥:希少性
人はときに、「希少性」だけで購入を決意してしまいます。「役に立つか、立たないか」という冷静な思考では押し出され、「いま買わないと、2度と手に入らなくなるから」という理由で買ってしまうのです。
「希少」というと、物理的な「数量」が少ないイメージを持ちますが、ここでの希少性は手に入りづらい環境全般を指します。「時間」や「場所」が限定されている状況もまた希少性です。
主な希少性の種類
- 「数量」の希少性
:生産数、販売数を絞る。品切れ状態を作る - 「時間」の希少性
:購入可能な期間を設け、それ以降は購入不可とする - 「場所」の希少性
:特定の地域、会場、あるいは販路でしか購入できない
逆に言えば、希少でなければいつでも手に入るので、いますぐ買う理由がないのです。旅行先で評判のお店は必ず入るのに、近所で評判のお店は後回しになる理由は、いつでも行けるからです。
「いま買わなければ、もう手に入らなくなる!」と感じさせる要素は、何であれ希少性として機能します。
「希少性」を活用するコツ
希少性を活用する際は、次の2つを強調しましょう。
- 元々手に入りやすかったが、現在は手に入りづらくなった
- 手に入りづらくなった理由は、需要増(人気)による
どちらも、希少性がより魅惑的に映るスパイスになります。
元から供給量が少ないフカヒレやアワビより、近年になって供給量が減ったうなぎに心惹かれるのは、この2つの条件を満たしているからです。
≫【今しか買えない】希少性の原理とは?ビジネスで希少性を作る方法を解説【あえて絞れ】
影響力の武器の活用例
6つの原理の、ビジネスの現場での活用例を紹介します。
真面目に考えれば無限に出てきてしまうので、ここでは複数の原理にタッチできる方法を紹介します。あくまで一例にすぎませんが、参考にしてみてください。
活用例①:接待
古典的ですが、「接待」はいつの時代も有効な営業手法です。ビジネスでも政治でも、ここぞというときは、美味しい食事と美味しいお酒をもてなすものです。
接待は、「返報性」と「好意」を満たしています。
まず相手は奢ってもらったので、借りが1つできます。何かしらの形で、借りを返さなければ気持ち悪くなります。だから公務員への接待は禁止されているわけですね。
そして単純ですが、美味しいご飯を食べていい気持ちになると、一緒にいた人の印象までよくなります。これは「ランチョン・テクニック」と呼ばれる手法でもあります。
若い人ほど「接待なんてイヤ!俺は絶対やらない!」と思っています。やるやらないは本人次第ですが、効果が絶大であることは認識しておいた方が良いでしょう。
活用例②:見た目を意識する
見た目を意識するのは、「好意」と「権威性」に効きます。
初対面での「好意」は、まず見た目の第一印象によって生成されます。見た目が良い人ほど、話に説得力があり、知的に見え、実際に年収も高い傾向にあります。
そしてその職業のステレオタイプな服装は、「権威性」を付加させます。汎用的にはスーツがベターですが、エンジニアやデザイナーならカジュアルな服の方が良いでしょう。
こざっぱりした印象を与えつつ、その職業っぽい服装を意識しましょう。それだけで、あなたの発言の信憑性はグッと増します。
活用例③:品薄状態を作る
「品薄」の状況は、顧客により強い購買意欲を植え付けます。Nintendo Switchや、NIKEのレアスニーカー、予約でいっぱいの星つきレストランを想像してみてください。
まず品薄であるということは、自分以外の多くの人が高評価を下しているということです。「社会的証明」が発動し、「その製品は優れているはず」という確信を得ます。
そして「希少性」により、いますぐ買わなければならない理由ができます。
同じ数量を売る場合、一気に在庫を放出するより、小出しにして品切れ状態を維持した方が、確実に売上を上げられるでしょう。
活用例④:ライバル客の可視化
通常の工業製品には「品薄」の戦略が有効ですが、一点ものを扱うビジネスの場合は、品薄にしようがありません。不動産や中古車ディーラーなどが該当します。
一点ものビジネスの場合は、ライバル顧客を可視化させるのが効果的です。
タッチする原理は、品薄商法と同じく「社会的証明」と「希少性」です。
ライバル客がいないとなると、顧客はじっくり品定めする時間があります。値下げを要求したり、取り置きをお願いするかもしれません。顧客優位の展開になります。
しかしライバル客がいる分かれば、そんな上から目線な態度はお門違いになります。言い値でいますぐ買うか、もしくはライバル客に購入の権利を明け渡すかです。
不動産屋がよく使う「別のお客様もこの物件を検討中です」は、シンプルで強力です。「商談中」という札を用意してもいいでしょう。オークション形式は究極の形です。
活用例⑤:本命商品を品薄にする
あなたが商品をたくさん売りたいと思うなら、とびきり魅力的な「本命商品」をほんの少量だけ混ぜておきます。
そもそも数が少ないという「希少性」で魅力が付加されていますが、それでは足りないと思うなら、ガッツリ値下げすればOK(もちろん一握りの本命商品だけ)です。
このような環境を用意すると、少ない本命商品を求めて客が殺到します。当然ながらほとんどの客は本命商品にありつけず、そこまで魅力のない商品だけが目の前にある状態です。
しかしその前段階で、行列に並んだり、お店に入ったりと、いくつかの関門を通り過ぎています。ここで「コミットメントと一貫性」が働きます。
ラーメン屋に行って、お目当ての「1日10食限定メニュー」が品切れになったとして、そのまま何も食べずに店を出るでしょうか?きっと通常メニューを注文するはずです。
活用例⑥:ラスト1の在庫を確約させる
こちらは手が込んだやり方です。基本的には「品薄商法」と同じような展開から入ります。
例えばお店の商品に興味を持っている顧客に対し、「あっ!こちらの商品、先ほど最後の在庫が売約済みになっちゃったんですよ」と声をかけます。大抵はウソなんですが。
「社会的証明」と「希少性」が発動し、その商品が顧客の中でより一層魅力的に映ります。
残念に思った顧客から、「どこかに1つくらい在庫はないんですか?」と聞かれます。
ここで、「ちょっと確認して参りますね。もし最後の在庫があれば、ご購入いただけるということでよろしいでしょうか?」と切り返します。
「コミットメントと一貫性」がピコーンと反応します。ここで「YES」といったら、顧客はもう逃げられません。
あとは、在庫を確認するフリをして、「良かった!1つだけありました!じゃ、契約書類を持ってきますので、おかけになってお待ちください♪」と言えばOKです。
活用例⑦:コミュニティマーケティング
既存顧客や見込み顧客が交流する場を設ける手法に、「コミュニティマーケティング」があります。
コミュニティ内は、基本的には似たような人の集まりです。人は、自分に似ている人に「好意」を持ち、また似ている人の行動により強い「社会的証明」を見出します。
企業や製品が軸のコミュニティなので、当然ながら企業や製品には好意的な意見が寄せられます。仮に外部の世界は異なる意見であっても、コミュニティ内の意見が優先されます。
こうしてコミュニティは、独特の価値観や行動規範を持った空間になっていきます。中心にいる企業は教祖の立場になり、しばしば「信者ビジネス」と揶揄されます。
企業にとって、顧客の「好意」を得られており、これ以上なく「社会的証明」が効くコミュニティは、外の世界よりも遥かに顧客を動かしやすい(=買わせやすい)環境になります。
また顧客にとっては、コミュニティは友達に会える場所です。
競合他社に製品をパクられることはあっても、コミュニティまでは奪われません。よく機能しているコミュニティは、最大の差別化要因でもあるのです。
まとめ
今回は、心理学をビジネスや私生活で実践する上で、この上ない良書である『影響力の武器』を要約しました。
数々の経営者やインフルエンサー、そして詐欺師たちに愛用されてきた1冊です。多くのビジネスパーソンが、座右の書として手元に置いています。
まずはどれか1つ、これはと思うものを使ってみましょう!
- 返報性
:施された相手には、施しを返さなければならない - コミットメントと一貫性
:小さな要求に「YES」と言わせれば、大きな要求にも「YES」と言わせられる - 社会的証明
:人が取るべき正しい行動は、周囲の人の行動で決まる - 好意
:好きになった相手の要求は断れない - 権威
:権威あるものの要求には、思考停止で服従する - 希少性
:希少なものは、いますぐ決断しなければ手に入らなくなる
各原理の個別記事もありますので、興味があればそれぞれ覗いてみてください。
社会人の学びに「この2つ」は絶対外せない!
あらゆる教材の中で、コスパ最強なのが書籍。内容はセミナーやコンサルと遜色ないレベルなのに、なぜか1冊1,000円ほどしかかりません。
それでも数を読もうとすると、チリも積もればで結構な出費に。ハイペースで読んでいくなら、月1万円以上は覚悟しなければなりません…。
しかし現代はありがたいことに、月額で本読み放題のサービスがあります!
外せない❶ Kindle Unlimited
Amazonの電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)」は、月額980円。本1冊分の値段で約200万冊が読み放題になります。
新刊のビジネス書が早々に読み放題になっていることも珍しくありません。個人的には、ラインナップはかなり充実していると思います。
外せない❷ Audible
こちらもAmazonの「Audible(オーディブル)」は、耳で本を聴くサービスです。月額1,500円で約12万冊が聴き放題になります。
Audibleの最大のメリットは、手が塞がっていても耳で聴けること。通勤中や家事をしながら、子供を寝かしつけながらでも学習できます。
冊数はKindle Unlimitedより少ないものの、Kindle Unlimitedにはない良書が聴き放題になっていることも多い。有料の本もありますが、無料の本だけでも十分聴き倒せます。
ちなみにわたしは両方契約しています。シーンで使い分けているのと、両者の蔵書ラインナップが被っていないためです。
どちらも30日間は無料なので、万が一読みたい本がなかった場合は解約してください(30日以内であれば、仮に何冊読んでいても無料です)。
そして読書は、早く始めた人が圧倒的に有利。本は読めば読むほど、複利のように雪だるま式に知識が蓄積されていくからです。
ガンガン読んで、ガンガン知識をつけて周りに差をつけましょう!
とりあえず両方試してみて、それぞれのラインナップをチェックするのがオススメです!