- 人気アーティストとの限定コラボモデルが欲しい!
- 初回限定版についてくる特典が欲しくてついつい高い値段で買っちゃった!
この「限定」という言葉には人間を強く誘惑する何かが潜んでいるように思いませんか?
そんなレア物が欲しくなる現象を、心理学では「スノッブ効果」と呼びます。
品質と価格で勝負するのが王道ですが、それだけで愚直に売るのはもったいないです。スノッブ効果を活用すれば、商品の魅力をグッと上げることができるからです。
この記事では、次のことがわかります。
- スノッブ効果とは何か?
- スノッブ効果が効く分野と効かない分野
- スノッブ効果のビジネス活用事例(「〇〇限定!」のマーケ事例)
マーケティング担当者や、商品企画をしている人はぜひチェックしてください!
スノッブ効果とは?

スノッブ効果(snob effects)とは…
ある製品やサービスに対し、他の人が消費すればするほど、自分は欲しくなくなってしまう現象のことです。
裏を返せば、他の人が持ってないものほど欲しくなるということです。
確かに洋服は他の人とかぶりたくないですよね。「日本人の3人に1人が着ているTシャツです!」と宣伝されたら買う気が失せてしまいます。
マーケティングの世界では、このスノッブ効果が頻繁に活用されています。主に期間限定や数量限定で希少性をアピールすることで、需要を喚起しています。
スノッブ効果を提唱したのは、アメリカの経済学者のハーヴェイ・ライベンシュタイン氏です。ライベンシュタイン氏は、スノッブ効果を含めて、同時に3つの有名な心理効果を発表しました。他2つもご紹介します。
ライベンシュタインが提唱した3つの心理効果
- スノッブ効果 … 他の人が持っていないものが欲しくなる現象
- バンドワゴン効果 … 流行っているものが欲しくなる現象
- ヴェブレン効果 … 高価であることに価値を感じる現象
バンドワゴン効果は、スノッブ効果の真逆の意味なので、どっちが正しいの?と疑問に思うかもしれません。どちらが出るかは、分野によって変わります。iPhoneを欲しがる中高生は、みんなが持っているからiPhoneが欲しいので、バンドワゴン効果が出ています。
ヴェブレン効果は、スノッブ効果と通じるところがあります。値段が高ければそれだけ購入できる人が限られてくるからです。エルメスやルイヴィトンなどのハイブランドは、ヴェブレン効果とスノッブ効果の両方を使っています。
バンドワゴン効果とヴェブレン効果はそれぞれ別の記事があるで、興味がある方は見てみてください。
≫ 【流行の正体はコレ】バンドワゴン効果とは?具体例で解説
≫ 【高価なブランド品が売れる理由】ヴェブレン効果とは?
スノッブ効果は狙いどころが限られる

スノッブ効果の反対の意味を持つバンドワゴン効果は、使える場面がかなりたくさんあります。しかし、スノッブ効果は少し場面を選びます。
例えば、「わたしは他の人が入っていないマニアックな生命保険に入りたいわ」という人はいません。近所で誰も使っていないレアな食器用洗剤を好んで使いたい人もいないでしょう。
- 日用の消耗品
- 普段食べる食品
- 携帯電話
- 家電
- 保険
など
自分の身に付けるものやステータスになるものなど、自分と他人の違いをアピールできるものでないとスノッブ効果は効きづらいです。例えば、次のような分野です。
など
スノッブ効果を出すならこういった分野が効果的です。
スノッブ効果の活用方法と具体例

スノッブ効果は主にマーケティング戦略に活用されています。スノッブ効果の活用とは、その商品が希少であることを消費者にアピールすることです。
さっそく希少性の作り方とその事例を見ていきましょう。
販売数を限定する
希少性の王道は、品薄戦略です。
Nintendo Switchは、大人気でありながらも常に需要よりも少ない供給で販売しています。そのせいでプレミアがつくようになり、転売の対象にもなっています。
品薄戦略にさらされた消費者はヤキモキしますが、それが希少性につながって、より欲しくなってしまいます。「品薄!即完売商品!」と散々言われていれば、あまり興味がなかった人でも思わず買ってみたくなるものです。
世界中でいまスニーカーが大ブームとなっていて、特にNIKEの限定モデルは熾烈な争奪戦になります。世界中で何百万人ものスニーカーファンが欲しがるモデルが数万足しか生産されないので、買えない人の方がはるかに多いです。
当然プレミアもつきます。それでもNIKEが生産数を増やさないのは、いざ増やして稀少性がなくなったモデルに誰も熱狂しないとわかっているからです。
販売数量限定によるスノッブ効果の事例
- Nintendo Switch
- NIKEのレアスニーカー
期間を限定する
いわゆる期間限定商品です。
キリンビールは秋限定で「秋味」という商品を販売しています。紅葉をイメージした深い赤のパッケージは、濃い味わいを連想させます。毎年やっているところを見るに、季節限定ビールはうまくいっているのでしょう。
他にもゲームやCD、漫画の単行本には初回限定版という売り方があります。パッケージや表紙のイラストが異なっていたり、限定のフィギュアがついていたりします。ファンはより希少性の高い限定版に吸い寄せられて、少し高い価格で購入してくれます。
期間限定によるスノッブ効果の事例
- 秋限定のビール
- 初回限定版のゲームやCD、本
地域(または販売チャネル)を限定する
地域を限定するのも希少性をアピールする方法の一つです。
ポッキーはお土産用にご当地限定商品を販売しています。地酒やクラフトビールも地域限定感があります。「ここでしか買えない」と思うと、ついつい買いたくなりますよね。
地域ではなく、「店舗限定」や「オンライン限定」といった販売チャネルを限定する方法もあります。
さらに稀少性が高いのは、展示会やライブなどのイベント会場のみで販売する限定商品です。熱心なファンは、数時間かけて並んで限定グッズを購入しています。転売されることもしばしば。
地域(または販売チャネル)限定によるスノッブ効果の事例
- ポッキーなどのご当地お菓子
- 地酒やクラフトビール
- イベントでの限定販売
購入の難度を上げてステータス化する
一風変わった方法に、あえて購入することを難しくする戦略があります。
クレジットカードにグレードがあるのはみなさんご存知ですよね。特にグレードが高いカードは審査があり、かなり高額の決済をしていないと持つことが許されません。
そんな中でもアメリカンエクスプレスのセンチュリオンカードは、入手最難関カードです。ネット情報によれば、年間数千万円使っている人にだけインビテーションが来るとか。
航空会社のマイレージプログラムの上級会員にも厳しい条件があります。行き先や距離にも寄りますが、1−2週間に1度は飛行機に乗らなければ条件をクリアできません。たまたま出張が多い人であれば難しくありませんが、一般の人は無理して乗らないとたどり着けません。
高グレードクレジットカードもマイレージ上級会員も、取得の難易度が高いことから、持つこと自体がステータス化しています。そのステータス欲しさに、無理にでもお金を使おうとする人が一定数います。顧客のロイヤルティーを高めるよくできた戦略です。
購入難易度によるスノッブ効果の事例
- クレジットカードの上位カード
- 航空会社マイレージプログラムの上級会員
残りの商品数を提示する
これまでご紹介してきた事例とは趣きが違います。マーケティング戦略ではなく、UI(ユーザーインタフェース)で希少性をアピールするアイデアです。
ZOZOTOWNの商品ページには、残りの在庫が少なくなったときだけ、在庫数が表示されます。

残り1個と書いてあれば、いやが応にも稀少性をイメージします。しかもお気に入り登録している人が2,500人もいる中ならなおさらです。
このようなちょっとしたUIの工夫でも、スノッブ効果を活用することもできます。
残り商品数によるスノッブ効果の事例
- ZOZOTOWNの商品ページ
まとめ
今回は心理学よりスノッブ効果をご紹介しました。「限定」の2文字に弱いのは、人類共通の心理です。スノッブ効果を活用して商品の魅力を上げてやりましょう!
次の通りまとめます。
- ある製品やサービスに対し、他の人が消費すればするほど、自分は欲しくなくなってしまう現象のこと
- 裏を返せば、他の人が持ってないものが欲しくなること
- アパレルなどの身に付けるもの
- コレクターズアイテム
- 旅行
- 外食
- 贈答品
- 期間を限定する
- 地域(または販売チャネル)を限定する
- 販売数を限定する
- 購入の難度を上げてステータス化する
- 残りの商品数を提示する
スノッブ効果の事例は、こちらの記事でも詳しく解説しています。時間があれば見てみてください。
≫ 【丁寧解説】バンドワゴン効果×スノッブ効果×ヴェブレン効果の複合事例