心理学・行動経済学

【気づかれないだと?】スポットライト効果=自意識過剰。その克服&活用方法とは?

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みんなに気づかれていると思った?いえいえ。誰もあなたのことなんて見ていません。

日常でよくある、ちょっと恥ずかしい勘違い。みんなは気づいていると錯覚してしまう傾向を、心理学では「スポットライト効果」と呼んでいます。

単に自意識過剰で済めば良いのですが、ジワジワと悪影響を及ぼします。会社などの組織であれば、チャレンジ精神を摘み取る原因にもなってしまいます。

この記事でわかること

  • スポットライト効果とは何か?
  • 自意識過剰によって起こる弊害
  • スポットライト効果を克服する方法

またこの現象を逆手に取ると、誰かのやる気を引き出したり、好感を寄せたりするテクニックに早変わりします。

スポットライト効果は、主にマネジメントに応用できる心理効果です。管理職や経営者、ディレクター職に就いている人は、ぜひチェックしてみてください。

スポットライト効果とは?

スポットライト効果(spotlight effect)とは…

自分が気にしていることを、周りの人も同じように気にしていると勘違いしてしまう傾向のこと。

心理学の用語。認知バイアスの一種です。

あたかも自分がスポットライトを浴びているように、周りがあなたに注目していると感じることから、その名がついています。要るすに「自意識過剰」ですね。

なお「スポットライト効果」と一口に言っても、大きく2つの方向性があります。

  1. 悪い印象が、見透かされていると感じる
    →実際には見透かされていないが、ヒヤヒヤする
  2. 良い印象に、気づいてくれていると感じる
    →実際には気づかれなくて、ガッカリする

いずれも「承認欲求」と強く関係しています。

承認欲求は、人間の根源的な欲求の一つ。悪い印象を持たれたくないと思うのも、良い印象を与えたいと思うのも、全ては承認欲求から来るものです。

他人に良い人間として認められたいからこそ、ヒヤヒヤしたり、ガッカリしたりするのです。

スポットライト効果はなぜ起こる?

スポットライト効果は、「利用可能性ヒューリスティック」「自己中心性バイアス」という2つの親概念で理解すると捗ります。

利用可能性ヒューリスティック

まず利用可能性ヒューリスティックとは、自分が思い出しやすい事柄の発生確率を過大に評価してしまう現象のことです。

わかりやい例を出しましょう。

問題です。「歯医者」と「コンビニ」、件数が多いのはどちらでしょうか?

おそらくほとんどの人は、「コンビニ」が第一に思い浮かぶでしょう。理由はコンビニの方が、入った回数や利用した店舗数が多いからです。

実際には歯医者の方が件数は多いのです。しかし年に数回、人生を通して数件しかお世話にならない歯医者は、コンビニに比べれば思い出しづらいのです。

そもそもに当たる「ヒューリスティック」とは、カンタンに言えば思考の簡略化です。真面目に考えたら計算が大変すぎるので、もっと簡易な計算に置き換えているわけです。

目的は脳のリソースを節約。しかし簡易な計算に置き換えてしまったことで、勘違いが出やすくなってしまうのです。

≫_利用可能性ヒューリスティックとは?豊富な例で解説

自己中心性バイアス

そして利用可能性ヒューリスティックによって起こる認知バイアスの一つが、自己実現性バイアスです。

自己中心性バイアスとは、「自分が知っている情報は、相手も知っているだろう」と勘違いしてしまう傾向のことです。

幼い子供は、初対面の人に対し、「〇〇ちゃんと遊んだの!」「〇〇市民プールに行ったよ!」と、相手が知らない情報をお構いなしにしゃべってきます。

相手が「〇〇ちゃん」や「〇〇市民プール」を知らないと気づいていないのです。これが自己中心性バイアスの最たる例です。

自己中心性バイアスの一つ現象として、「自分が気にしていることは、相手も同じく注目するだろう」と感じてしまうスポットライト効果が起きます。

≫【大人になれない君へ】自己中心性バイアスとは?克服できればこんなに得をする!

厳密ではないかもしれませんが、関係性としては、「利用可能性ヒューリスティック>自己中心性バイアス>スポットライト効果」となっています。

スポットライト効果の実験事例

1999年、コーネル大学の心理学者トーマス・ギロビッチらが行った実験を紹介します。

被験者の学生に、「バリー・マニロウ」という一昔前の歌手の顔写真が大きくプリントされたTシャツを着てもらう。明らかにダサいTシャツである。

そして学生はダサいTシャツを着たまま、別の被験者4-6人がアンケート調査に答えている教室に入る。もちろん学生は「こんなダサいTシャツを着たら、みんな注目するはず」と思っている。

計15人の学生に実験を行ってもらい、それぞれに、「教室にいたうち、何%の人がTシャツに注目したと思う?」と質問。

その結果、平均46%の人が、恥ずかしいTシャツに注目したと回答した。しかし実際にTシャツに気がついたのは21%に過ぎなかった。

また別の被験者は、その教室を第3者の視点から、何人がTシャツに気がついているかを推測してもらった。彼らは約22%が気づくと回答し、実際の数値と近かった。

というわけで、恥ずかしいTシャツを着ていた本人だけが、「みんなに見られているに違いない!(恥ずかしい〜っ!)」と思っていたわけです。

身近に起こるスポットライト効果の例

あなたもスポットライト効果を日頃から経験しているはず。その一端を一緒に見ていきましょう。

例①:髪を切ったのに気づいてくれない!

自分の中ではバッサリと髪を切ったのに、なぜか周りは気がついてくれません。奥さんが髪を切ったのに、気がつかない旦那さんは多いものです。

あなたは自分の髪の長さや髪型を意識していますが、他人はそこまで気にしていません。ちょっと分け目を変えてソワソワしても、他人は全く気がつきません。

例②:思春期のニキビ

中高生の頃、おでこやほっぺたに何個もニキビができてしまった人ならわかるはず。

クラスメイトと会うのが嫌で、学校を休みたくなってしまいます。正面から顔を見られたくないので、思わず俯き加減になったり、相手と距離を置いてしまいがちです。

しかし相手は意外と気にしていません。ニキビがあるとは分かっているかもしれませんが、初見で「あるな〜」と思うくらいで、別に何とも思いません。

例③:スピーチで緊張したのバレてない?

わたし自身も経験があります。ちょっとした機会で、何百人の前でスピーチすることになったのですが、そんな機会はこれまでありません。

足は小刻みにガタガタ震え、声の調子もいつもと違って聞こえる。噛んでしまって格好悪く見られていないか?唾を飲む音が聞こえたんじゃないか?など、自分が惨め映っているように感じます。

しかし終わってみると、「スピーチ良かったよ!」「堂々としてたね!」と褒められたりします。お世辞を言っているようにも聞こえない。

結局のところ、あなたが感じている瑣末な違いに、周りの人は気づいていないのです。

例④:オシャレしたのに褒められない!?

お気に入りのブランドの新作、今年の春の最新トレンドを取り入れて、颯爽とお出かけ!しかし周りの人は、全然気にも止めてくれません。

それもそのはず、あなたの好きなブランドは周りの人は知らないし、よほどファッションを意識している人でもなければ、最新のトレンドにも無頓着です。

ニッチなアイテムなら尚更。わたしはスニーカーマニアなので、レア物を色々持っています。しかし10万円のプレミアがついてるスニーカーを履いたところで、誰も気づきません。

オシャレなんてものは所詮、自己満足でしかないのです。

スポットライト効果による弊害

スポットライト効果とはつまり、周りの目が気になりすぎるということ。そこにはどんな弊害が隠れているのでしょうか?

弊害①:余計なストレスを感じる

まず挙げられるのが、「自分がみっともなく見られているんじゃないか?」と、ソワソワしてストレスを感じてしまうこと。

  • 髪型が決まらないまま出社してしまった…
  • イマイチ綺麗に作れなかった資料でプレゼンを迎えた…
  • 駅の階段でつまづいてしまった…

「恥ずかしい!今すぐその場を立ち去りたい!」と感じてしまいますね。

承認欲求は、自分が重要で立派な人間に見られたいと思う欲求です。ゆえにみっともない姿を晒してしまう(と錯覚する)のはストレスに感じます。

弊害②:会議などで意見を言いづらくなる

会議で勇気を出して意見を言ってみたところ、周りが「シーン…」としてしまった。あるいは、他の参加者にピシッと論破されてしまった。

周りの人は意見を言った人に対して、そこまでネガティブな印象は持ちません。

しかし当の本人は、顔から火が出るような気持ちです。「もう2度と発言なんてするまい」と思ってしまうでしょう。これは組織のアキレス腱になってしまいます。

ちょっと他人の目が気になるくらい、些細な話に感じるかもしれません。しかし長い目で見ると、組織に大きなネガティブ影響を与えてしまう可能性があります。

弊害③:チャレンジしなくなる

結果が出ていれば周りに気づいてもらえるかもしれませんが、試行錯誤している最中はまだ結果は出ていません。結果が出るまでの頑張りは、誰の目にも映らないのです。

しかし頑張っているのに誰も褒めたり、労ってりしてくれなかったらどう感じるでしょう?馬鹿らしくなって、もうチャレンジしようと思わなくなってしまいますね。

こうして、どんどん事なかれ主義のお役所仕事が蔓延してしまうのです。そうなってしまっては、組織から新しい価値は生まれなくなります。

スポットライト効果をどう克服するか?

個人レベルで考えてしまうと、「他人は俺のことなんか見てないぞ!」と自分に言い聞かせるくらいしかできることはありません。

しかし組織に芽生えるスポットライト効果を抑えるなら、やりようはあります。その方法を見ていきましょう。マネジメントは要チェックです。

克服①:多様な人が集まる組織

ダイバーシティよろしく、色んな種類の人がごちゃ混ぜになっている組織を目指しましょう。スポットライト効果を減らす効果が期待できます。

全員がスーツにネクタイを締めていたら、自分だけジャケットにノーネクタイで良いのか気になります。

周りが早慶上理の高学歴ばかりなのに、自分だけ日東駒専だったら、やはり気になります。

同じような人ばかりいるから、些細な違いが気になってしまうのです。最初から色んな人がいれば、相対的に違いは薄まります。

性別や年齢、肌の色、学歴など、実力さえあれば何だって構わないでしょう。服装だって、全員がダークスーツにネクタイなんて時代遅れ。個々人に任せて良いのでは?

ちなみにやる気さえあれば、自力で勉強して実力をつけます。大事なのはやる気であり、それ以外は瑣末な話。今だに学歴で実力に差があると信じる人はいないでしょう。

克服②:リーダーが率先して道化になる

組織の心理バリアを取り払うためには、リーダーが率先して恥をかく姿を見せるのが効果的。リーダーがすっとんきょうな意見を連発すれば、下の人も気軽に意見を言えるもの。

組織の雰囲気はリーダーが作ると言っても過言ではありません。明日から私服OKと言っても、部課長が全員スーツで着ていたら、部下も私服で来ようとは思いません。

リーダーが厳格なスタンスを見せていては、ちょっとしたズレが目立ちます。部下は怒られたり恥かいたりしたくないので、右に倣えでチャレンジしなくなります。

失敗談を話したり、弱みを見せたり、ボケて滑ってみたり。あえてツッコミどころを見せるのもリーダーの仕事。完全無欠なリーダーでは、組織の自主性は引き出せません。

克服③:ミスが当たり前の文化に

ミスを叩こうとする文化では、ちょっとしたミスでも目立つもの。ミスに対する厳罰や、銀行業界などに蔓延る減点主義は、組織を萎えさせます。

しかしチャレンジすれば、ミスは絶対に起こります。チャレンジなくして機会は得られません。ミスが目立つ環境は、絶対的に「悪」なのです。

そもそも「ミス」という概念はなく、「成功のための学習」と捉えてるのが良いでしょう。

科学者が、ある仮説を実験して成功しなかったとしましょう。はたしてそれを「ミス」や「失敗」というでしょうか?

違いますね。仮説が間違っていると証明できたわけですから。これは学びです。もしかしたら意外な発見もあるでしょう。そうして次の実験につながります。

ミスを奨励する文化ができれば、自ずとチャレンジも盛んになるのです。

スポットライト効果を逆に活用する方法

スポットライト効果は、「ネガティブさを克服しよう!」という文脈が多いのですが、実はポジティブに活用できるシーンもあります。

それは、良いことをしているので本当は気づいて欲しいのに、誰にも気づかれずにガッカリするシーン。気づかれやすくする工夫で、その人のやる気や好意を引き出せます。

活用①:目ざとく気づいてあげる

部下や同僚を、日頃からよく観察して、良いポイントはすかさず褒めましょう

  • 会議の議事まとめてくれたんだね。ありがとう!
  • 前回のプレゼンより、間の取り方が上手になったね!

みたいな感じですね。言わずもがな、日頃から相手をよく見ていなければできません。

相手は気づいてくれたことで嬉しくなり、やる気が上がります。そして気づいてくれたことで、あなたへ好感を持つようになります。

これはプライベートに置き換えるとわかりやすいでしょう。「あれ?髪切ったね!」「その洋服あたらしいね!」と気づける人は、男女問わずモテます。

理屈はこう。「小さな違いに気づいてくれるということは、自分に興味を持っている証。つまりあの人は、ボクに好意を抱いているはず」と解釈します。

人間には、自分を好きになってくれた人を好きになってしまう「好意の返報性」があります。だから気づいてくれる人が好きになってしまうのです。

活用②:良い行動が拡散される仕組み

良い行動をしたのに気づかれないのは、スポットライトが自分の周りにしか当たっていないから。ならばスポットライトを広げて、もっと気づかれやすくすれば良いのです。

自然にそうはならないので、良い行動がコミュニティ内でシェアされる仕組みを作りましょう。

東京ディズニーリゾートの「ファイブスターカード」は、良い行動をしたキャストに対し、幹部がその場でカードを渡す制度。

キャスト同士が感謝を伝え合う「スピリット・オブ・東京ディズニーリゾート」もあります。

スタッフの自主性に任せず、システムで解決しているのがポイント。普段ならまず見過ごしてしまう行動でも、フィードバックのシステムがあれば誰の目にも止まるようになります。

マクドナルドやスターバックスでも、優秀なスタッフを表彰する制度を設けています。

関連する心理効果:透明性の錯誤

スポットライト効果とよく似た認知バイアスに、「透明性の錯誤」があります。

自分が感じている不安が、相手に見透かされているんじゃないかと錯覚する現象です。また感謝や愛情などの感情が、本当は伝わっていないのに伝わっていると錯覚します。

  • 裏で陰口叩いていたの、実はバレてるんじゃないか?
  • 今ものすごく緊張しているのバレてるよね…

といった勘違いをしてしまいがちですが、実際にはそうそうバレません。

スポットライト効果に近い概念ですが、違いはあります。

スポットライト効果では、髪型や服装のような外的要素が他人に注目されていると錯覚します。一方で透明性の錯誤では、その人の感情や思考といった内面がバレていると錯覚します。

≫【あれ?バレてない?】透明性の錯覚とは?あなたの気持ち、伝わってないですよ

社会人の学びに「この2つ」は絶対外せない!

あらゆる教材の中で、コスパ最強なのが書籍。内容はセミナーやコンサルと遜色ないレベルなのに、なぜか1冊1,000円ほどしかかりません。

それでも数を読もうとすると、チリも積もればで結構な出費に。ハイペースで読んでいくなら、月1万円以上は覚悟しなければなりません…。

しかし現代はありがたいことに、月額で本読み放題のサービスがあります!

外せない❶ Kindle Unlimited

Amazonの電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)」は、月額980円。本1冊分の値段で約200万冊が読み放題になります。

新刊のビジネス書が早々に読み放題になっていることも珍しくありません。個人的には、ラインナップはかなり充実していると思います。

Kindle Unlimited 公式サイト

≫【厳選】ビジネスマンがKindle Unlimitedで読むべき15冊

外せない❷ Audible

こちらもAmazonの「Audible(オーディブル)」は、耳で本を聴くサービスです。月額1,500円で約12万冊が聴き放題になります。

Audibleの最大のメリットは、手が塞がっていても耳で聴けること。通勤中や家事をしながら、子供を寝かしつけながらでも学習できます。

冊数はKindle Unlimitedより少ないものの、Kindle Unlimitedにはない良書が聴き放題になっていることも多い。有料の本もありますが、無料の本だけでも十分聴き倒せます。

Audible 公式サイト

≫【厳選】ビジネスマンがAudibleで聴くべき17冊

ちなみにわたしは両方契約しています。シーンで使い分けているのと、両者の蔵書ラインナップが被っていないためです。

どちらも30日間は無料なので、万が一読みたい本がなかった場合は解約してください(30日以内であれば、仮に何冊読んでいても無料です)。

そして読書は、早く始めた人が圧倒的に有利。本は読めば読むほど、複利のように雪だるま式に知識が蓄積されていくからです。

ガンガン読んで、ガンガン知識をつけて周りに差をつけましょう!

とりあえず両方試してみて、それぞれのラインナップをチェックするのがオススメです!

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