あなたの周りに、「あいつ、もっとやる気出してくれないかなぁ」と思う人はいませんか?
部下を持つマネージャーであれば、部下が全員やる気マンマンなんて状況はなかなかありません。多かれ少なかれ、やる気を出して欲しいメンバーがいるはず。
「ホーソン効果」は、注目される環境を用意することで、やる気を引き出す心理効果。社員のモチベーションアップはもちろんのこと、コンシューマーサービスのスケール戦略にも応用できます。
この記事では次のことがわかります。
- ホーソン効果とは何か?
- 社員のパフォーマンスを上げる方法
- コンシューマーサービスを発展させる方法
周りにモチベーションを上げたい人がいる人は、是非チェックしてください!
ホーソン効果とは?
ホーソン効果(hawthorne effect)とは…
注目を浴びることで、「相手の期待に応えたい」という心理になり、パフォーマンスが向上する現象のこと。
仕事においては、「周囲の関心を集めていると知ることで、自己実現的に成果が上がる」、というプラスの効果がおきます。
しかしながら、医療現場ではマイナスの効果が起きることもわかっています。信頼している医師の期待に応えたい心理から、患者が症状を報告しなかったり、症状が改善したように虚偽の報告したりします。
ホーソン効果の実験例:「ホーソン実験」
1924年~1933年に渡り、電話機製造会社ウェスタン・エレクトリックのホーソン工場で、労働者の作業効率に関する実験が行われました。
この一連の実験群を「ホーソン実験」と呼びます。
当初の実験内容
当初のホーソン実験は、照明の明るさを調整することで、作業効率が上がるかの実験でした。
当初の実験結果
得られた実験の結果は、次の通り。
- 照明を暗くしようが明るくしようが、作業効率は上がり続けた
- つまり、照明の明るさと作業効率には相関が無いことがわかった
1927年、迷宮入りしかけたこの実験に、ハーバードビジネススクールのエルトン・メイヨー氏がこの実験に招かれました。
メイヨー氏の実験内容
メイヨー氏が手を加えた実験内容は次の通りです。
- 100名の女子工員から6名を選び、実験に参加させた
- 照明のほか、「賃金、休憩時間、軽食、部屋の温度・湿度」など、条件を変えて作業効率を計測した
メイヨー氏の実験結果
得られた実験の結果は、次の通りでした。
- 条件が変わるたびに、作業効率は上がり続けた
- 照明やその他の労働条件の違いは、生産性に影響しなかった
というわけで、何をやっても生産性が上がる謎の現象が起きたワケです。
最終的に、100名のうちの6人に選ばれたという注目度が、工員のやる気を引き出したという結論が導かれました。
そして、この注目されることでパフォーマンスが上がる現象に「ホーソン効果」という名前がつきました。
ホーソン効果と混同されがちな「ピグマリオン効果」
ホーソン効果とよく似た心理学用語に、「ピグマリオン効果」があります。
ホーソン効果とピグマリオン効果の違いは、次の通りです。
ホーソン効果 | ピグマリオン効果 |
他人の注目を感じて、自身のパフォーマンスが上がる現象 | 他者に期待することで、期待した相手のパフォーマンスが上がる現象 |
多少違いはあるものの、相手が期待を感じてパフォーマンスが上がるという意味でどちらも似通っています。
ピグマリオン効果を詳しく知りたい人は、こちらも見てみてください。
≫ ピグマリオン効果とは?逆の意味のゴーレム効果とは? 実験事例で解説
ホーソン効果のビジネス活用例を紹介
ホーソン効果を活かすためには、パフォーマンスを上げたい相手に、「君は選ばれし者だ!」と感じ取ってもらう必要があります。
そのためには、何かしらの方法でその人を特別扱いしてあげましょう。
活用①:社員のモチベーションを上げる
社員に注目度を感じさせてモチベーションを上げるためには、次のような方法があります。「この仕事が出来るのは君しかいない!」と思わせましょう。
- 若いうちに昇進させる
- 企業内で優秀者を表彰し、大々的に扱う
- 「上層部も君の案件を気にしているよ」と言ってあげる
- プロジェクトに召集する
スタバやマクドナルドでは、優秀スタッフコンテストをやっています。こういう施策はお金がかかるだけに思われますが、参加者のモチベーションアップが期待できるので決して損はありません。
いずれにしても、優秀な人なら給料を多めにあげなければなりません。ついでに表彰しておけば、もっとやる気を出してくるので、やる価値アリです。
プロジェクトへ参加させるのも有効。プロジェクトとは、通常の組織で行う仕事とは別の臨時活動を指します。何か特別なことをするのがプロジェクト。ここに参加するだけで「選ばれし者」の注目を浴びることになります。
活用②:コンシューマーサービスをスケールさせる
コンシューマーサービスを伸ばすためには、その中でスターになってくれる存在が必要です。わかりやすく言えば、YouTubeのヒカキンさん。インフルエンサーと呼ばれることもあります。
そのスターが活躍することで、後続の参加者が羨ましいと感じ、参入者を活気づけられるからです。如何に注目を集める施策でスター候補をやる気にさせるかが、サービススケールの試金石なのです。
コンシューマーサービスの中でも、ソーシャル系サービスは注目度をうまく活用しています。例えば次の通りです。
- SNSのフォロワー数
- Youtubeの「いいね!」
- Yahoo!知恵袋のカテゴリーマスターの称号
- ソーシャルゲームのプレイヤーランキング
SNSやYoutubeでは、フォロワーやいいねで注目度を可視化しています。フォロワーに注目されていることでますますやる気になり、サービス全体を盛り上げ役割を果たしてくれます。
Yahoo!知恵袋のカテゴリーマスターの称号も有効な仕掛け。特に表彰されたからといって何があるわけでもないのに熱心に回答するのは、注目を浴びていると認識しているからです。
活用③:顧客のエンゲージメントを上げる
ホーソン効果を応用することで、顧客のエンゲージメントを上げることが可能です。
効果的なシーンはオンボーディング(サービスを最初に使い始めるとき)です。ここで「選ばれし者」感を感じてもらえると、それ以降のサービス定着に大きく貢献します。
例えばRPGでは、壮大な冒険をする主人公は選ばれ勇者です。王様から「世界を救えるのは君しかいない!」と言われるから、その後もプレイを続けようと思えます。
ここでサービス提供者が意図的に使えるテクニックが、「ビギナーズラック」の演出です。
- 初めての麻雀で役満をあがった
- 初めての釣りで50cmの大物を釣った
- 初めてのゴルフでホールインワンを出した
このようなビギナーズラックを手にした人は、自分は「持っている」と感じます。その感覚を味わった人は、もう一度サービスに訪れる可能性が飛躍的に増します。
そのためサービスを使い始めた人に対しては、意図的に大成功を体験させましょう。ソーシャルゲームであれば、初回ガチャは排出率を調整してレアが出やすくすると良いでしょう。
まとめ
今回は心理学より、「ホーソン効果」を紹介させていただきました。
簡単に言えば、相手の「承認欲求」を満たして気持ちよくさせているだけ。ですが人間の根源的な欲求に根ざしているので、避けようがありません。
ポイントは、「選ばれし者」感を感じさせることです。
ホーソン効果とは…
- 注目を浴びることで、「相手の期待に応えたい」という心理になり、パフォーマンスが向上する現象のこと
ホーソン効果で社員のパフォーマンスを上げる方法
- 若いうちに昇進させる
- 企業内で優秀者を表彰し、大々的に扱う
- 「上層部も君の案件を気にしているよ」と言ってあげる
- プロジェクトに召集する
ホーソン効果でコンシューマー向けプラットフォームを成長させる方法
- 注目度を集める機能でスターを育てる
- フォロワー、いいね、表彰、ランキングなどの機能を設ける
わたしはサラリーマン時代に、「ホーソン効果」をよく実感していました。
何かと表彰を受ける機会(ほぼ運)が多かったのですが、1番強く感じたのは、営業成績上位10%のメンバーだけが選抜された新設部署に異動が決まったときです。
終業後や休日もビジネスの勉強をするようになったのは、この異動がきっかけ。思い返してみれば、全社注目の新設部署に選ばれたという事実が、モチベーションを奮い立たせていたんですね。
社会人の学びに「この2つ」は絶対外せない!
あらゆる教材の中で、コスパ最強なのが書籍。内容はセミナーやコンサルと遜色ないレベルなのに、なぜか1冊1,000円ほどしかかりません。
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新刊のビジネス書が早々に読み放題になっていることも珍しくありません。個人的には、ラインナップはかなり充実していると思います。
外せない❷ Audible
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どちらも30日間は無料なので、万が一読みたい本がなかった場合は解約してください(30日以内であれば、仮に何冊読んでいても無料です)。
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ガンガン読んで、ガンガン知識をつけて周りに差をつけましょう!
とりあえず両方試してみて、それぞれのラインナップをチェックするのがオススメです!