心理学・行動経済学

「古典的条件付け」と「オペラント条件付け」の違い。実生活やビジネスに活用する方法を解説

行動心理学には、「古典的条件付け」「オペラント条件付け」という対になる概念があります。どちらも学習に関係しています。第3者が他人の行動や反応をコントロールすることもできます。

主に教育の分野で知られており、塾の講師などの教える立場の人が活用しています。しかしそれだけに関わらず、自分自身もモチベーション管理や、ビジネス現場マネジメントでも応用できる代物。

この記事では、「古典的条件付け」と「オペラント条件付け」のそれぞれの内容と違いをわかりやすく解説しています。そして実生活やビジネスでの活用方法まで触れています。

言われてみれば当たり前のことかもしれませんが、あえて体系的に理解することは大切です。体系的な理解を得られれば、勘に頼らず再現できるようになるからです。

ぜひ最後までチェックしてみてください。

【まずはざっくり】古典的条件付けとオペラント条件付け

古典的条件付けとオペラント条件付けは、いずれも「学習」に関する概念です。ここでの学習とは、「何かを経験した結果、行動が変化すること」を指しています。

そして学習には、次の2種類があります。

  • 連合学習(associative learning)
    2つ以上の刺激を組み合わせる学習

  • 非連合学習(non-associative learning)
    単一の刺激による学習

古典的条件付けとオペラント条件付けは、前者の「連合学習」に属しています。

本記事では深く触れない「非連合学習」では、馴化(habituation)と鋭敏化(sensitization)が代表的。馴化は慣れることで、反応が弱くなっていく現象。反対に反応が強くなっていくのが鋭敏化です。

両者の違いは?

さて、では古典的条件付けとオペラント条件付けは、何が違うのでしょうか?

後ほど紹介しますが、古典的条件付けの有名な例に「パブロフの犬」があります。犬にベルを鳴らしてからエサを出すようにすると、ベルの音を聞いただけで唾液が出るようになります。

ここでの「唾液が出る」は、体が反射的に起こした反応であり、犬自身が意図した結果ではありません。古典的条件付けは、体が勝手に反応するような類を指します。受動的と呼んでも良いでしょう。

一方でオペラント条件付けは、反射的に起こる反応ではありません。オペラント条件付けは、能動的な反応です。例えば犬が自分でベルを鳴らすとエサを貰える仕掛けだったとしたら、犬が進んでベルを鳴らそうとすることがこれに当たります。

【より詳しく】古典的条件付けとは?

古典的条件付け(Classical conditioning)とは、体が勝手に反応を起こすような刺激Aと、その反応とは無関係な刺激Bの対呈示(同時に出す)によって、2つの刺激が条件づけられて反応が起こることです。

人は梅干しを見ると、よだれが出ます(唾液が必要な検査場で、梅干しやレモンなどの写真が貼ってあるのはそのため)。

ここでよだれが出ることを「無条件反応」と呼びます。体が無条件に、反射的に反応してしまうためです。そして無条件反応を起こす刺激となった梅干しは、「無条件刺激」と呼ばれます。

そしてよだれとは全く関係ない刺激を「中性刺激」と呼びます。何でも良いのですが、ここではお昼休みのチャイムとしておきましょう。

「お昼休みのチャイムを聞いたら、梅干しのおにぎりを食べる」と連想する(あるいはさせる)ことで、チャイムは中性刺激から無条件刺激と関連した「条件刺激」に変わります。

その結果、チャイムを聞いただけでよだれが出てしまう「条件反射」が起こります。

この一連の流れが古典的条件付けです。条件反射で起こることから「レスポンデント条件付け」、あるいは有名なパブロフの犬の実験から「パブロフ型条件付け」とも呼ばれます。

実験例:パブロフの犬

イワン・パブロフは、旧ソ連の生物学者で、ノーベル賞も受賞している人物です。彼が行った実験は「パブロフの犬」として知られており、古典的条件付けの代名詞でもあります。

この実験でパブロフは、犬の頬に手術で管を通し、唾液の分泌量を測定できるようにしました。その上で、ベルを鳴らしてからエサを与え続けた結果、犬はベルの音を聞いただけで唾液を出すようになりました。

なおここでの無条件刺激であるエサは、「強化子」と呼ばれます。そして条件刺激(ベル)の後に、無条件刺激(エサ)を与えることを「強化」と呼びます。

その後にベルを鳴らしつつもエサを与えるのをやめると、唾液が出る反応は消えました。この現象を「消去」と呼びます。そしてベルとエサのセットを再開すると、再び反応が現れます。こちらは「自発的回復」と呼ばれる現象です。

日常例:坊主憎けりゃ袈裟まで憎い

古典的条件付けを表すのにピッタリのことわざです。あるモノを憎むと、そのモノに関連する全てが憎く感じてしまうという意味です。

わたし自身も覚えがあります。とある友人から、奥さんと仲が上手くいっていないという話を聞いたときのこと。

友人が奥さんから嫌われる根本的な理由は、毎晩飲み歩き、土日はゴルフに行って、家庭をおろそかにしていることにありました。

奥さんはすっかり旦那が嫌いになってしまったようで、何にでもイチャモンをつけるようになりました。その一つが、「太っていて気持ち悪い!」でした。(ちなみにその友人は結婚前から太っていて、今に始まったことではありません)

友人は奥さんとの仲を回復させるために、「まずはダイエットしなきゃかなぁ…」とこぼしていました。

しかし体型は明らかに枝葉。奥さんは友人を嫌いになった結果、その体型まで嫌いになってしまったというだけの話です。正すべきは、夜や休日に家を空ける生活習慣の方ですね。

【より詳しく】オペラント条件付けとは?

オペラント条件付け(Operant conditioning)とは、報酬や罰によって、自発的にある行動を増やしたり減らしたりすることです。

ここでは、「テストで良い点を取る」や「遊び終わったおもちゃを片付ける」といった特定の行動を、「オペラント行動」と呼びます。

オペラント行動の頻度が増減することをそれぞれ、

  • 強化:オペラント行動の自発頻度な高まり
  • 弱化:オペラント行動の自発頻度な低まり

と呼びます。

そしてその出現により、直前のオペラント行動の増減をもたらす刺激を、

  • 強化子:強化を起こす刺激(例:ほめる)
  • 罰子:弱化を起こす刺激(例:しかる)

と呼びます。

オペラント行動量の変化と刺激の関係は、次の4象限で表されます。

自発的行動の発生頻度
増加(+) 減少(-)
刺激を与える 正の強化
(強化子を与える)
正の弱化
(罰子を与える)
刺激を取り除く 負の強化
(罰子を取り除く)
負の弱化
(強化子を取り除く)

各パターンの例

  • 正の強化
    :テストで満点を取ってみんなに褒められたから、もっと勉強するようになった
  • 負の弱化
    :満点をとっても褒められなくなったので、勉強しなくなった
  • 正の弱化
    :職場で意見を言うと、すぐに上司が否定してくるので、意見を言わなくなった
  • 負の強化
    :意見にすぐ否定する上司が左遷されたことで、意見を言う機会が増えた

なおオペラント条件付けは別名で、「道具的条件付け」、また代表的な実験例から「スキナー的条件付け」とも呼ばれます。

実験例:スキナー箱

米国の行動心理学者バラス・フレデリック・スキナーは、一般に「スキナー箱」と呼ばれる実験を行いました。

その箱はレバーを押すと餌が出てくる仕掛けになっていて、中にマウスを入れます。すると、偶発的にレバーを押してエサにありつけることを知ったマウスは、レバーを押す頻度が多くなりました。

これは「正の強化」の典型例です。オペラント行動が「レバーを押す」であり、強化子は「エサ」です。

日常例:金の切れ目が縁の切れ目

金払いの良いうちは親しげに接する。しかし金払いが悪くなった途端に、態度が豹変したり疎遠になったりする人がいます。

この現象をオペラント条件付けに当てはめてみましょう。

  1. オペラント行動:感じ良く接する
  2. 強化子:奢ってもらえる

という体験から、まず「正の強化」が起こります。

しかし相手の金払いが悪くなり、「奢ってもらえる」という強化子が消えてしまうと、感じ良く接する理由がなくなってしまいます。

その結果として「正の弱化」が起こります。つまり感じ良く接する行動を止めるのです。

ときに、こういう打算的な人を嫌う人は、強化子を隠す傾向がありますね。不用意に他人に奢らなかったり、年収や資産を低く偽ったりします。

実生活やビジネスに活用する方法3選

では、古典的条件付けとオペラント条件付けを学んで、我々はどのようにこれらの知識を活用できるでしょうか?

そのアイデアを3つ紹介します。

実生活やビジネスに活用する方法

  1. 自分へのご褒美
  2. 相手を否定せずに褒める
  3. 罰とお金に注意

活用①:自分へのご褒美

勉強や仕事を頑張って成果が出たら、自分へのご褒美をあげてみましょう。美味しいレストランに行くなり、いつもなら手が出ない高価な洋服を買っても良いでしょう。

ご褒美がもらえる快感を、勉強や仕事に結びつけることで、勉強や仕事で成果を出すこと自体に快感を得るようになります。

活用②:相手を否定せずに褒める

部下や同僚、子供に、お願いしたことを思った通りやってもらえなかった経験は誰しもあるはず。「なんでできないの!?」と、小言を言いたくなってしまいますね。

しかしグッと堪えましょう。

せっかくの行動を否定された相手は、もうあなたのために行動するのはやめようと思ってしまいます。誰だって不快な気持ちになるのがわかっていて、行動しようとは思いません。

まずは、「ありがとう!」と行動してくれたことへの感謝を述べましょう。そして、できていた部分を見つけて褒めましょう。

その上で、「次回はこうできたら、もっと良くなるね!」と、暗に改善点を知らせましょう。

この言い方なら、行動の直後に得られる刺激は「褒められる」というポジティブなものに変わります。あなたのためにもっと行動したいと思ってもらえるでしょう。

活用③:罰とお金に注意

ナポレオンは、「人間を動かす2つのテコは、恐怖と利益である。」と述べました。天才ナポレオンは経験から心理学を理解していたようですね。

確かにナポレオンの言う通り、恐怖を与える「罰」、利益を与える「報酬(=お金)」によって、相手に望んだ通りに行動させることは可能です。

ただしこれまた心理学のアンダーマイニング効果によれば、罰やお金をテコにしたインセンティブは、かえって相手のやる気を失わせると結論づけています。

仕事を例に考えてみましょう。

「降格を避ける」または「昇給を得る」が行動の目的になってしまい、本来仕事そのものに感じていたやりがいが押し出されて消えてしまう現象が起きます。

ありがちなパターンとして、完全成果主義で報酬が高い外資系サラリーマンは、もっと待遇が良い企業があればコロッと転職してしまいます。

もはやお金以外に、やりがいを見いだせなくなってしまった結果です。

孔子は『論語』で、「これを知る者はこれを好む者に如(し)かず。 これを好む者はこれを楽しむ者に如(し)かず。」と述べています。

要するに、その行動自体を楽しんでいる人が最強であると言っています。

短期で人を動かすなら、ナポレオンの言う通り、罰やお金をテコにしても良いでしょう。しかし長期の成果を求めるなら、その行動自体の楽しさを奪ってしまってはいけません。

安易に罰やお金に頼るのではなく、褒めたり、知的好奇心を満たしたり、達成感を与えたり、別のテコを用意するのがオススメです。

お金以外のインセンティブを解説した記事も参考にしてみてください。

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またゲームの世界には、罰やお金に頼らずともプレイヤーを行動させるアイデアが詰まっています。ゲームの利点をビジネスに応用するゲーミフィケーションは高い効果が期待できるでしょう。

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≫【厳選】ビジネスマンがAudibleで聴くべき17冊

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