マーケティング

【真のライバルは誰?】競合は同業他社だけじゃない。本質を理解してポジショニングしよう

「ビジネスは競合分析が大切!」とよく聞きますが、競合とは誰を指しているんでしょうか?

  • 「吉野家」の競合は「松屋」と「すき家」でしょうか?
  • 「日産」の競合は、「トヨタ」と「ホンダ」でしょうか?

これらは同業他社です。

もし「競合=同業他社」と考えているなら、それは大きな間違いです。その分析では、真の競合優位は作れません。

競合とは、顧客の財布を奪い合う、全ての企業を指します。

あなたのライバルは、実は想像しているよりもたくさんいます。そしてたくさんのライバルから差別化し、競争優位を勝ち取らなければなりません。

また同業他社はライバルであることが多いですが、実は見かけだけで競合していないケースもあります。理解していないと、間違った競合をベンチマークにしてしまう恐れがあります。

この記事でわかること

  • あなたが戦うべき真の「競合」の範囲
  • 企業と顧客が考える「競合」の違い
  • 競合を意識したポジショニングの考え方

ビジネスにおける「競合」の意味を解説している記事は他にもありますが、浅い記事が多い印象です。ここまで深く解説している記事はほとんどないかと。

ここでこのページを開いたのは何かの縁。ぜひ念入りにチェックしてみてください。

意外な競合はココにいる

まずは「競合=同業他社」というマインドブロックを外すところから始めましょう。

企業から見て、「同じ目的を持つ他社製品」「同じ欲求を満たす他社製品」は、形は全く違っていても競合になります。

意外な競合①:同じ目的を持つ製品

同じ「目的」を達成するための製品は、形は違えど競合になります。

マーケティング慣れしている人は、目的を「ベネフィット」と言い換えた方が、しっくりくるかもしれません。

睡眠の質を上げたい

  • 遮光カーテン
  • サプリ
  • ヤクルト1000
  • 睡眠に詳しい医師

遠距離の移動が目的

  • 飛行機
  • 新幹線
  • 夜行バス
  • 自家用車

もし東京から大阪に移動するのに飛行機を使ったら、新幹線や夜行バスは使わなかったということです。つまりこれらの業界は競合しているわけです。

ANAの競合他社は、JALや格安キャリアだけではありません。JR東海も同じくらい強力なライバルになります。

意外な競合②:同じ欲求を満たす製品

他の記事ではほとんど触れられていませんが、同じ「欲求」を満たす製品は、本質的には競合に当たります。

逆に言えば、同じ目的を持った同種の製品でも、満たす欲求が異なる場合は、競合していないことになります。

欲求をカテゴライズする際は、「マズローの欲求のピラミッド」がオススメです。科学的な根拠は薄いのですが、大まかな分類には使いやすいと思います。

自動車を例に考えてみましょう。

種別 本質的価値 満たす欲求 競合
軽自動車、軽トラック 生活に必要、または仕事をする上で必要 安全の欲求 レンタカー、カーシェア、公共交通機関
ファミリーカー、ミニバン 家族や仲間と楽しい時間を過ごす 所属と愛の欲求 居酒屋、カラオケ、ショッピングセンター
高級車 ステータスを誇示する 承認欲求 高級ブランド品
ライフスタイル車(フェラーリ、キャンピングカーなど) 自分らしいライフスタイル実現する 自己実現の欲求 個人の趣味、教育コンテンツなど

クルマであれば、形は大体同じ。用途は中〜長距離の移動です。しかし同じクルマでも、軽自動車とベンツでは、満たす欲求が異なります。

ベンツを買う顧客は、軽自動車は選択肢に入りません。逆に軽自動車を買う人は、憧れはあるかもしれませんが、ベンツを買う顧客にはなりません。

両者は同業他社ではありますが、実際には競合していないのです。

ベンツは、「承認欲求」を満たしていると考えられます。本質はブランドバッグや高級腕時計と同じ。真のライバルは、舶来の高級ブランド品なのです。

一方で軽自動車は、シンプルに移動のため使います。生活必需品という意味で、「安全の欲求」を満たしています。真のライバルは、安価な移動手段であるカーシェアや公共交通機関にです。

≫マズローの欲求段階説とは?例を交えて丁寧に説明【全ての根源は「欲求」にある!】

顧客視点で考える競合とは?

我々はビジネスマンであると同時に、プライベートでは消費者でもあります。しかし企業サイドで競合を考えるとき、なぜか顧客の視点がどこかへ行ってしまうのです。

我々が奪い合っているのは、顧客の財布です。誰が競合かを決めているのは、企業ではなく顧客なのです。

ここでは見落としがちな、「顧客視点での競合」を思い出してみましょう。

メンタルアカウンティングで考える競合

心理学や行動経済学の世界には、「メンタルアカウンティング」という考え方があります。

本来お金に色はありません。月収30万円の人なら、お財布は30万円分でひとつしかありません。

しかしあたかも複数のお財布を持っているかのように、「家賃と光熱費は月12万円」「食費は月7万円」と、別々に予算管理をしています。これがメンタルアカウンティングです。

メンタルアカウンティングに従えば、同じお財布で勘定されている製品は競合しています。

「洋服」をたくさん買った月は、「外食」は控えよう思うのではないでしょうか?そうだとしたら、全く別業界でも「洋服」と「外食」は、競合しています。

「飲み会」が多かった月でも、「友人の結婚祝いのパーティー」には参加するでしょう。一見すると同じ外食ですが、両者はお財布が別なので競合していません。

顧客が「A」を買うために、「B」を我慢したら、「A」と「B」は競合しています。顧客目線で考えると、競合の範囲は想像以上に広いことになりますね。

≫【お金に色はつきまくり】メンタルアカウンティング(心理会計)とは?具体例で解説

見落としがちな、顧客の中の競合性の強さ

これまた見落とされがちなのが、「顧客の中にある競合性」の強さ。意外に重要です。

1人が1つしか買わない製品は、競合性が高い製品です。1つのイスを奪い合うので、必然的に競争が激しくなります。ただし買い換えるスパンが短くなれば、競合性は下がります。

競合性が高い製品の例

  • 大学
  • 保険
  • スマホ

一方で、同時に複数の製品を所有するなら、競合性は低いと判断できます。

競合性が低い製品の例

  • 食品
  • 雑貨
  • 洋服
  • アクセサリー
  • コレクターアイテム

例えば同じ雑貨でも、「スマホケース」と「お皿」では競合性が異なります。

「スマホ」は通常1台しか持たないので、競争は激しくなります。また既にケースを持っている人は、機種変更するまで次を買わないので、顧客の対象から外れます。

1人が何枚も買う「お皿」なら、他社から買った上で、あなたからも買ってくれるかもしれません。また現在お皿を持っている人も、顧客の対象になります。

売る製品の選択肢を持てるなら、競合性が低い製品を選んだ方がベターでしょう。売るハードルはグッと下がります。

コレクターアイテムは売りやすい

コレクターアイテムは、「顧客の中の競合性」がもっとも低い部類です。

スニーカーは、普通であれば1人につき3〜4足くらいでしょう。黒いスニーカーを1足持っていれば、黒いスニーカーのイスはもう埋まってしまっています。

しかしスニーカーを収集している人は、上限のタガが外れています。カッコ良かったり貴重だったりすれば欲しくなり、予算と部屋が許す限り買い足します。

流石に全く同じモデルを複数買うケースは多くありませんが、同じ黒いスニーカーでも、adidasとNIKEは別物。同じNIKEでも、Air force1とDunkは別物です。

またコレクターアイテムは、付随する周辺産業の競合性も下がります。

スニーカーコレクターを狙った周辺産業

  • 替えの靴紐:スニーカーのデザインに合わせて買う。競合性は低い
  • 靴下:スニーカーのデザインに合わせて買う。競合性は低い
  • 収納ケース:数こそ買うものの、1種類で揃えたい。競合性は高め

既にコレクターが存在するジャンルなら、コレクターの勘所さえ押さえれば、非常に売りやすいと言えるでしょう。

同業他社の競合がいることは悪ではない

新規事業を考えているとき、同業他社に競合がいると、「あー。この市場、もう先越されてるのかぁ」と感じますよね。

しかし、売れている同業他社がいるということは、その業界にはちゃんと需要があると考えられます。同業他社がいるという事実は、そこまで悪いことではありません。

もしその市場に1社も既存企業がいないとしたら、次のどれかです。

もし同業他社が1社もいなかったら?

  1. そのビジネスは需要がない
  2. 先見性がありすぎて、誰も気がついていない
  3. 参入障壁(莫大な資本、高度な技術、法規制の壁など)が高い

おそらく1番可能性が高いのは、「①そもそも需要がない」ケースでしょう。

同業他社がいるのは、ある意味で、その市場が戦う土壌たり得るサインなのです(強すぎる大手しかいないなら困りますが)。

≫斬新すぎるアイデアを安易に商品化してはいけない理由【ヒントは習慣】

手堅く攻めるなら、同業他社が多いのはメリット

既存企業がたくさんいる業界は、顧客にその製品を買う習慣が根付いていると解釈できます。あなたが0から地固めする必要はありません。

もしあなたが全く新しい市場でパイオニアを目指すなら、顧客にその製品を使う習慣を根付かせるのに、年単位の時間がかかります。スマートスピーカーやメタバースがまさにこのパターン。

手堅い戦略を取るなら、むしろ既存企業が多い業界を選び、既存製品の軸をちょっとズラして売るのがオススメです。

≫【大チャンス】成熟市場=オワコンではない。成熟市場で金脈を見つける戦い方を解説

ライバルは企業とは限らない?

状況によっては、最大のライバルは企業ですらない場合もあります。

彼氏に結婚を決意させたい彼女の敵は、他の女ではありません。「結婚はまだ先でいっかな〜」という彼氏の認識です。

このように人間が持っている認識(多くの場合は固定観念)を、マーケティング界隈では「パーセプション」と呼びます。

敵は他社ではなく、顧客のパーセプションかもしれません。

頑なにガラケーを使い続けるおじいちゃんがいたとしましょう。スマホに切り替えさせたい場合、競合は他の通信キャリアでしょうか?

おじいちゃんからしたら、他のキャリアがどうとかは一切気にしていません。必要があるなら、目の前にいるスタッフから買えば良いと思っています。

真の競合は、「スマホなんて必要ない!」と思っているおじいちゃんの認識です。

もしあなたがパイオニアとして、新市場を切り開こうとしているなら、最大の敵は、「そんなモノ必要なくない?」という顧客のパーセプションです。

ポイントは、顧客の購買意思(あるいは習慣)の有無です。購買意思があるなら、敵は競合他社です。購買意思がないなら、敵は顧客のパーセプションです。

【パターン別】ポジショニングの考え方

本記事では、ビジネスにおけるさまざまな「競合」の考え方を解説しました。どれも重要ではありますが、全てを同時に吟味するのは大変ですね。

ビジネス環境によって、どの軸で競合を考えるかは変わってきます。あなたの環境に合わせて適切な競合を分析し、ポジショニングを考えましょう。

ここでは参考までに、4つのパターンで、それぞれ市場のポジショニングの考え方を紹介します(あくまで一案ですが)。

パターン①:物理的に商圏が区切られる市場

インターネットで場所の制約が開放された現在でも、ある種のサービスは距離によって商圏が区切られます。美容院、飲食店、マッサージ店などです。

これらの市場でポジショニングを築くなら、まず考えるべきは、空いた地図を物理的に埋めに行くこと。ラーメン屋がない地域にラーメン屋を開けば、一流でなくてもそこそこ客は入るでしょう。

しかし多くの産業は、インターネットにより商圏の垣根が取り払われています(言語圏による商圏は、依然として残っていますが)。以降のパターンを参考にしてみてください。

パターン②:生活必需品の市場

生活消耗品や食品、医療など、生活を送る上で必須となる製品は、目的がハッキリしています。「目的を達成できるなら、安いに越したことはない」が、顧客の心理です。

またシャンプーや卵など、他の製品によって代替されづらい製品が多く、競合は同業他社が中心になるでしょう。

生活必需品の市場は、「品質」と「コスト」のシンプルな2軸でポジショニングされています。

  • 「高品質&高コスト」
  • 「中品質&中コスト」
  • 「低品質&低コスト」

から、手薄なポジションに入ることを第一に考えます。

難点として、同ランクの製品は、単純な価格競争になりやすくなります。最安価格をオファーできる数社に集中するようになり、最終的には大手だけが勝つ市場になってしまいます。

成熟してしまった生活必需品市場は、大手の牙城。ここで勝負をするなら、生活必需品の枠を破り、嗜好性を持たせて勝負するのが良いでしょう。

生活必需品に嗜好性を持たせる例

  • マスク:それまでは無味乾燥だったマスクだが、ファッション性を備えた様々なマスクが登場している
  • 医療ツーリズム:近さと評判以外に選ぶ要素がなかった医療に、観光を組み合わせることで、新しい選択肢が登場している

パターン③:生活必需品以外の市場

生活必需品以外の市場は、主に「欲求」でポジショニングすることになります。なお、生活必需品でも、嗜好性を持たせたモノはこっちのパターンが当てはまります。

まず同業他社を中心に、近しいジャンルの他社製品をリストアップします。それぞれの製品を満たす欲求で分類し、他の製品が満たしていない空いた欲求を狙います。

≫マズローの欲求段階説とは?例を交えて丁寧に説明【全ての根源は「欲求」にある!】

このパターンの難点として、生活に必須ではないので、同じ予算にカウントされている別の製品と競合しやすくなります。旅行でお金を使っちゃったので、ゲームソフトは我慢しようといった具合です。

ライバルが一気に増えるので、新規事業なら「顧客の中の競合性」が低いジャンルを選ぶのがベターです。1人が何個も買うようなジャンルの製品を選べば、競争を避けやすくなります。

パターン④:全く新しい新興市場

まったく新しい製品で市場を切り開く場合は、競合はほとんどいません。いても片手で数えられるくらいでしょう。

この場合、その製品を使う習慣がない顧客のパーセプションが、最大の敵です。敵は競合他社ではありません。

むしろ競合他社と協力し、市場を一緒に成長させるべきです。コンソーシアムを作って一緒にロビー活動するなり、業界のスタンダードを決めるなり、共闘の構えでいきましょう。

まだ夜明け前の新興市場であれば、その後は市場のパイがドンドン拡大します。新規顧客は湧いてくるので、他社から奪うためにドンパチ競争している場合ではありません。

社会人の学びに「この2つ」は絶対外せない!

あらゆる教材の中で、コスパ最強なのが書籍。内容はセミナーやコンサルと遜色ないレベルなのに、なぜか1冊1,000円ほどしかかりません。

それでも数を読もうとすると、チリも積もればで結構な出費に。ハイペースで読んでいくなら、月1万円以上は覚悟しなければなりません…。

しかし現代はありがたいことに、月額で本読み放題のサービスがあります!

外せない❶ Kindle Unlimited

Amazonの電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)」は、月額980円。本1冊分の値段で約200万冊が読み放題になります。

新刊のビジネス書が早々に読み放題になっていることも珍しくありません。個人的には、ラインナップはかなり充実していると思います。

Kindle Unlimited 公式サイト

≫【厳選】ビジネスマンがKindle Unlimitedで読むべき15冊

外せない❷ Audible

こちらもAmazonの「Audible(オーディブル)」は、耳で本を聴くサービスです。月額1,500円で約12万冊が聴き放題になります。

Audibleの最大のメリットは、手が塞がっていても耳で聴けること。通勤中や家事をしながら、子供を寝かしつけながらでも学習できます。

冊数はKindle Unlimitedより少ないものの、Kindle Unlimitedにはない良書が聴き放題になっていることも多い。有料の本もありますが、無料の本だけでも十分聴き倒せます。

Audible 公式サイト

≫【厳選】ビジネスマンがAudibleで聴くべき17冊

ちなみにわたしは両方契約しています。シーンで使い分けているのと、両者の蔵書ラインナップが被っていないためです。

どちらも30日間は無料なので、万が一読みたい本がなかった場合は解約してください(30日以内であれば、仮に何冊読んでいても無料です)。

そして読書は、早く始めた人が圧倒的に有利。本は読めば読むほど、複利のように雪だるま式に知識が蓄積されていくからです。

ガンガン読んで、ガンガン知識をつけて周りに差をつけましょう!

とりあえず両方試してみて、それぞれのラインナップをチェックするのがオススメです!

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