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【神話のテンプレート】ヒーローズジャーニーとは?魅力あるストーリーには法則がある!

映画を見ていると、設定や登場人物は違えど、似たようなストーリー展開ばかりであることに気づいた人は多いはず。

なんの変哲もない主人公が、何かのきっかけによって、導かれるように冒険に誘われる。師や仲間と出会い、強大な敵を倒して、平和を手に入れる。

こんなストーリーです。このあるあるなストーリー展開は、実は数千年前から語り継がれる神話にも見られます。

実は人間が本能的に好むストーリーは決まっています。奇をてらう必要はなく、テンプレートに沿ってストーリーを構築するのが、もっとも効果的であることは歴史が証明しています。

神話を元に物語をテンプレート化したのが、「ヒーローズジャーニー」です。

この記事でわかること

  1. 12ステップのテンプレート
  2. ヒーローズジャーニーが本能に響く心理学的な理由
  3. ビジネスでの応用方法

ビジネスでの応用が期待されており、特にマーケティングで使えば、本能的に「欲しい!」と思わせる魅力的なストーリーを構築できるでしょう。

何千年もの試行錯誤で練られてきた叡智を活用しない手はありません。ぜひこの記事を読んで、歴史を味方につけたストーリーを展開してみませんか?

Contents
  1. ヒーローズジャーニーとは?
  2. 12ステップのテンプレート
  3. 「外面」の旅と「内面」の旅
  4. 【心理学的な考察】ヒーローズジャーニーは男性向け
  5. 人気マンガに見るヒーローズジャーニーの考察
  6. ヒーローズジャーニーのビジネス活用シーン
  7. ヒーローズジャーニーのビジネス活用事例
  8. まとめ
  9. 参考書籍

ヒーローズジャーニーとは?

ヒーローズジャーニーとは、神話で頻出するストーリー展開を、12ステップで一般化した理論です。

提唱者は神話研究の第一人者であるジョーゼフ・キャンベル氏。彼は世界中の神話(日本神話も含む)を調べ上げ、英雄たちの冒険譚に共通する型を見つけました。そして1949年の著書『千の顔を持つ英雄』で、その型をヒーローズジャーニーと名付けました。

このヒーローズジャーニーを実用レベルに押し上げたのが、ハリウッドのストーリー・アナリストであるクリストファー・ボグラー氏。彼の著書『神話の法則』によりヒーローズジャーニーは、映画の脚本や小説のテンプレートに昇華しました。

「スターウォーズ」「マトリックス」「ロードオブザリング」は、典型的なヒーローズジャーニーです。映画版のドラえもんは、通常回とは打って変わって、コテコテのヒーローズジャーニーです。

ちなみに血湧き肉躍る冒険譚でなくても、ヒーローズジャーニーは成立します。弱小野球部が甲子園を目指すのも、偏差値30の落第生が東大を目指すのも、立派なヒーローズジャーニーです。

素直に従うべきか、あえてハズすべきか?

王道ストーリーをあえて外したいと考える人もいるでしょう。しかしヒーローズジャーニーは、ウケることがわかっている鉄板のストーリー展開基本的には従うべきでしょう。

ヒーローズジャーニーは、使い古されたストーリー展開と見るべきではありません。何千年(実際には何万年と思われる)にも渡ってふるいにかけられ、ウケる要素だけが凝縮したストーリー展開と見るべきです。

人類が文字を発明したのはここ1万年の話。間違いなく、それ以前から神話は存在していました。少なくとも数万年前から、神話が口伝されていたと考えるのが自然でしょう。

文字がないので、話す人によって内容は微妙に異なっていたはずです。中には印象に残らずに忘れられたり、ウケが悪くて意図的に消去したりした部分もあるでしょう。逆にもっと面白い展開を付け足した人もいたかもしれません。

そうして幾世代に渡って語り継がれるうちに、自然淘汰される形で、ストーリーは洗練されていきました。これは小説家が推敲に推敲を重ね、極限までムダな要素を削る作業と同じです。

12ステップのテンプレート

それではヒーローズジャーニーの核に当たる「12のステップ」を順に見ていきましょう。

  1. 日常世界(Ordinary World)
  2. 冒険へのいざない(Call to Adventure)
  3. 冒険の拒否(Refusal of the Call)
  4. 賢者との出会い(Meeting the Mentor)
  5. 戸口の通過(Crossing the First Threshold)
  6. 試練、仲間、敵対者(Tests, Allies, Enemies)
  7. 最も危険な場所への接近(Approach to the Inmost Cave)
  8. 最大の試練(Ordeal)
  9. 報酬(Reward)
  10. 帰路(The Road Back)
  11. 復活(Resurrection)
  12. 宝を持っての帰還(Return to the Elixir)

1.日常世界(Ordinary World)

主人公は狭い世界で、日常を過ごしています。その後の大冒険とのコントラストを強く出すため、多くの場合は安全で退屈な世界が描かれます。

主人公はその世界の環境や伝統に心底馴染めないところがあり、ジレンマを抱えています。

しかしこの時点の主人公はまだ臆病者。ある意味でマザーコンプレックス的なところがあり、今の環境から抜け出す勇気がありません。

2.冒険へのいざない(Call to Adventure)

主人公を冒険へ駆り立てる何かしらのイベントが起こります。

そのイベントには、プラスの場合とマイナスの場合があります。

  • 「プラス」のイベント
    :知らなかった別の世界を知ってしまい、飛び出したい衝動に駆られる
  • 「マイナス」のイベント
    :世界や大切な人に危機が迫っており、行動を起こさなければ破滅に向かう

「遠くに見える地平線の先にこぎ出してみたい」といった内から湧き出る動機もあれば、「突然使者がやってきて、世界を救ってくれと懇願される」ような外からの圧力もあります。

いずれにしても、主人公を日常から引っ張り出す作用が働きます。

3.冒険の拒否(Refusal of the Call)

多くの物語で、主人公は一度は冒険を拒否します。まだ臆病者の弱さがあり、未知の世界に飛び出す恐怖が勝っています。多少のガマンは容認して、今の世界に留まろうと考えます。

主人公は一人ひとりの観客の投影です。一般人である顧客にとって、未知の世界へ躊躇なく飛び出してしまう主人公ではリアリティーに欠けます。人間らしい側面を見せておく必要があるのです。

4.賢者との出会い(Meeting the Mentor)

主人公の元にメンターとなる賢者が訪れます。賢者はその道を知る者であり、正しい努力の方向性を主人公に授けてくれます。場合によっては、ライトセーバーのような武器を授けることもあります。

賢者は主人公に、魔法や剣術といった強くなるための方法を教えてくれますが、必ず主人公自身の努力を必要とします。後に未知と対峙するのはあくまで主人公自身であり、賢者ではありません。

また主人公が弱気になった際に、尻を叩くのも賢者の仕事です。表面的には戦闘術のような外面的な師でありながら、同時に心を鍛える内面的な師でもあるのです。

5.戸口の通過(Crossing the First Threshold)

戸口とは要するに玄関のこと。それまでの主人公は、まだ元いた世界に身を置いていましたが、この段階で冒険の世界へ踏み出します

主人公が未知への旅立ちを決意する理由は、ここで踏み出さなければもっと悪いことになるか、その先に明るい未来がないからです。

ポイント・オブ・ノーリターン(そこを過ぎると元の場所に戻れない、後戻りできない場所や状況)を越え、元いた世界との訣別を強調するため、印象的なシーンとして描かれます。

6.試練、仲間、敵対者(Tests, Allies, Enemies)

冒険の世界にまだ慣れない主人公は、未知の世界からさまざまなアプローチを受けます。

試練

主人公に最初の試練が訪れます。主人公はこの試練を独力で乗り越える必要があります。場合によっては痛みも伴うでしょう。

そして主人公は、今の自分に足りない何かを認識することになります。作品によっては複数回の試練が訪れ、乗り越えるたびに主人公は成長していきます。

仲間

旅の中で、同じ目的を持つ仲間と巡り合い、同盟を組みます。多くの場合、主人公の元からの友人ではなく、旅の最中で新しく出会った誰かが仲間になります。

ちなみにここでの仲間は、必ずしも主人公と意気投合した仲である必要はありません。反目しあっていても、共通の目的を達成するために手を組めば仲間です。

敵対者

主人公一行は、この冒険の黒幕である「真の悪」が誰なのかを理解します。つまり後に敵対するラスボス格の存在を知るのです。

そして同時に、そのラスボスがどれほど強大な存在かも知ることになります。ラスボスはこの世界で、チートのような力を手にしており、自分が神かのように振る舞っています。

7.最も危険な場所への接近(Approach to the Inmost Cave)

ラスボスに立ち向かう準備をします。普通に立ち向かっては太刀打ちできないので、どうすれば攻略できるのかを、仲間とともに作戦を考えます。

ラスボスを倒すために必要な準備があれば、順を追ってクリアしていきます。そして準備が整った段階で、仲間とともに作戦決行を決意します。

8.最大の試練(Ordeal)

主人公はラスボスと対峙し、最大の恐怖を味わいます。またその戦いの中では、主人公が死んでしまったかのような描写もされます。

9.報酬(Reward)

命からがらラスボスを撃破し、報酬を手にします。報酬は宝物であったり、世界を救うアイテムであったり、命を救う秘薬であったりします。

また報酬がヒロインであることも多く、ラブシーンとなる場合もある。

10.帰路(The Road Back)

主人公一行は、まだダンジョンから抜け出してはいません。まだ危険は去っておらず、ダンジョンが崩れるといった危うい状況から、派手な逃亡劇を繰り広げることもあります。

冒険は、家に帰るまでが冒険。引き続き緊迫した状況が続きます。

11.復活(Resurrection)

クライマックスシーンです。主人公は最後の試練に立ち向かいます。

追ってきたラスボスと最終対決となる場合もあります。または主人公が犠牲を払わねば世界を救えない、如何ともし難い辛い選択に直面することもあります。

そして主人公は、本当に死んでしまったかのような状況に陥りますが、奇跡的に生還を果たします。ここでようやく冒険が終了します。

12.宝を持っての帰還(Return to the Elixir)

主人公は、お宝を手に故郷に帰ってきます。冒険の目的は達成されました。

場合によっては、物理的には何も変わらず、大切な教訓が宝であることもあります。故郷に帰ってこられること自体が、価値ある宝である場合もあるでしょう。

また主人公は、冒険の中で内面的にも成長を遂げています。そこには旅立つ前とは違う、一皮も二皮もむけた主人公の姿があります。

「外面」の旅と「内面」の旅

ヒーローズジャーニーには、次の2つの旅が内包されています。

  • 外面の旅
    :物語上の目的の達成すること。世界を救う、悪を倒す、宝物を手に入れると表面上の目的をクリアする
  • 内面の旅
    :主人公の心の成長。当初は臆病さといった心の弱さを抱えた主人公が、物語の中で弱さを克服し、最終的には立派な好青年になる

必ずしも両方兼ね備えなければならないわけではありません。

冒険ものには必ず「外面の旅」がありますが、既に達観した主人公に内面的な成長が見られない場合もあります。ヒューマンドラマ系は、「内面の旅」だけにフォーカスしていることもあります。

ただ大ヒットするような作品は、「外面の旅」と「内面の旅」を兼ね備えています。大きな目的を達成する中で、未熟だった主人公の心も成長していくストーリーです。

できれば両方を意識したいところです。

【心理学的な考察】ヒーローズジャーニーは男性向け

進化心理学の観点から見ると、ヒーローズジャーニーは男性性が強いストーリー展開です。

大多数の人がヒーローズジャーニーを支持するとしたら、それは個人の好みではなく、人類が種として持っている共通の思考パターンということになります。

進化心理学によれば、人類に共通する思考パターンは進化の過程で培われており、少なくとも1万年以上前から変わっていません。太古の祖先に思いを馳せ、ヒーローズジャーニーのルーツを探りましょう。

男性は戦うことが宿命づけられている

進化心理学では、人間も他の生物と同じく、「子孫を残すこと」が生きる上での最終目標と考えます。ゆえに人類共通の思考パターンは、例外なく子孫を残すことに最適化されていることになります。

ここで繁殖に関する男女の性差を考えてみましょう。

  • 男性
    :妊娠期間も授乳期間もない。インターバルなく子供を作ることが可能
  • 女性
    :1度妊娠すると、3年程度のインターバルを経なければ、次の子供を作れない

細かい話は省きますが、この性差により、人類は一夫多妻が自然な婚姻形態となります。

人類は何百万年も前からずーっと一夫多妻だったのです。一夫一妻制で暮らす現代人も、一夫多妻の頃の思考パターンを引き継いでいます。ここがミソです。

一夫多妻は男性に都合の良いイメージがありますが、実際には男性に過酷なレースを強いるシステムです。男女比を1:1としたら、強い男性が複数の女性をパートナーにしてしまうので、男性が子孫を残せる可能性は1を下回ります。

つまり男性の本能には、「子孫を残すためには、他の男と争って勝ち上がらなければならない」と刻みつけられているわけです。ここに男性の競争心や達成欲の根幹があります。

男性の本能にもっとも響くのは、

  1. 鍛えて強い男になり、
  2. 強大な敵に勝利し、
  3. 英雄となって人々の尊敬を集め、
  4. 女性にモテる。

というストーリー展開。まさにヒーローズジャーニーそのものです。

最後の「女性にモテる」は省略されるケースもありますが、本能レベルでは「栄達=女性に他の男性より強いとアピールする手段」であり、ことさら言うまでもないというだけです。

≫【下世話!】進化心理学をわかりやすく解説。欲求の本質を学ぼう【人間もタダの動物だった!】

女性向けのストーリー展開もある

女性にもいくらかの男性性はあります(逆に男性にもいくらかの女性性はある)。ヒーローズジャーニーは、相対的に男子ウケが良いのは間違いありませんが、女性に全くウケないわけではありません。

とはいえ、女性だけをターゲットにする場合は、別のストーリー展開を取り入れるのが妥当です。

女性の場合、男性のように子孫を残すために過酷なレースを強いられませんでした。そのため女性は、努力して他人に勝利することにも、他人から尊敬を集めることにも、さしたる興味はありません。

女性にウケるストーリーは、一般的に「シンデレラストーリー」と呼ばれるもの。ディズニーのプリンセスものによく見られるストーリー展開です。

ざっくりと、次のような展開です。

  1. 主人公は「本来の姿」とは別の姿で暮らしをしている
  2. 何かのきっかけで、自分の「本来の姿」に気が付く
  3. 過去の自分を捨て去り、「本来の姿」を取り戻す

シンデレラのように自分が本来いるべき場所に戻るだけで、そこに努力も競走も必要ありません。必要なのは魔法のようなきっかけと、過去の自分を捨て去る勇気です。

≫【こんなに違う】女性向けマーケティングの本質とは?男性脳では絶対に見えない女性の心理

人気マンガに見るヒーローズジャーニーの考察

野球やサッカーのマンガは好きなのに、実際のスポーツには興味がない人も多いはず。

このような現象が起きるのは、読者がマンガの題材そのものに楽しさを感じているではなく、ヒーローズジャーニーに則したストーリーに楽しさを感じているからです。

極端な例に、「ヒカルの碁」があります。囲碁に興味がないばかりか、囲碁のルールが一切わからなくても楽しめる作品です。

実のところ題材はなんでもよく、真に重要なのはストーリーだけということになります。野球でも、サッカーでも、海賊でも、忍者でも、別になんだって良いのです。

大ヒットマンガに、どのような形でヒーローズジャーニーが取り入れられているかを考察してみましょう。ただし多分に個人の主観が入っているので、ひとつご理解いただければと。

「友情・努力・勝利」

週刊少年ジャンプが少年マンガの3原則として掲げているのが、「友情・努力・勝利」です。見ての通り、ヒーローズジャーニーと強い相関が見られます。

そしてヒット作の中でも、空前の大ヒットを飛ばす作品には、共通して「友情・努力・勝利」の構造が見られます。

  • 「ワンピースのルフィ」
  • 「ドラゴンボールの孫悟空」
  • 「ナルトのうずまきナルト」

は、いずれも生まれ持った才能がありながらも、地道な鍛錬のシーンが描かれています。そして仲間とともに、強大な敵を倒します。

「鬼滅の刃」は作者が女性でありながらも、「友情・努力・勝利」のツボを押さえており、ヒーローズジャーニー型の構成になっています。よくわかっているなぁと感銘を受けます。

主人公は最終的に「最強」が良い

ヒーローズジャーニーの結末では、主人公は英雄になって周囲の尊敬を集めます。途中で負けるのは一向に構いませんが、最終的には最強となり、堂々たる勝利によって大団円を迎えて欲しいのです。

最後まで描き切った「ドラゴンボールの孫悟空」や「ナルトのうずまきナルト」は、どんどん敵が強くなってインフレ化しながらも、必ず主人公が作中最強クラスとなっています。

レジェンド級作品としては比較的コンパクトに終わった「幽遊白書の浦飯幽助」や「スラムダンクの桜木花道」は、最後まで描けば作中最強クラスになっていたであろう予感を持たせてくれます。

場合によっては主人公単体ではなく、仲間を含めたチームで最強になるパターンもあります。が、いずれにしても主人公がいつまで経っても勝てない作品は、男子的には微妙です。

バスケ漫画の「あひるの空」は、主人公チームが勝てないことで有名です。リアルな人間ドラマを描きたかったんでしょうが、男子心としてはイマイチ。どちらかというと、女子人気が高い印象を受けます。

でも最初から最強はちょっと違う

本当にヒットするマンガの多くは、当初の主人公はそこまで強くありません。「メンター」の存在に助けられながら、「努力」によって、最終的に最強になっていきます。

しかしメンターが不在で、主人公の努力のシーンがほとんど描かれないマンガも中にはあります。典型的なのは、主人公が初めから最強のパターン。

読者は一般人なので、最初から完成されている主人公には感情移入しづらくなります。王道の少年マンガのストーリーと比べると、ヒット作に恵まれていません。

ただし全くないわけではありません。レジェンド級には劣るものの、ヒットした作品には、「るろうに剣心」や「ワンパンマン」などがあります。比較的女子の人気が高かった印象です。

作中最強ではありませんでしたが、「テニスの王子様」の主人公には努力のシーンがほとんどなく、やはり男子よりも女子ウケが強かったように思います。

また主人公が最初から最強である場合、ストーリーを通して内面の成長がほとんど見られないケースが散見されます。これもヒーローズジャーニーとしては、一要素抜けていることになります。

「ヒロイン」の存在の意味

男性が英雄になりたいのは、心理学的には女性にモテるためです。そのため女性にモテるシーンがあるのは、一見すると良いことのように感じます。実際に人気ラノベの主人公はモテまくりです。

ですが、トップクラスのヒット作品の主人公は、そこまで女っ気が強くありませんかといって、0ではないという塩梅が主流です。

「ドラゴンボールの孫悟空」は、モテるシーンはないものの、チチという伴侶をゲットし、息子の悟飯と悟天を設けています。「ナルト」のヒナタ、「幽遊白書」は雪村螢子とヒロインは1人だけ。

おそらくは「強い=モテる」が本能的に染み付いているので、強くなりさえすれば、モテる描写は必ずしも必要ないんだと思われます。またモテすぎると、それはそれで感情移入がしづらくなる面もあるでしょう。

ただし最終的に天涯孤独というのはイマイチです。

個人的に好きなアニメに「天元突破グレンラガン」があります。

臆病者の主人公が、地球を救い、最終的には全宇宙を救う大英雄になるという、本家の神話も顔負けするほど壮大なヒーローズジャーニーです。

しかし最終回で、ヒロインが実は幻(のような存在)だったと判明し、消え去ってしまいます。そして主人公は、「俺の役目は終わった」とばかりに1人その場を去ります。

決してバッドエンドではないのですが、主人公は仲間も栄光も放棄し、伴侶までも失ったわけです。男子的にはスッキリしない終わり方でした。

1人ヒロインがいると、見ている方は安心感があります。主人公はバカみたいにモテる必要はありませんが、1人のヒロインをモノにできるくらいで丁度良い塩梅だと思います。

ヒーローズジャーニーのビジネス活用シーン

ヒーローズジャーニーは主にエンタメ作品の脚本作りで活用されていますが、ビジネスにも応用できます。主にマーケティング文脈で使えます。

顧客を観客に見立て、心躍るストーリーで製品の魅力を伝えることで、本能的に「欲しい!」と思わせることができます。

ヒーローズジャーニーが有効なシーン

次のようなシーンが、主なヒーローズジャーニーの活用先です。

  • LP(ランディングページ)
  • ホームページ
  • セールスレター
  • セミナー
  • 動画広告
  • 営業トーク
  • メルマガ

一本のストーリー仕立てで展開しても良いでしょうし、メルマガなら12ステップを12日間に分けて配信し、最後に売りたい商品を紹介する手も使えます。

一定の尺があるマーケティングメッセージなら、概ねどんなシーンでも応用可能ですが、基本的にはBtoC市場かつ、男性がターゲットの製品が対象です。

ヒーローズジャーニーは、男性性が強いストーリーなので、女性のウケはあまり期待できません。また法人相手のBtoB市場の場合、選ぶベクトルが個人の欲求(=最終的にモテる)ではなく、企業の業績になるので、ヒーローズジャーニー自体が機能しません。

ビジネス文脈での配役の考え方

主人公はもちろん「顧客」となります。不特定多数に向けたストーリーであれば、顧客と同じ悩みを持った弱い存在として、主人公を設定します。

そして顧客が変わるきっかけとなるメンターは、「企業(つまりあなた!)」です。あなたはメンターとして、顧客に良い方向へ導く術を授けます。その術があなたの「製品」です。

製品を使った顧客は、宿敵である「頭の痛い課題」に打ち勝てるようになります。

課題を解決した先のゴールとして、顧客は周囲の尊敬を集めたり、カッコよくなったり、稼いだりします。そして裏のゴールは、女性にモテることです。

ヒーローズジャーニーのビジネス活用事例

実際にヒーローズジャーニーの構造が見られるビジネス事例を、かいつまんで見ていきましょう。

事例①:RPGゲーム、ゲーミフィケーション

RPGは、ヒーローズジャーニーをプレイヤーにそのまま体験させるゲームです。当初は木の棒しか持っていないレベル1の主人公は、経験値を積み、仲間を引き連れ、強大なボスを倒して世界を救います。

ちなみにRPGが典型的というだけで、アクションゲームなど、ゲーム全般にヒーローズジャーニーの要素が見られます。ゲームが女子よりも圧倒的に男子ウケが強い理由がココにあります。

そしてゲームのやめられないメカニズムを、ビジネスに活用する手法を「ゲーミフィケーション」と呼びます。

航空会社のロイヤルティプログラムは、ゲーミフィケーションの典型的な事例。顧客は初めは弱い存在ながらも、マイルを貯めることで徐々にランクアップし、最終的には誰もが羨むステータスを手にします。

ゲーミフィケーションにはさまざまなテクニックがありますが、その多くは「努力→達成→報酬」という流れを組みます。他のプレイヤーとの交流が設計されている場合もあります。

ゲーム業界およびゲーミフィケーションは、ヒーローズジャーニーとの関連性が高いと言えるでしょう。

≫【ゲームの叡智】ゲーミフィケーションの意味とは?顧客ロイヤルティを高める極意を解説

事例②:進研ゼミ

わたしが小中学生の頃、進研ゼミの「マンガ仕立ての販促チラシ」がよく送られてきていました。

成績の冴えない主人公は、親友や幼馴染の女の子に、勉強の面で引け目を感じています。もちろん主人公は、このチラシを読んでいる小中学生の投影です。

そこで主人公は、親友や幼馴染から、実は進研ゼミで勉強していることを知らされます。そして主人公も、半信半疑で進研ゼミを始めることにします。

いざ勉強を始めてみると、勉強が思いのほか楽しく、ドンドンとカリキュラムを消化していきます。そして次のテストで、グーンっと点数が良くなります。

そして最後は、勉強と部活を両立しつつ大会で優勝したり、幼馴染と一緒に志望校に合格したりします。

勉強という努力を経て、「テスト」や「受験」といった競争に勝利するシーンが強調されています。そしてクラスや部活の仲間から、尊敬の眼差しを受けるシーンも含まれています。

わたし自身は進研ゼミに加入することはありませんでしたが、思わず入ってみたくなるストーリーだったことは覚えています。その秘密がヒーローズジャーニーにあったのは、最近になってわかったことですが。

事例③:ライザップ

当初のライザップは、「キツいけど痩せる」イメージを打ち出していました。ダイエットサプリのように、「飲むだけでカンタンに痩せる!」といったラクなイメージは皆無でした。

ヒーローズジャーニー的には、努力して掴み取る栄光にこそ価値があります。キツいことは問題ではなく、むしろやりがいにすら感じるでしょう。

また脂肪や糖質を敵に据えるのではなく、より根本的な原因である「自堕落な自分」に設定しているところも的確です。

それをスパルタ指導するトレーナーが「メンター」という構図になっています。メンターはあくまで叱咤激励する存在で、実際に頑張るのは顧客自身です。

顧客は自分の弱さに打ち勝ち、引き締まったボディという報酬を手に入れます。バッキバキの体で、異性にモテる雰囲気もよく出ています。内的な旅と外的な旅の両方を達成していますね。

意識されているかはさておき、ライザップの顧客体験はヒーローズジャーニーに沿った設計になっています。よくできた設計だと思います。

まとめ

今回は神話のテンプレートである「ヒーローズジャーニー」を解説しました。

ヒーローズジャーニーの12ステップ

  1. 日常世界(Ordinary World)
    :主人公はまだ日常の中にいて、その後の展開を知る由もない
  2. 冒険へのいざない(Call to Adventure)
    :何かのきっかけにより、日常から挑戦に転じる
  3. 冒険の拒否(Refusal of the Call)
    :怖気付き、挑戦に後ろ向きな姿勢を見せる
  4. 賢者との出会い(Meeting the Mentor)
    :その道を良く知る先達に出会い、挑戦への知恵を授かる
  5. 戸口の通過(Crossing the First Threshold)
    :決意を固め、挑戦の旅に出発する
  6. 試練、仲間、敵対者(Tests, Allies, Enemies)
    :慣れない主人公に試練が訪れる、また仲間と出会い、真の敵が誰なのかを理解する
  7. 最も危険な場所への接近(Approach to the Inmost Cave)
    :最大の試練への準備をし、彼の地へ赴く
  8. 最大の試練(Ordeal)
    :最大の敵と対峙する。自分の弱さに気づきながらも、戦いの中で乗り越える
  9. 報酬(Reward)
    :最大の試練をクリアし、報酬を得る
  10. 帰路(The Road Back)
    :戦いを終え、帰路に着く。ただしまだ安全ではなく、命からがら逃げている最中だったりする
  11. 復活(Resurrection)
    :主人公は死んだかと思われる状況になりながら、奇跡的に生還し、冒険が終わる
  12. 宝を持っての帰還(Return to the Elixir)
    :元いた日常に帰還する。しかし冒険によって得た成長や報酬によって、以前とは違う主人公の姿がそこにある

そしてヒーローズジャーニーは、男性性の強いストーリーです。

その理由は、我々の遠い祖先が一夫多妻制だったことに由来します。男性は、他の男に打ち勝たなければ子孫を残せないのがデフォルトだったので、本能が競争や栄達を求めています。

ゆえに主人公が、努力の末に、「富・名声・力(+女性)」を手にするストーリーに強く心を惹かれるのです。

特に意識したいポイントは、次の通りです。

  1. 主人公の努力を必要とする(努力のない勝利では意味がない)
  2. 主人公の手で宿敵を撃破する(他人の手や偶然ではなく、自分の実力で)
  3. 勝利した主人公は、尊敬や羨望を集める(≒モテるにつながる)

ただの勝利や成功じゃダメなのです。努力して、戦って、他人に勝利して、大きな栄光を掴む(そして女性にモテる)。これこそが至高の筋書きなのです。

マーケティングメッセージを考える際は、ぜひこれらのポイントを意識してみてください。

反対に、女性向けのマーケティングを知りたい人は、↓もチェックしてみてください。

≫【こんなに違う】女性向けマーケティングの本質とは?男性脳では絶対に見えない女性の心理

【こんなに違う】女性向けマーケティングの本質とは?男性脳では絶対に見えない女性の心理製品企画をしたり、マーケティングメッセージを考えたりするとき、どんなズボラな人でも、「男性向け」か「女性向け」かくらいは当たりをつけるも...

参考書籍

千の顔を持つ英雄

ヒーローズジャーニーは、ジョーゼフ・キャンベル氏の『千の顔を持つ英雄』が初出です。

同書は、ジョージ・ルーカスに「スター・ウォーズ」のインスピレーションを与えるなど、世界中のクリエイターに多大な影響を与えた古典的名著です。

学者が書いた本なので少々難しい内容ですが、人生のどこかで一読してみる価値はあると思います。

神話の法則

『千の顔を持つ英雄』を、より実践的に、よりわかりやすく再構成したのが、『神話の法則』です。ヒーローズジャーニーを学ぶなら、こちらだけ読めば問題ありません。

なお『神話の法則』は入手しづらくなっているので、同著者の次の著書を手にとっても良いでしょう。

進化心理学から考えるホモサピエンス 一万年変化しない価値観

ヒーローズジャーニーが魅力的なのは、高次のレベルで男性の根源的欲求を満たすからです。そしてその欲求の起源は古く、狩猟採集民だった遠い祖先まで遡らなければなりません。

『進化心理学から考えるホモサピエンス 一万年変化しない価値観』は、進化心理学の入門書です。男性と女性が、進化の過程で獲得した心理の違いを克明に記しています。

ヒーローズジャーニーが状況証拠的にウケるとわかっても、どういう理屈でウケるのかが分からないと本質を外してしまいます。本書を読めば、その本質をバッチリ押さえられます。

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≫【厳選】ビジネスマンがKindle Unlimitedで読むべき15冊

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≫【厳選】ビジネスマンがAudibleで聴くべき17冊

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とりあえず両方試してみて、それぞれのラインナップをチェックするのがオススメです!

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