マーケティング

【力の入れどころを見誤るな】狩野モデルから学ぶ「顧客満足度」を最大化させる方法

チームで仕事をしていると、人によって力の入れようが様々です。「えっ、今そこにこだわるの?」と感じることも多いでしょう。

確かにどれもやった方がいいのはわかる。でもどこから手をつけるべきか…と、力を入れる優先順位づけに困ったことはないでしょうか?

その案を採用するにしても却下するにしても、それなりの理屈を持って、納得して優先順位をつけたいですよね。当然ながら、顧客満足度が大きくなる案を優先したいところです。

そんなときは「狩野モデル」を使ってみてはいかがでしょうか?

狩野モデルは、品質と顧客満足度の関係を次の5つに分類するフレームワークです。

  1. 当たり前品質
  2. 一元的品質
  3. 魅力的品質
  4. 無関心品質
  5. 逆品質

もっぱら品質管理のよりどころとして広く使われています

ビジネスの大小を問わず活用でき、物理的な商品を扱うビジネスでも、インターネット上のビジネスでも、柔軟に活用できます。

この記事を読み終えたあなたは、ビジネスで取り組むべき事柄に、正しい優先順位をつけられるようになるでしょう

より早く、より高い顧客満足を得るために、ぜひ最後まで目を通してみてください!

狩野モデルとは?

狩野モデル(Kano model)は、品質管理のフレームワークです。1980年代に、東京理科大学名誉教授の狩野紀昭教授によって考案されました。

「ある要素の充実度」と「顧客満足度」の関係をグラフで表しています。そして品質を5つの種類に分類しています。

顧客満足度を最大化させるために、取り組むべき優先順位は次の通りです。

狩野モデルによる優先順位

  1. 当たり前品質
    :やって当然

  2. 一元的品質
    :なければ不満、あれば嬉しい

  3. 魅力的品質
    :あったら嬉しいが、なくても困らない

  4. 無関心品質
    :いくら満たしても意味なし

  5. 逆品質
    :満たせば満たすほど逆効果

狩野モデルは海外でも広く使われているフレームワークです。製造業のような物理的な製品から、スマホアプリのUI/UX設計まで幅広く対応しています。

考案されてから数十年経っても第一線で活用されていることから、非常に汎用性が高いフレームワークと言えるでしょう。

よく見る一般的な使い方は、

  • 最低限満たさなければならない「当たり前品質」
  • 他社と差別化するために必要な「魅力的品質」

を明らかにして、まずは「当たり前品質」をこぼさず対応することにあります。

それでは、5種類の品質を具体例を交えて解説していきます。

①当たり前品質

「当たり前品質」は、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?

その名のとおり、顧客にとって満たして当然、「あって当たり前」と思われている品質です。つまり「must have」ですね。

より具体的にいうと、どんなに頑張って充足させても顧客の満足度は増えないが、対応できていなければクレームが来る類のものです。

絶対に落としてはならない部分になるので、優先度は最上位になります。

中華料理屋さんを例にしてみましょう。

トイレがあるのは当たり前で、なければ不満です。でもトイレがあったとしても、それで満足度が上がることはありません。

②一元的品質

一元的品質」は、満たされば満足するし、満たせれなければ不満に思われてしまう類の品質です。通常思い当たる品質は、ここに当てはまるものが多いはずです。

実際には他社と比較されることで、

  • 他社と比べて優れているから満足
  • 他社より劣っているから不満

と評価されることが多いでしょう。

中華料理屋さんを例でいえば、味や価格が該当します。

味は悪ければ不満だし、良ければ満足します。

③魅力的品質

「魅力的品質」は、なくても構わないが、あったら嬉しい品質です。よく「nice to have」と呼ばれるものはここに当てはまります。

魅力的品質を伸ばすことで、他社との差別化ができますが、深入りは禁物

製品の1番の「売り」が魅力的品質にあたるものなら、力を入れて伸ばすのも良いでしょう。そうでなければ、「あったらいい」は上げていけばキリがないので、割り切って捨てることも大切です。

中華料理屋さんを例でいえば、食器のこだわりは魅力的品質にあたりそうです。

器が色鮮やかでキレイなら、少しいい気持ちになりますが、そうでなくても構いません。内装のオシャレさも、ここに当てはまることが多いでしょう

④無関心品質

ここから先は、手を出してはいけない領域になります。

「無関心品質」は、満たそうが、満たされていなかろうが、顧客の満足度が変わらない類の品質です。

「そんなものあるの?」と思われた人もいるでしょう。サービス提供者が良かれと思って取りくんだことが、顧客からしたら1mmも興味がなかったケースは多々あります。

主にサービス提供者の個人的なこだわりが、無関心品質にあたることが多いです。悪い言い方をすれば、顧客を無視した「ただエゴ」ですね。

もし良かれと取り組んでも、顧客の反応がなければ、即時ストップするのが正しい立ち回り方になります。

中華料理屋さんを例でいえば、やや不適切な例えかもしれませんが、食材産地へのこだわりは無関心品質かもしれません。

国産であれば、どこの都道府県でも大して印象が変わらない人が多いでしょう。

⑤逆品質

「逆品質」は、満たせば満たすほど、逆に顧客が不快に思ってしまう類の品質です。これもパッとイメージしづらいところかと思います。

例えば、ある顧客は満足するが、別の顧客は不快に思うケースがあります。

丁寧な接客は好む人もいれば、逆に煩わしく思うこともあるでしょう。多忙なサラリーマンは、移動のタクシーで一眠りするから、早く着きすぎるのは逆に困るという話を聞いたこともあります。

ある程度満たす分には満足度が上がるが、やりすぎると満足度が下がってしまうケースもあるでしょう。お店はキレイな方が良いですが、逆にキレイすぎると落ち着かなかったり、入りづらくなったりします。

中華料理屋さんを例でいえば、もしかしたら本場の味を追求しすぎることは、逆品質になってしまう可能性があります。

日本人好みの味から遠ざかり、逆に顧客が離れていってしまうかも。

類似フレームワーク「顧客価値の4段階」も解説

狩野モデルと似ているフレームワークに、「顧客価値の4段階」があります。

『逆さまのピラミッド』『サービス・マネジメント』などの著書で知られるカール・アルブレヒト氏によって提唱されました。

4段階とはすなわち、

  1. 基本価値
    :満たさないなんてありえない!

  2. 期待価値
    :あって当然。これくらいはやってくれるだろう

  3. 願望価値
    :おっ、そこまでやってくれるんだ。いいね

  4. 予想外価値
    :え!?そんなことまでやってくれるなんて想像もしてなかった!

です。それぞれ見ていきましょう。

①基本価値

製品にとって必要不可欠な価値です。満たさなければクレームになり、取引中止につながってしまう価値を指します。

Eコマースであれば、クレカで決済ができることや、返品ができることは、基本価値に含まれる不可欠要素です。

家電で、「スイッチ入れても動きもしないじゃないか!」「こんなの危なくて使えない!」なんてクレームが来るとしたら、基本価値を満たしていないことになります。

②期待価値

顧客が「あって当然」と期待している価値です。提供しなくてもクレームには至りませんが、2度と購入はしてくれないでしょう。

居酒屋にいったらレモンサワーがなかった。スラックスを買ったけど、裾上げしてくれなかった。となれば、クレームを入れるほどではないけど、もう次は無いですよね。

③願望価値

顧客が期待しているものではないが、提供されれば高い満足度を得ることができる価値です。

イメージ的には、「ワンチャンやってくれたら嬉しいな」って感じの内容。一応、顧客の想像できるサービス範囲内ではあります。

提供されなくても不満に思うことはありませんが、提供できれば顧客はリピート購入してくれる可能性が上がります。

例えば、電子機器に不慣れな人は、機種変更したときにスマホのデータ移行をやってもらえたら嬉しいですよね。「やってくれないと思ってたけど、やってくれたら嬉しい」。そんな類が願望価値にあたります。

④予想外価値

顧客が持っていた期待値や願望を飛び越えて、提供できれば感動を与えられる価値です。

顧客が考えてもいなかったレベルの品質を提供することで、リピートのみならず、口コミによって新規顧客の獲得にもつながります。

有名なのは「ザッポス」というアメリカの靴専門ECです。

ザッポスはカスタマーサービスの手厚さが尋常ではなく、「返品理由が履かせたかった人が亡くなったからと言ったら、お見舞いの花が送られてきた」なんて事例があります。

想像を超えた対応を受けた顧客は感動し、「私は靴はザッポスでしか買わない」と思うようになるわけです。

「①基本価値」「②期待価値」「③願望価値」は、狩野モデルとも重なる部分がありますね。そこに「④予想外価値」がプラスされています。

「①基本価値」「②期待価値」は満たさねば土俵にも上がれませんが、それだけではあなたから商品を買う理由にはなりません。

顧客のハートを掴む上で大切なのは、いかに「③願望価値」、できれば「④予想外価値」を与えるかになります。

このハードルを超えるためには、顧客の期待値を把握し、その期待値をどれだけ上回れるかにかかっています。

「狩野モデル」「顧客価値の4段階」を実戦で使うコツ

ビジネスで実践的に使うのであれば、

  1. 製品を利用する上で必要不可欠な要素は、最低限のレベルは満たしておく
  2. その製品の1番の売りになる部分はぶっちぎりで満たし、顧客に予想外の価値を与える

というの方針が良いでしょう。

ぶっちぎりで満たすとは、言い換えれば、顧客が「これくらいはやってくれるだろう」と期待しているレベルを圧倒的に上回る、ということですね。

それ以外は卒なく、無難に押さえておけばOKです。

根拠は「ピーク・エンドの法則」にあり

そう主張する理由に「ピーク・エンドの法則」があります。

ピーク・エンドの法則とは、ある体験全体の印象(顧客満足度)は、その体験の中で受けたもっとも強い印象と、最後の印象だけで決まるというものです。

映画に例えるなら、「最高潮の瞬間」と「クライマックス」さえ良ければ、あとは凡庸でも最終評価は満足で終わるということです。

ただし、もっとも強い印象がマイナスになると、全体の印象がマイナスになってしまうので、最低限のレベルは満たしておく必要があります。

同法則の詳細は↓の解説記事をどうぞ。

≫_ピーク・エンドの法則とは?ビジネスはたった2つの印象で決まる

ピーク・エンドの法則とは?ビジネスはたった2つの印象で決まる【終わりよければ全て良し】ピーク・エンドの法則により、人間は過去の体験の良し悪しを、「もっとも感情が動いた瞬間」と「最後の瞬間」だけで決めています。ビジネスにこの法則を応用すると、注力すべきポイントをたった2つに絞れます。製品企画やUXデザインには持ってこいです。学ばない手はありません。...

ちょっと想像してみてください。

とある中華料理屋さんに行ってきた。

最寄駅からはちょっと遠かった。店構えは何の変哲もなく、内装はオシャレではない。接客は素っ気ない感じ。価格は普通かちょっと高いかも。トイレはキレイとまでは言わないが、利用に支障はなかった。

でもこの店の「チャーハン」はぶっちぎりで美味かった。これまで食べたどの店よりも。

この先「チャーハン」と言われたら、もうこの店しか思い浮かばない

こんな店があったら、また行きたくなりませんか?きっと友人にもオススメしてしまいますよね。

つまりそういうことです。

「狩野モデル」と「顧客価値の4段階」のまとめ

今回は、品質と顧客満足度の関係を表すフレームワークとして、「狩野モデル」と「顧客価値の4段階」を紹介させていただきました。

ざっとおさらいしましょう。

狩野モデル

  1. 当たり前品質
    :やって当然

  2. 一元的品質
    :なければ不満、あれば嬉しい

  3. 魅力的品質
    :あったら嬉しいが、なくても困らない

  4. 無関心品質
    :いくら満たしても意味なし

  5. 逆品質
    :満たせば満たすほど逆効果

顧客価値の4段階

  1. 基本価値
    :満たさないなんてありえない!

  2. 期待価値
    :あって当然。これくらいはやってくれるだろう

  3. 願望価値
    :おっ、そこまでやってくれるんだ。いいね

  4. 予想外価値
    :え!?そんなことまでやってくれるなんて想像もしてなかった!

「狩野モデル」の方が広く使われている印象です。

しかし「顧客価値の4段階」の「④予想外価値」は使えるエッセンスです。ぜひ意識しておきたいところですね。

関連記事

狩野モデルは、製品のどの「価値」に真っ先に取り組むべきか、という「優先順位の付け方」の話でした。

しかしビジネスにおける「価値」は、実に抽象的な概念です。

  • そもそも「価値」ってなんなの?
  • 顧客が大きな対価を払ってくれる「価値」はどう見つければ良いの?

と疑問に感じた人もいると思います。

↓の記事では、「顧客の価値とは何か?」を丁寧に解説しています。ぜひこの記事と照らし合わせて、理解を深めてみてください。

≫【あなたならどう答える?】ビジネスとは何か?ビジネスの本質をわかりやすく言語化してみた

【ついに言語化】ビジネスとは何か?顧客の価値とは何か?ビジネスの本質を解説します「あなたは、ビジネスの本質は何だと思いますか?」こんな質問をされたら、思わずドキッとしてしまいますね。 会社はお金儲けする...
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≫【厳選】ビジネスマンがKindle Unlimitedで読むべき15冊

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≫【厳選】ビジネスマンがAudibleで聴くべき17冊

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