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【断らせない】リスクリバーサルで購入ハードルは劇的に下がる【マーケティング18事例】

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顧客が購入前に感じるであろう不安。それを事前に取り払うマーケティング手法が、「リスクリバーサル」です。

顧客がいざ購入するというフェーズで、断る理由を消し去ります。最後の一押しで売り切るための、クロージングのテクニックなのです。

この記事でわかること

  1. リスクリバーサルの本質的な意味
  2. 典型的なリスクリバーサルの例
  3. 知られていないリスクリバーサルの手法

ほとんどの人はリスクリバーサルを、「無料お試し」や「返金保証」のことだと思っています。間違いではないですが、短絡的であり、ずいぶん狭い活用方法になっています。

リスクリバーサルの本質は、「不確実性の排除」。あやふやな未来を予測可能にすることです。

本質が見えれば、無限に応用が効きます。ぜひ本記事を読んで、本当のリスクリバーサルを掴んでください!

リスクリバーサルとは?

リスクリバーサルとは、商品やサービスを購入する際に顧客が感じる不安や懸念を、解消または軽減することで、購入ハードルを下げる手法です。

金融業界では、株式やFXのオプション取引の一戦略を「リスクリバーサル」と呼びます。本記事は、金融の文脈ではなく、マーケティングの文脈で解説しています。

リバーサル(reversal)には、「逆転・反転」という意味があります。一般的にリスクリバーサルは、本来顧客が負うことになるリスクを、逆に企業側が肩代わりする手法を指します。

例えば、「家電の修理保証」「化粧品の無料サンプル」「マットレスの返金保証」などが、リスクリバーサルに該当します。

しかし広義に考えると、「顧客の購入を妨げているリスクを、むしろ購入の後押しへと反転させる要素」は、何であれリスクリバーサルと言えます。

ぜひ思い出してみてください。

  • 買おうと思っていた商品を、最終的にスルーした理由
  • 入ろうと思ったお店に、なんとなく入らなかった理由
  • カートに入れた後、すぐ購入ボタンを押さなかった理由
  • 無料だったのに、受け取らなかった理由

こういった顧客の購買を阻む理由を消しこみ、購入確率をアップさせられるなら、その方法は何であれリスクリバーサルに該当します。

リスク=不確実性である

「リスク」という言葉には、「悪い事態が起こる」というイメージがあると思います。しかし本来のリスクという単語に、ネガティブorポジティブな意味はありません。

「リスク」の本当の意味は、「不確実性」先が読めないことがリスクなのです。

注射が嫌いな人にとって、明日の健康診断はリスクではありません。確実に予測できる未来は、リスクではないからです。

しかし細い針で刺されるか、太い針で刺されるかがわからず、どれくらいの痛みを伴うかがわからない状況は、リスクになります。

リスクリバーサルの本質は「不確実性の排除」

顧客が買う前に感じるリスクの正体は、「後にどんな不利益が被るかを推し量れないこと」です。

  • 期待通りの効果がないのでは?
  • 思わぬ故障で使えなくなるのでは?
  • 想定していなかった出費がかかるのでは?

と不安を感じているから、購入を躊躇してしまうのです。

もし欠点であっても、明確に分かっているならば、あとは許容できるかを判断するだけです。許容できると判断した顧客は、購入を躊躇する理由がなくなります。

株式市場では、株価にマイナスな悪い噂が立ち登ると、その噂を織り込んで株価が下がっていきます。不確実性は、株価を下げる要因になります。

しかしいざその噂が「現実」になると、株価はドンと下がると思いきや、底打ちして上昇に転じます。悪い噂が現実になったことで、不確実性の霧が晴れたからです。

それ以上悪くならないと判明したので、投資家は安心して買い戻せるのです。

リスクリバーサルの本質は、顧客が感じるであろう不安を先回りし、買った後の未来を正確に予測可能にすることにあります。

もちろんその不安が現実になる可能性を「0」にできればベストですが、必須ではありません。あやふやなだった不安がハッキリしてするだでも、リスクリバーサルは成立します。

欠点は自ら晒すべし

ネガティブな情報も洗いざらい晒さない限り、顧客のリスクは消えません。そのまま突き進んだ場合に、後でどれほど大きなしっぺ返しをくらうかわからないからです。

行動経済学の「プロスペクト理論」によれば、人間は「利得」よりも「損失」に強く反応します。損失を避けるのが人間の本能。大きなリスクを前にした顧客は、購入に踏み切れません

よくよく考えてみてください。

あなたの目の前に「沼」があり、真ん中にある岸に「宝物」があります。

あなたは沼を歩いて、宝物を取りに行くでしょうか?

不確実性がある状況は、沼がどれほど深いかわかりません。10センチかもしれませんし、10メートルかもしれません。これでは怖くて踏み出せません。

しかし沼の深さが30センチと判明すれば、リスクは消えます。

あとは、足が泥まみれになるデメリットと、宝物のメリットを比べるだけ。メリットの方が大きければGOです。

欠点を知らされていない顧客にとって、リスクは上限いっぱいです。

被るかもしれない不利益のレベルは、「-1」なのか「-10」なのか、あるいは「-100」なのか。わからないことには、「-100」を想定するしかありません。

しかし欠点が判明し、不利益のレベルが「-30」とわかれば、あとは製品のメリットと天秤にかけ、受け入れを許容するかどうかの判断に移れます。

欠点を晒せば、顧客のリスクは確実に下がりますリスクが下がれば、顧客が購買に向かう躊躇がなくなります

≫【売れる心理学】片面提示 vs 両面提示|勝者はどっち?欠点を晒して信頼を勝ち取ろう!

よくあるリスクリバーサルの事例

まずは典型的な、リスクリバーサルの手法を見ていきましょう。

1.〇〇保証

リスクリバーサルで最もよくみられるパターンが、「〇〇保証」タイプです。

いくつかのパターンに細分化されますが、共通しているのは「期待通りの効果を得られなかったら、顧客は損失を回避できる」ということ。

〇〇保証のパターン

  1. 返品保証
    :効果がなかったら返品を受け付ける。使用後でも受け付ける場合が多い
  2. 返金保証
    :物理的な製品がないサービス業で、不満があった場合に返金を受け付ける
  3. 成果保証
    :約束していなかった成果が出なかった場合に、不足分を補償する
  4. 修理保証
    :一定期間内の故障は、無料で修理を行う

単価が高い製品でよく使われています。ある程度の期間使い続ける耐久消費財や、化粧品、エステ、教育系などで見られます。

ここで顧客の心理を履き違えてはいけません。顧客は、返品や返金ができること自体を喜んでいるわけではありません

「ウチの商品まだ未完成なんです。使ってダメだったら返品受け付けるんで、買ってもらえませんか?」と言われて、購入するでしょうか?しないですよね。

顧客の財布の紐が緩むのは、「そこまで言うなら相当な自信があるんだろう。きっと買っても損はさせないはず」と、品質に対する判断材料を得たからです。

ちなみに、これらの保証を実際に利用する人は、購入者の5%と言われています。まともなビジネスをしていれば、恐れるほどのコスト増にはなりません。

2.実店舗でのお試し

周りくどいことは考えずとも、製品を使ってもらえば、一発で良し悪しは伝わります

購入前の「お試し」は、究極のリスクリバーサルと言えるかもしれません。

実店舗でのお試しのパターン

  1. 試食
    :食品や調味料で、味の好みを確認する
  2. 試着
    :洋服や靴などで、サイズや実物のイメージを確認する
  3. 試運転
    :自動車や家電などで、使い心地や性能を確認する
  4. テスター
    :化粧品で、肌との相性のアレルギー反応を確認する

基本的には、お近くの店舗でお試しすることになります。デジタルサービスでもあり得ますが、実際には物理的な製品がほとんどです。

実物からは、大きさや素材感、色、雰囲気、使い心地など、様々な情報を受け取れます。どんな製品であっても、お試し環境があるに越したことはありません。

ただし継続しないと効果がわからない製品は、その場のお試しだけでリスクは解消されません。また耐久性に関しても、1回のお試しではリスクは測れません。

頻繁に買い替えず、買った後は長期間利用する製品の場合は、返品保証も併用されているケースが多いでしょう。

お試し場所に妙案あり

ちなみにお試しする場所は、必ずしも自社店舗や一般小売店に限りません。

  • 調理器具メーカーなら、お料理教室に試供品を渡せば、その生徒が顧客になるでしょう。
  • オムツや粉ミルクメーカーは、産婦人科に商品を提供しています。新しいママさんを顧客にするためです。
  • 小さな子供のおもちゃは、買っても遊んでくれるか不安です。キッズスペースに置いてあれば事前に反応を確認できるので、安心して購入できます。

工夫すれば、よりターゲット顧客が集まる場所に、お試しの輪を広げることも可能です。

初回無料

実店舗を持たないビジネスの場合は、顧客がお試しできる環境がありません。

その場合は、初回の購入を無料にしてしまうのが一般的です。

初回無料のパターン

  1. 〇〇日間無料体験
    :主に月額制のデジタルサービスで、一定期間無料でサービス提供する
  2. 無料のお試し品
    :商品サンプルを無料で提供する

2回目につながらないと売上0なので、継続的に課金するサブスクリプションサービスや、使い続ける前提の化粧品や健康食品に見られます。

デメリットとして、満足している顧客の初回購入も無料になってしまうので、その分は取りっぱぐれてしまいます。

しかし初回無料にしたことで、エントリーのハードルはグッと下がります。しかも一度申し込んだことで、その後の本申し込みへの心理的ハードルも下がります。

かつデジタルサービスの場合は、限界費用(顧客1人に追加提供する際にかかるコスト)が限りなく0に近いので、コストの面の痛みはありません。

結果としてはプラスの方が大きくなる、優れたマーケティング手法です。

カスタマーサポート

カスタマーサポートの存在も、リスクリバーサルと言えるでしょう。

カスタマーサポートのパターン

  1. 24時間365日対応
    :常時使い続ける家電や、緊急性が高い設備など
  2. 日本語サポート
    :海外製品は、日本語でサポートが受けられるかが一つのポイント
  3. 電話サポート
    :文章に比べ、リアルタイムでやり取りができ、相談や状況説明がしやすい

買った後に使えなかったら買い損になってしまいます。サポートがあることで、安心して購入できる顧客も一定数いると思われます。

少なくとも、一切問い合わせができない状況は避けましょう。

クチコミ

顧客が製品を購入するとき、もっとも信頼する情報筋はクチコミです。返金保証しようが、初回無料にしようが、最終的には他のユーザーの評判が決め手になります。

インターネットの登場前の顧客は、広告や営業マン、お店の店員など、企業サイドの言葉しか耳に入りませんでした。しかしインターネットにより、同じ買い手である一般人のクチコミが耳に入るようになります。

顧客は、購入後のリスクを解消するために、忖度のないクチコミが何より信頼できると気づきました。サポートを厚くしたり、情報提供したりしたところで、クチコミには敵いません

結局のところは、次の2つが最強のリスクリバーサル施策ということになります。

  1. 良いクチコミが貰えるよう、製品・サービスの品質を向上させる
  2. クチコミを収集し、見込み客に展開する仕組みを作る

悪いクチコミも見せる

自社サイトでクチコミを集めている場合は、悪いクチコミを消そうと思えば消せてしまいます。しかし悪いクチコミは、消すべきではありません

顧客はバカじゃありません。良いクチコミしかなければ、そこに企業側の作為を感じます。欠点が巧妙に隠されていると勘繰るので、顧客のリスクは残り続けます。

良いクチコミしか掲載されていないとしたら、そのサイトのクチコミは機能していません。Amazonや楽天が重宝されるのは、悪いクチコミも隠さず公開しているからです。

ただし悪いクチコミの方が、過半数を超えていても問題です。根拠はありませんが、2対8の法則に従い、良いクチコミ8割、悪いクチコミ2割程度が良いバランスだと思います。

【まだまだあるぞ】リスクリバーサルの事例集

リスクリバーサルは、他にもゴロゴロ転がっています。

本質的にリスクリバーサルになっている事例を、思いつく限り並べてみました。

会員登録不要!

インターネット上でコンテンツを閲覧・使用するとき、よく会員登録を求められます。会員登録ボタンが出た瞬間にページを閉じた経験、ありませんか?

企業側は、見込み顧客のリスト欲しさに、メールアドレスを要求します。しかし顧客側からすると、会員登録は億劫。プライベートで使っているメールアドレスも、なるべく外に出したくありません。

ビジネス上必須でないなら、「会員登録不要!」と表示すれば、顧客は安心してページをスクロールしてくれます。

また会員登録のタイミングを、なるべく後ろに持っていくのもオススメです。Amazonは購入まで登録を要求しません。登録しないと1ページも見れないサービスでは、顧客は離れていってしまいます。

売り込みは致しません

会員登録やアンケートに答える際、頭をよぎるのが、後からやってくるウザい売り込みです。

メールならスルーできるのでまだマシですが、電話は話さなければならないし、電話が鳴るたびに時間と注意力を奪われるのも癪です。

「ご回答いただいた内容によって、売り込みは致しません」と書いてあれば、顧客のリスクは消えます。または「売り込みを希望しない」という選択肢を用意するのもアリですね。

顔出し不要、マイクオフでOK

セミナーは見込み顧客を集める重要なマーケティングです。最近は、ウェビナー(インターネット上のセミナー)が増えてきました。

基本的にはセミナー単体で儲けるわけではなく(無料でやることも多い)、セミナー参加者に、より高単価な製品(コンサルティングなど)を購入させるのが目的です。

企業側は、なるべく多くの参加者を募りたいところですが、ウェビナーで使うツールは会議のイメージが強く、ただ聞きたいだけのユーザーは尻込みしがちです。

「顔出し不要、マイクオフでOK」と書かれていれば、ユーザーは安心してただの聴講者になれます。

所要時間は〇〇分です

所要時間がどれくらいかかるか見えないのは、顧客にとってはリスクです。

病院や飲食店でありがちですね。あと何分、あるいは何時間待たなければならないのか。待ち時間の見当がつかない状況では、その後の予定にどれほど支障が出るかわかりません。

目安であっても、「あと30分程度でお呼びします」「1分で登録完了します」と表示することで、顧客のリスクは軽減されます。

常に最安です

米国最大のスーパーマーケット「ウォルマート」が採用しているのが、「EDLP(Everyday Low Price)」です。特別なセール期間はなく、常に最安価格で販売する戦略です。

見落とされがちですが、セールがあるということは、セール以外の日に買うのは損失です。セールがあるかもしれない状況は、顧客にとってはリスクでもあるのです。

カートに入れたまま商品を買わずにいる理由は、一つには、後でセールになるかもしれないからではないでしょうか?

表現の仕方はいろいろあります。

  • いつでも最安で販売しています
  • 他店より1円でも高かったらお申し付けください
  • 当サイト経由の購入が最もお安くなっています

「いまここで購入しても損しないよ!」と、顧客に伝えましょう。

契約期間なし、違約金なし

携帯電話プランの印象か、「サブスクリプション契約=契約期間がある、期間内の解約は違約金がかかる」というイメージがあります。

そのせいで、月額課金系のサービスを検討する際、多くの人が「契約期間」や「違約金」というワードで検索をしています。顧客が追加コストのリスクを感じていることがわかりますね。

しかし実際には、課金が定期的なだけで、契約期間も違約金も存在しないケースがほとんどです。リスクを解消するために、「契約期間なし、違約金なし」と書いておきましょう。

追加の料金は一切発生しません

出張系のサービスなど、一部のサービスでは、顧客が知らなかった費用を後から請求されることがあります。

例えば、「家電の無料引き取り」と言いつつ、別途で出張費を請求するといった具合。「無料見積」と謳いながら、契約しなければ出張費を持ち出す悪徳業者もいます。

こういうリスクがあるので、顧客は慎重にならざるを得ません。真っ当にビジネスをやっているなら、「追加の料金は一切発生しません」とするか、費用を明朗会計で伝えるべきです。

商習慣上、後から追加費用が判明するシーンはいくつかあります。いずれも顧客にとってはリスクです。

  • 賃貸物件の退去費用
  • 飲食店のチャージ料金
  • 海外ECの関税や送料

個人的に最近良かったのは、「関税の計算は含まれております。表示外の金額は一切かかりません」と、書いていた海外の通販サイト。安心して購入できました。

見学だけでも歓迎します

ある種のお店は、「入店=何か買わなければならない」のイメージがあり、入るのに勇気が入ります。お花屋さんや、街の文房具店、ブティックなどです。

しかし大抵のお店からすれば、なるべく多くのお客さんに、商品を見て行って欲しいわけです。見ないことには、買ってもらえないですから。

店の雰囲気によってはダサくなりかねませんが、どこかに「見学だけでも歓迎します」と一言あるだけで、顧客は安心して冷やかしに行けるようになります。

ご用の方はお声がけください

アパレルショップや家電量販店で億劫なのが、店員が近寄って話しかけてくること。

店員がヒマそうにしていると、話しかけられる不安が頭をよぎります。ちょっと覗いてみたいくらいのモチベーションだと、お店に入らない選択をしてしまうものです。

もし「ご用の方はお声がけください」と書いてあれば、「逆に、こっちから話しかけなければ、向こうは寄ってこないんだ!」とわかります。顧客は安心して冷やかせます。

生産者の表示

口に入れるものは、どこで生産された食品なのかが気になります。別に中国でもブラジルでも気にしない人は気にしませんが、どこかすらわからないと流石に気持ち悪いですよね。

基本的に生産国は記載されていますが、物によっては生産者の名前まで表示されています。

その生産者の顔や名前がわかったところで、それ以上の情報は特にないのですが、少なくとも「顔と名前を晒しているくらいだから、悪いことはしていないだろう」と想像できます。

特に意識が高い顧客は、カーボンフットプリント(生産過程で排出されたCO2量)など、その製品がちゃんと環境に配慮されているか?まで確認します。

永久に修理を受け付けます

高級機械式腕時計の1流ブランドの中には、修理やオーバーホールを永久に受け付けると表明しているブランドがあります。

良い腕時計は、1本100万円以上が当たり前。一生モノになるので、何十年経っても修理を受け付けてくれなければ、安心して買えませんよね。

あまりに古い時計だと、修理できる職人がいなくなってしまうリスクを感じます。有料であったとしても、ブランドが公式に修理を受け付けてくれることに安心感があります。

コンプレックス系商品の配送品名

コンプレックス系の製品は、ニーズが強いので高単価で売れます。しかし顧客は喉から手が出るほど欲しくても、購入に際して大きな壁があります。

  • お店で買うのを店員に見られたくない
  • 配達なら、配達員に見られたくない
  • 受け取った家族に見られたくない

もし通販サイトに、「品名は『家電』で配送させていただきます」と書いてあれば、恥ずかしい商品名が知られずに済みます。

顧客は安心して購入に踏み切れるでしょう。

〇〇ゴミで捨てられます

マニアックな話ですが、これも意外とあるあるです。ビンの廃棄が嫌で、ペットボトルや袋入りの調味料を選ぶ人も多いのではないでしょうか?

ある種の製品は、使い終わってから面倒な捨て方をしなければならないリスクを孕んでいます。特殊な素材を使用していたり、大きすぎてNGだったり。

顧客としては、なるべく市区町村のごみ収集で廃棄したいわけです。そのため、「〇〇ごみで捨てられます」と表示するのは、気が利いています。

過剰なリスクリバーサルの意味

世の中には、過剰なリスクリバーサルを提供している(もしくは過去に提供していた)企業もあります。

不満があった場合、顧客が支払う対価以上のリターンを提示しています。

  • マクドナルドの1分間チャレンジ
    :1分以内に注文の品を用意できなければ、ハンバーガーが1個無料になる
  • ドミノ・ピザ
    :30分以内に配送できなければ、代金が無料になる
  • ハイブランドの二次流通業者
    :偽物だったら2倍の額で返金する

しかし顧客が求めているのは、あくまで損する可能性の排除であり、超過リターンではありません。ピザが無料になったらラッキーですが、それ目当てで買うわけではありません。

過剰なリターンそれ自体に意味はありません。

意味があるのは、「ウチは絶対に期待を裏切りません!」という自信満々の姿勢。この姿勢が顧客に、「そこまで言うなら損する可能性は低そうだ」と感じさせているのです。

リスクリバーサルの効果を最大限引き出すコツ

リスクリバーサルは、顧客が感じるであろう不安を先回りし、買った後の未来を正確に予測可能にすること。

どうすれば、顧客は買った後の未来を、正確に予測できるようになるだろう?と考えると、リスクリバーサルのコツが見えてきます。

コツ①:定量的に示す

情報が一切ないとき、顧客が被るかもしれない不利益のレベルは、「0〜-100」まで変動します。わからないので、最悪の「-100」を想定せざるを得ません。

顧客が求めているのは、被るかもしれない不利益のレベルを特定する情報です。「0」なのか、「-30」なのか。その判断材料が欲しいのです。

定性的な情報よりも、数値化された定量的な情報が求められます。

⭕️満足度92%
❌圧倒的な顧客満足度

⭕️合格率80%、県内1位の合格率
❌県内屈指の合格率

定量情報があれば、不利益を被る可能性をよりハッキリ減らせます。

ちなみに「業界No.1」は定量的とは言えない情報ですが、「他社よりもリスクが少ない」という判断材料にはなります。

コツ②:最悪のシナリオとその発生確率

「最悪のシナリオ」×「その発生確率」を計算すれば、顧客は被るかもしれない不利益のレベルを正確に予測できるようになります。

予測できる未来は、もはやリスクではありません。この2つの変数が明らかになれば、顧客のリスクは消え去ります

医師に「あなたの病気は手術が必要です。受けますか?」と言われれも、答えられないでしょう。

「失敗した場合、〇〇という後遺症(最悪のシナリオ)があり得ます。発生確率は、全手術患者の1%です」と説明されれば、判断できるようになります。

多くのビジネスの場合、最悪のシナリオは払った代金がムダになるだけ。わざわざ最悪のシナリオを提示する必要はなく、顧客満足度などでその発生確率だけ示せばOKです。

一部のビジネスの場合、損害が発生するなど、支払った代金を超えるマイナスが発生します。最悪のシナリオを明示し、その発生確率も添えなければ、顧客のリスクは拭えません。

コツ③:100%は魅力的

脳は確率を額面通りには受け取りません。

例えば、成功率「99%」は、心理的には「91.2%」に変換されます。成功率「99%」と「100%」の間は、心理的には天と地ほどの差があります。

この脳の仕組みから、「成功率100%」に過度な魅力を感じてしまう傾向を、「確実性効果」と呼びます。

リスクリバーサルを完璧にやり切るなら、顧客が損する可能性を0にし、100%不利益を被らないと証明しましょう。

  • ご満足いただけなかったら全額返金します。送料は当社が負担します。
  • お見積もり以上の金額は、決して発生致しません。

といった具合です。可能な限り、顧客の絶対的な安全をアピールしましょう。

≫アレのパラドックスとは?「確実性効果」「可能性効果」を使ったビジネス活用例を解説

どのタイミングでリスクリバーサルを使うか?

一般的には、「購買」の瞬間が、最もリスクリバーサルが効果を発揮するタイミングです。ECであれば、購入ボタンのすぐ上、営業ならクロージングの段階です。

しかし実際には、購買に至るまでのプロセスで、「大なり小なり、顧客に決断が必要なシーン」は、全てリスクリバーサルの守備範囲です。

決断が必要ということは、何かしらのリスクを感じていることになるからです。もしその判断に伴うリスクが0なら、そもそも決断に迷う必要はありません。

例えば次のようなシーンは、決断を要します。

  • メルマガに登録する
  • セミナーを申し込む
  • 無料の試供品を受け取る
  • お店に入る
  • 店員に話しかける

例えば「お店に入る」シーンは、お店の形態によって、決断の大きさに違いが出ます。

スーパーやコンビニの場合は、誰とも話さず、何も購入しないまま退店できます。決断の必要がないので、入店に対してリスクリバーサルを取り入れる必要もありません。

しかし飲食店や美容院の場合は、「入店=購入」です。お店に入るために決断が必要なので、店外の掲示物やホームページでリスクリバーサルを提示しなければなりません。

リスクリバーサル自体がビジネスになった事例

リスクリバーサルは、通常は既にあるビジネスに対して行うものです。あくまで既存製品の売上を上げるための、補助的な施策です。

しかしリスクリバーサル自体をビジネスにしているケースも、一部に存在します。リスクリバーサルとしては拡大解釈の感がありますが、本質はズレていません。

事業アイデアのヒントになるかもしれないので、かいつまんで紹介します。

ビジネス事例①:保険ビジネス全般

生命保険や損害保険は、純粋にリスクリバーサルのみで構成された製品です。

99.9%実現しない最悪のシナリオ(しかもかなり深刻な)を、100%実現しないようにするのが、保険ビジネスです。人間の脳は、100%の安心に強い魅力を感じます。

保険ビジネスは、リスクリバーサルの概念が凝縮されたお手本です。

ビジネス事例②:賃貸の壁を傷つけない什器

賃貸物件の壁に釘やネジを刺してしまうと、退去時に費用がかかってしまいます。多くの人は、どれほど請求されるか把握していません。

賃借人は、部屋の壁を傷つけることをリスクと捉えます。

「壁美人」というテレビの壁掛け金具は、ホチキスの芯で壁に固定します。壁から外した画像を見ると、ほとんど傷を視認できません。これなら退去時に請求される心配は0でしょう。

「ラブリコ」や「ディアウォール」は、木材の両端に取り付けて、天井と床に突っ張って木材を固定する道具です。壁に穴を開ける代わりに、木材に穴を開けるので、壁はキレイなままです。

どちらの製品も、表面上の機能は、家具を壁に固定すること。しかし顧客が価値を感じているのは、「退去時に追加費用を請求されない」というリスクリバーサルなのです。

ビジネス事例③:鑑定付きのマーケットプレイス

トレーディングカードや、ハイブランド、スニーカーなどのコレクターアイテムには、高いプレミア価格がつきます。そのため、フェイク品が大量に出回っています。

二次流通品が、メルカリやヤフオクなどのマーケットプレイスで販売されていますが、フェイク品の可能性が拭えません。

そこで登場したのが、「StockX」などの鑑定付きのマーケットプレイスです。メルカリのような売買プラットフォームですが、運営が中継して鑑定を行い、正規品だけが流通する仕組みになっています。

鑑定のコストがある分、価格は「StockX」の方が1〜2割ほど高くなります。しかし高い買い物なので、フェイクを掴むよりは遥かにマシです。

追加コスト分は、「100%フェイク品を掴まない」というリスクリバーサルに対して支払われています。

まとめ

今回は、リスクリバーサルを徹底的に解説しました。

リスクリバーサルの本質は、顧客が感じるであろう不安を先回りし、買った後の未来を正確に予測可能にすること

不安が的中する可能性を「0」にできればベストですが、その可能性をより明確にするだけでも、リスクリバーサルは機能します。

特に意識したいのは、次の3つです。

リスクリバーサルで意識すべきこと

  1. なるべく多く、詳細な情報を提供すること
  2. できることなら、実物に触れる機会を用意すること
  3. クチコミ(悪い内容も含む)を閲覧可能にすること

冷静に考えれば、カンタンな話です。

  • 寸法がわからなければ、ネットで洋服は買えません。
  • 講師のレベルがわからなければ、スクールには入れません。
  • 実績がわからなければ、仕事を依頼できません。
  • 待ち時間がわからないまま、行列には並べません。
  • クチコミなしに、大事な場面で使うレストランは選べません。

スペックに関する情報は多い方が良いし、商品画像も多い方が良いのです。そして何よりも、クチコミが多い方が良いのです。

しかし情報過多になると、製品ページやパンフレットがゴチャゴチャして、かえって見づらくなるかもしれません。見せ方の工夫は必要ですが、情報を望む人には見れるようにするべきでしょう。

ぜひ本記事で紹介したリスクリバーサルの例を参考に、あなたのビジネスで実践してみてください。

社会人の学びに「この2つ」は絶対外せない!

あらゆる教材の中で、コスパ最強なのが書籍。内容はセミナーやコンサルと遜色ないレベルなのに、なぜか1冊1,000円ほどしかかりません。

それでも数を読もうとすると、チリも積もればで結構な出費に。ハイペースで読んでいくなら、月1万円以上は覚悟しなければなりません…。

しかし現代はありがたいことに、月額で本読み放題のサービスがあります!

外せない❶ Kindle Unlimited

Amazonの電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)」は、月額980円。本1冊分の値段で約200万冊が読み放題になります。

新刊のビジネス書が早々に読み放題になっていることも珍しくありません。個人的には、ラインナップはかなり充実していると思います。

Kindle Unlimited 公式サイト

≫【厳選】ビジネスマンがKindle Unlimitedで読むべき15冊

外せない❷ Audible

こちらもAmazonの「Audible(オーディブル)」は、耳で本を聴くサービスです。月額1,500円で約12万冊が聴き放題になります。

Audibleの最大のメリットは、手が塞がっていても耳で聴けること。通勤中や家事をしながら、子供を寝かしつけながらでも学習できます。

冊数はKindle Unlimitedより少ないものの、Kindle Unlimitedにはない良書が聴き放題になっていることも多い。有料の本もありますが、無料の本だけでも十分聴き倒せます。

Audible 公式サイト

≫【厳選】ビジネスマンがAudibleで聴くべき17冊

ちなみにわたしは両方契約しています。シーンで使い分けているのと、両者の蔵書ラインナップが被っていないためです。

どちらも30日間は無料なので、万が一読みたい本がなかった場合は解約してください(30日以内であれば、仮に何冊読んでいても無料です)。

そして読書は、早く始めた人が圧倒的に有利。本は読めば読むほど、複利のように雪だるま式に知識が蓄積されていくからです。

ガンガン読んで、ガンガン知識をつけて周りに差をつけましょう!

とりあえず両方試してみて、それぞれのラインナップをチェックするのがオススメです!

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