よく「儲けるコツは、成長市場の波に乗ることだ!」と言われます。企業なら儲かりやすく、個人なら同じスキルでもより高い報酬が得られるでしょう。
その市場が成長しているかは、「売上がどれほど伸びているか?」で判断します。「CAGR(年平均成長率:複数年の成長率から、1年で平均何%伸びているか?)」をチェックすることも多いでしょう。
しかしビジネス環境が日進月歩で移り変わる昨今。「良し!この市場は、ココ3年で平均18%伸びているな!」と気づいた頃では、参入タイミングとしては遅すぎ。
大企業なら後発であっても、資金にモノを言わせて十分戦えるかもしれません。しかしスタートアップをはじめ、中小企業はそんな悠長は許されません。
やはり知りたいのは、市場がグンッと伸びる直前のタイミング。大きな波が来る直前に、サーフボードを漕いで良いポイントで待ち構えたいですよね。
この記事では、これから伸びるであろう成長前夜の市場を見分けるための「サイン」を解説しています。しかも難しい統計データを見ずとも、感覚で気がつけるサインばかり。
読めば、成長の大波を最先端でつかめるかも?中小企業の経営者や企画職の人、あるいは成長市場への転職で収入を上げたい人は必見です!
成長市場が儲かるワケ
「プロダクトライフサイクル」によれば、成長市場で企業の利益がブレイクします。成長市場は、企業が儲けるためのハードルが最も低いタイミングです。
もちろん有望な市場とわかれば、競合が出てくるので製品単価は下がっていきます。しかしそれ以上に新規顧客がドンドン増えていくので、利益は一貫して増えていきます。
市場全体のパイが大きくなっていっているので、他社から顧客を奪わずとも売上を作れます。市場全体の雰囲気としても、他社は一緒に市場を成長させている同士という感があります。
その後に市場が成熟に向かうにつれて、新規顧客増加のペースは衰えていきます。しかし競合との価格競争は止まりません。顧客数と売上は増えるものの、利益は減少に転じます。
そして市場が成熟に達すると、市場のパイはもう大きくなりません。顧客は他社から奪わなければなりません。他社から奪うためのキャッシュバックや値引き競争で、利益はドンドン減っていきます。
コスト面で考えると、どうしても規模が大きい大手でないと太刀打ちできません。市場が成熟するほど、中小企業にとってはハードモードになっていきます。
キャリアアップにも成長市場がオススメ
なお経営者目線ではなく、個人のキャリアアップとして考えた場合でも、成長市場は俄然有利です。
市場が成長するにつれ、企業はより多くの人員を必要とします。
あなたの後から入ってくる就職者が増えれば、増えた人員を管理するためのポストが生まれます。普通に考えれば、より経験あるあなたがチームを束ねることになりますね。
どんな形であれ、高いポストに就けば収入は上がります。貴重な経験も積めます。転職市場は、前職の収入と役職がキモ。成長市場はキャリア形成に有利です。
しかし市場が成熟してしまうと、人員を今以上に増やす必要がなくなります。そのため高いポストは埋まってしまい、空きが出るまで出世できません。
キャリア形成は、ポンジスキーム(ネズミ講)のようなもの。早い段階(成長期)からいた人はウマい汁を吸えますが、後(成熟期)から来た人は構造的にウマい汁にありつけません。
短期間で成長し、市場成熟まで突っ走った企業を中から見るとよく分かります。新卒は有名大学ばかりなのに、中堅はFラン大学も珍しくない。役員クラスに高卒がいることもあります。
就職や転職を考えている人は、「その企業のビジネスは成長市場なのか?」を評価軸に入れることをオススメします。
成長市場を知らせる4つのサイン
それでは本題の、成長市場を見極めるためのサインを解説しましょう。
サイン①:パイオニア企業以外が参入し始めた
「プロダクトライフサイクル」では、「成長期」の前に、地中に潜ってまだ日の目を見ない「導入期」があります。導入期の製品は市民権を得ておらず、全然儲かっていません。
ここでは導入期から活動している「パイオニア企業」と呼びましょう。パイオニア企業は、その後に参入してくる企業とは性質がやや異なります。
導入期からいるパイオニア企業のパターン
- 創業者に強い思い入れがあり、利益は二の次と考えている企業
- 後の成長を確信していて、何年でも耐える覚悟がある企業
パイオニア企業は、短期の利益には目が眩んでいない、気骨のある企業とも言えるでしょう。
パイオニア企業の他に、新規参入企業が出始めたら、成長期入りするサインと考えられます。打算的に参入してきたプレーヤーが出てきたワケですから。
ただし、いの一番で参入してくるプレーヤーは、相当な小回りが必要です。規模としてはかなり小さいはず。脅威にはならないでしょう。1社目を見てから参入でも遅くありません。
サイン②:アーリーアダプターが使い始めた
まだ製品の市場がほぼ存在しないうちから利用し始めている人を、「イノベーター」と呼びます。そのジャンルのオタクみたいな人達です。
オタクの中で流行っていても、外にいる大衆からはどうでも良い話。そのジャンルのオタクが使っているかどうかは、その後の成長には寄与しません。
しかしそのうち、オタク外で感度の良い人達が、その製品の良さに気がつき利用し始めます。この感度が良い人達を、「アーリーアダプター」と呼びます。
アーリーアダプターの登場は、成長期入りのサインです。アーリーアダプターが使い始めたということは、より感度が鈍い人たちにも遅れて製品が広まっていくと予想できるからです。
ちなみにアーリーアダプターは、しばしば「インフルエンサー」と呼ばれる人の中に見られます。インフルエンサーの動向に注視しましょう。
サイン③:品質がショボい割りに売れている
品質がショボい、往々にして素人くさいのに、なぜだか一部では結構売れている。これは成長市場のサインです。
「品質が低い=まともなプレーヤーが参入していない」ということ。その製品ジャンルは価値があるけど、他に提供してくれる人がいないので、雑魚でも売れてしまっている状況です。
企業が参入し始める前の、ブログやYouTube、ライブチャットなんかを思い出してみてください。素人臭さ万歳なのに、一部では大金を手にするプレーヤーが登場していました。
おそらく外野にいる人間は、「なんでこんなのが流行るの?理解できない…」と感じるはず。第一印象は「こんなの流行るワケない。ブームはすぐに終わる」です。
しかしコレは参入タイミングを示すサイン。直感よりも、現に起こっている目の前の現象から判断しましょう。
サイン④:頭の良い人材が少ない
市場は上向きっぽいけど、働いている人の頭が相対的に良くなさそうなら、その市場は成長前夜である可能性が高くなります。
成長市場は、その製品のポテンシャルが高く、潜在顧客がたくさんいます。優れた知識や能力がなくても、参入するだけで売れてしまいます。頭が良い人よりも、行動が早い人が先に結果を出し始めるでしょう。
頭の良い人は、その市場が成長すると見越してから、転職なり就職なりするでしょう。重大な決断ですからね。まだ頭の良い人が少ないということは、成長前夜のサインなのです。
逆に転職者がみんなハイスペックだったり、新卒を一流大学しか取らないような企業は要注意。もはや頭の良い人が、頭を捻らなければ売上が上がらない市場になってしまっています。
かつては成長を謳歌したものの、これから入ってくる新入社員にとっては美味しくない展開でしょう。大手都市銀行が然り。優秀な社員の層は、斜陽業界のサインとも言えます。
まとめ
今回は、成長市場の大波がくる直前でサインをキャッチし、美味しいポジションを築くための方法を解説しました。
成長市場を知らせる4つのサイン
- パイオニア企業以外が参入し始めた
- アーリーアダプターが使い始めた
- 品質がショボい割りに売れている
- 頭の良い人材が少ない
本記事の内容は、製品市場の誕生から終わりまでを説いた「プロダクトライフサイクル」を元に執筆しています。
汎用性が高い理論なので、別途プロダクトライフサイクルの解説記事もチェックしてみてください。
≫【栄枯盛衰の法則】プロダクトライフサイクルとは?各ステージでとるべき戦略を解説
成熟市場でも諦める必要はない
本記事を読んだあなたは、「成長市場に身を置くことが絶対。成熟市場からは逃げるべし。」という感想を持ったと思います。
正直なところ、就職や転職のシーンならその通りです。特別な理由がなければ、成長市場を選ぶべきです。
しかしあなたが成熟市場の経営者や、新規事業の企画担当だった場合、必ずしも成熟市場から身を引くのが絶対の解ではありません。
成熟市場とは、既にほとんどの顧客に製品が行き渡っており、新規顧客が望めない市場を指します。例えば、誰でも服は着ているので、アパレル業界は常に成熟市場です。
しかし大正から昭和にかけて、和服から洋服への転換が起こったとき、洋服メーカーの前途には広大なチャンスが広がっていました。
成熟市場であっても、ライフスタイルが変われば製品の最適解は変わります。最適解が変われば市場は生まれ変わり、新たな製品のライフサイクルがスタートします。
成熟市場でジッと動かないことが悪なのであり、成熟市場が悪なのではありません。あなたが経営に影響を与えられる立場にいるなら、チャンスは依然として転がっています。
≫【大チャンス】成熟市場=オワコンではない。成熟市場で金脈を見つける戦い方を解説
社会人の学びに「この2つ」は絶対外せない!
あらゆる教材の中で、コスパ最強なのが書籍。内容はセミナーやコンサルと遜色ないレベルなのに、なぜか1冊1,000円ほどしかかりません。
それでも数を読もうとすると、チリも積もればで結構な出費に。ハイペースで読んでいくなら、月1万円以上は覚悟しなければなりません…。
しかし現代はありがたいことに、月額で本読み放題のサービスがあります!
外せない❶ Kindle Unlimited
Amazonの電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)」は、月額980円。本1冊分の値段で約200万冊が読み放題になります。
新刊のビジネス書が早々に読み放題になっていることも珍しくありません。個人的には、ラインナップはかなり充実していると思います。
外せない❷ Audible
こちらもAmazonの「Audible(オーディブル)」は、耳で本を聴くサービスです。月額1,500円で約12万冊が聴き放題になります。
Audibleの最大のメリットは、手が塞がっていても耳で聴けること。通勤中や家事をしながら、子供を寝かしつけながらでも学習できます。
冊数はKindle Unlimitedより少ないものの、Kindle Unlimitedにはない良書が聴き放題になっていることも多い。有料の本もありますが、無料の本だけでも十分聴き倒せます。
ちなみにわたしは両方契約しています。シーンで使い分けているのと、両者の蔵書ラインナップが被っていないためです。
どちらも30日間は無料なので、万が一読みたい本がなかった場合は解約してください(30日以内であれば、仮に何冊読んでいても無料です)。
そして読書は、早く始めた人が圧倒的に有利。本は読めば読むほど、複利のように雪だるま式に知識が蓄積されていくからです。
ガンガン読んで、ガンガン知識をつけて周りに差をつけましょう!
とりあえず両方試してみて、それぞれのラインナップをチェックするのがオススメです!