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ビジネスはシンプルこそ至高。製品をシンプル化する8つのメリットを解説

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シンプルな製品こそ至高。最近のビジネスシーンでは、「製品はシンプルであるべし」という考え方が、ようやく一般的になってきたように感じます。

しかし多くの人は、「複雑だと操作しづらい。シンプルな方がわかりやすくて良い!」くらいの印象しかないのではないでしょうか?

「わかりやすい」は重要なメリットですが、全体のうちのたった1つに過ぎません。シンプル化のメリットは、そんなレベルに留まりません。

この記事では、製品をシンプル化するメリット8つを徹底的に解説しています。

読んだあなたは、「Simple is Best !」の信奉者になり、製品を複雑化したい衝動に惑わされなくなります。また複雑化を推す第3者へのカウンタートークもバッチリになります。

製品企画の担当者、マーケター、経営者は、ぜひ押さえておいてください!

シンプル化のメリット①:壊れにくい

構造がシンプルになると、壊れにくくなります

傘を想像してみてください。概ね1枚の布だけで構成されている「カッパ」は、壊れようがありません。しかし関節が付加された「傘」は、しばしば壊れます。

複雑な構造にするためには、大抵関節のような機構が必要になります。しかし関節は増えれば増えるほど、故障ポイントが増えることを意味します。

カッパと傘の対比がイマイチピンとこなければ、「ポニーテール」と「三つ編み」を想像してみてください。服を脱ぎ着したときや、風が吹いたときに、どちらが崩れづらいでしょうか?

CDやDVDのような光ディスクの寿命は、10〜30年と言われています。一方で、何千年も前に彫られたエジプトの石碑は、今でも当時とほとんど変わらない姿で残されています。

ちなみにシンプルな構造が壊れにくいのは、物理的な製品に限った話ではありません。ソフトウェアであっても、複雑にすればそれだけバグが出やすくなります。

「複雑な構造にするほど、故障する可能性があるポイントが増える」と理解しておくと良いでしょう。

シンプル化のメリット②:メンテナンスが容易

構造がシンプルだと、万が一壊れてしまった場合でも、メンテナンスが容易になります。

「三つ編み」が崩れてしまったら、一度解いてまた組み直さなければなりません。これが「ポニーテール」なら、サッと髪ゴムを取って、瞬時に結い直せます。

パーツが増えるごとに、「Aが壊れたら、B一緒に直さなきゃ、そしたらCも…」と、ドンドン影響範囲が広がります。1つのパーツの故障が他のパーツに与える影響が大きくなっていきます。

やはり物理的な製品だけに限らず、ソフトウェアでも同様です。何処かのコードが狂ってしまうと、他のコードも芋づるで不具合が出てしまいます。目に見えづらい分、ソフトウェアの方がタチが悪いかもしれません。

構造をシンプル化すれば、さっと1部品を取り替えたり、モジュールを入れ替えるだけで、カンタンに修理できるようになります。

シンプル化のメリット③:操作がわかりやすい

シンプルな構造であれば、機能もシンプルなはずです。限られた操作しか与えられていないので、ユーザーは迷いづらくなります。

抽象化して考えてみましょう。

究極にシンプルな構造は、1本道です。ユーザーはその道を進むしかありません。その道の先にゴールがあるので、ユーザーは確実にゴールにたどり着きます。地図も必要ありません。

複雑化して別れ道が現れると、ユーザーは迷います。正しい道を選ぶためには、地図が必要です。さらに複雑になると、「この道には鍵がかかっているので、あっちの道で鍵を取ってからまた来てください」という状況さえ起こります。

複雑化した製品は、ユーザーに負荷がかかるばかりか、ゴールまで辿り着けない可能性すら出てきます。難易度が高く到達不可の場合もあれば、面倒であきらめてしまう場合もあるでしょう。

ちなみに「地図」は、「マニュアル」の比喩として使っています。シンプルな構造ならば、操作マニュアルすら必要なくなるのです。

昔のガラケーは分厚いマニュアルが同梱されていましたが、iPhoneにはマニュアルらしいマニュアルはありません。

シンプル化のメリット④:顧客サポートがラク

上記3つのメリットをサッとおさらいしましょう。

  1. 壊れにくい
  2. メンテナンスが容易
  3. 操作がわかりやすい

いずれのメリットも、顧客がサポートデスクに問い合わせる回数を減らしてくれます。同時に1件あたりの対応時間を短くしてくれます。

また次のような副次的メリットから、サポートスタッフの教育コストも下がります。

教育コストが下がる副次的メリット

  • 修理がカンタンなので、顧客自身に修理をお願いできる
  • 問い合わせのパターンが減るので、事前学習が少なくて済む
  • イレギュラーや想定外のケースが起きづらい

構造がシンプルなら、顧客サポートのコストが下がります。また運用フローの設計もラクになるので、運用を立て付けやすくなります。

運用設計はとても難しい仕事。大企業の巨大で複雑なビジネスは、高度なスキルがないと実現できません。中小企業ほど、運用を簡素に済ませるべきでしょう。

シンプル化のメリット⑤:コストが安く収まる

製品の構造がシンプルだと、あらゆる面からコストを省けます

調達コスト

  • シンプルな構造のパーツほど単価は安い
  • パーツの絶対数が減る
  • 交渉するサプライヤーが減るので、人件費も圧縮される

製造コスト

  • 製造ラインが短くて済む
  • 製造に必要な人数が減る

運用コスト

  • メンテナンスや顧客サポートにかかる人件費が安く済む
  • 特殊なスキルや知識を持った人材を採用しなくて済む

コストが下がれば、他社より安く販売しても利益が出ます。価格優位性で顧客にアピールするのも良いでしょう。

浮いたお金でマーケティングを強化するのも良いでしょう。広告に使えば認知を獲得できます。代理店やアフィリエイトに報酬を渡せば、外部の人が喜んで販売してくれます。

シンプル化のメリット⑥:見た目が良くなる

構造がシンプルになり、機能を絞ると、デザイン上の制約が少なくなります

  • 余計なボタン
  • 冗長な説明文
  • いくつもある差し込み口
  • 絡まるコード類

といった要素を、ユーザーインターフェースに詰め込む必要がなくなるからです。

製品の見た目がシンプルになれば、内装や他の家具・家電などと、見た目で干渉せずに済みます。見た目がシンプルなほど、ユーザーの幅を狭めなくて済むのです。

一昔前の日本の家電は、ボタンだらけでゴチャゴチャ。どの部屋に置いても景観を乱す存在でした。現代はAppleやLGのようなシンプルな見た目が主流になり、どんな部屋でも邪魔になりません。

シンプル化のメリット⑦:価値が伝わりやすい

機能がシンプルな製品ほど、その製品が持つ価値がストレートに伝わります

比喩で例えてみましょう。あなたがキャンプを始めたいと思い、キャンプ道具を買いに行くシーンを想像してみてください。

百貨店にもキャンプ道具はいくらかあるでしょう。しかしなんでも扱っているであろう百貨店は、キャンプに精通しているメージは湧きません。

キャンプ道具の専門店であれば、キャンプ道具しか扱っていません。おそらくスタッフはキャンプに精通していて、こだわりのラインナップを選りすぐっていると期待します。

機能を複雑にして、何でも実現しようとすると、本当に大事な機能がボヤけて見えます。ユーザーの目からは、「何でもできる=何にもできない」と見えてしまいます。

Kindleは、「活字を読む」という価値にフォーカスしています。活字を読むのにカラーディスプレイは必要なく、目に負荷がかかる液晶も不要になります。他の何にも使えませんが、「活字を読む」という一点においては、Kindleは最適なデバイスなのです。

シンプル化のメリット⑧:他人に説明しやすい

製品の価値が伝わりやすくなると、その製品を他人に説明しやすくなります

「果物を切るときは何を使ったらいい?」と聞かれて、「果物ナイフ」と答える人はいても、「十徳ナイフ」と答える人はいないでしょう。

百貨店は、「何でもあるところかな?」と、説明することになります。一方でキャンプ専門店なら、「ソロキャンプに必要な道具は全て揃うよ!」と、価値を説明しやすくなります。

他人に説明しやすいメリットは、3つの意味で重要です。

他人に説明しやすいメリット

  1. ユーザーがクチコミしやすくなる
  2. 営業マンが営業トークをしやすくなる
  3. 広告コピーが明確になる

総じて言えば、シンプルな価値提供で他人に説明しやすいほど、マーケティングメッセージが明確になります。

またユーザーの想起集合(〇〇と言えば?と聞かれて、パッと思い浮かぶ製品の選択肢)にも入りやすくなるでしょう。

シンプル化の思考法

今回は、製品をシンプルにすべき8の理由を解説しました。

製品をシンプル化するメリット

  1. 壊れにくい
  2. メンテナンスが容易
  3. 操作がわかりやすい
  4. 顧客サポートがラク
  5. コストが安く収まる
  6. 見た目が良くなる
  7. 価値が伝わりやすい
  8. 他人に説明しやすい

製品企画をするとき、ついついサービス精神でいろんな機能を提供したくなります。しかし何でもかんでも提供するほど、未来の自分の首を絞めることになってしまいます。

思考法①:複雑化は思考停止である

複雑化して考えている人は、優先順位を正しくつけられていないということでもあります。悪く言えば、思考停止しています。

  • 何が顧客にとって1番大切か?
  • 絶対になくてはならない機能のラインはどこまでか?

といった、クリティカルな問いを放棄していると言えるでしょう。

優先順位をつけられないから、あれもこれもと付け加えるしかできないのです。付け加えるだけなら、いくらでもポンポン上げられます。

思考法②:パレートの法則で考える

パレートの法則とは、8割のパフォーマンスは、2割の構成要素から生まれるとする説です。

  • コンビニの売上は8割は、2割の定番商品によって成り立っています
  • 営業部門の成績は、トップ2割の営業マンが、8割の成績を叩き出しています

パレートの法則に沿うなら、製品が顧客に与える価値の8割は、たった2割の機能によるもの。確かにExcelやPowerPointは、2割の機能しか使っていない人がほとんどではないでしょうか。

つまり余計な機能をつけたところで、大した価値を生まないばかりか、各種コストが上がったり、UXを損なったり、マーケティングで不利になってしまったりするのです。

≫【宇宙の真理】78対22の法則とは?類似のパレート(2対8)の法則も解説

思考法③:引き算で考えよう!

重要なのは、引き算の思考です。

「何を足せばお客さんは喜ぶかな?」ではなく、

「どこを削ってもお客さんは満足してくれるか?」を考えます。

引き算で思考するためには、まず持って「顧客にとって1番大切な、もっとも実現したい価値は何か?」を知っておかねばなりません。このゴールから引き算していくのです。

削って、削って、削って、「もうこれ以上は削れない!」となって、初めてその製品の純粋な形が現れます。それこそがベストな形なのです。

名探偵コナンの名言に、「不可能なものを除外していって残ったものが、たとえどんなに信じられなくても、それが真相なんだ!!」があります。

このセリフはシャーロックホームズのオマージュなんですが、まさにコレが真理です。いらないものを削っていって、最後に残ったものこそが本物なのです。

社会人の学びに「この2つ」は絶対外せない!

あらゆる教材の中で、コスパ最強なのが書籍。内容はセミナーやコンサルと遜色ないレベルなのに、なぜか1冊1,000円ほどしかかりません。

それでも数を読もうとすると、チリも積もればで結構な出費に。ハイペースで読んでいくなら、月1万円以上は覚悟しなければなりません…。

しかし現代はありがたいことに、月額で本読み放題のサービスがあります!

外せない❶ Kindle Unlimited

Amazonの電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)」は、月額980円。本1冊分の値段で約200万冊が読み放題になります。

新刊のビジネス書が早々に読み放題になっていることも珍しくありません。個人的には、ラインナップはかなり充実していると思います。

Kindle Unlimited 公式サイト

≫【厳選】ビジネスマンがKindle Unlimitedで読むべき15冊

外せない❷ Audible

こちらもAmazonの「Audible(オーディブル)」は、耳で本を聴くサービスです。月額1,500円で約12万冊が聴き放題になります。

Audibleの最大のメリットは、手が塞がっていても耳で聴けること。通勤中や家事をしながら、子供を寝かしつけながらでも学習できます。

冊数はKindle Unlimitedより少ないものの、Kindle Unlimitedにはない良書が聴き放題になっていることも多い。有料の本もありますが、無料の本だけでも十分聴き倒せます。

Audible 公式サイト

≫【厳選】ビジネスマンがAudibleで聴くべき17冊

ちなみにわたしは両方契約しています。シーンで使い分けているのと、両者の蔵書ラインナップが被っていないためです。

どちらも30日間は無料なので、万が一読みたい本がなかった場合は解約してください(30日以内であれば、仮に何冊読んでいても無料です)。

そして読書は、早く始めた人が圧倒的に有利。本は読めば読むほど、複利のように雪だるま式に知識が蓄積されていくからです。

ガンガン読んで、ガンガン知識をつけて周りに差をつけましょう!

とりあえず両方試してみて、それぞれのラインナップをチェックするのがオススメです!

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