心理学・行動経済学

【孤高で良くない?】黒い羊効果とは?具体例と対策を解説【エスケープしよう!】

  • ちょっと周りの人と違うだけでイジメのターゲットになってしまう
  • 前例のないチャレンジをした人が叩かれる

こんな理不尽な現象が起きるのは、心理学の「黒い羊効果」が原因です。

黒い羊効果とは、外部にいる異質な人よりも、身内にいる異質な人の方が嫌いになってしまう心理現象です。「同族嫌悪」という言葉がしっくりくるかもしれません。

一度黒い羊効果に陥ってイジメの標的にされてしまうと、抜け出すのは非常に困難です。

この記事では、

  • 黒い羊効果とは何か?
  • 黒い羊効果の身近な例
  • 黒い羊効果の対策案

を解説しています。

職場や学校で疎外感を受けている人や、周りの人との隔たりを感じている人は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

結論を先に言ってしまうと、そういう人は今いる環境から抜け出した方が良いかもしれません。

黒い羊効果とは?

黒い羊効果(Black sheep effect)とは…

内集団の好ましい成員が、同じ程度に好ましい外集団成員よりも高く評価され、

内集団の好ましくない成員が、同じ程度に好ましくない外集団成員よりも低く評価される現象のこと

ポルトガルの社会心理学者ホセ・マルケス教授らの論文「黒い羊効果:集団アイデンティティ形成機能としての、内集団成員の評価という非常手段(1988年)」で提唱されました。

言葉がちょっと難しいので、紐解いていきましょう。

  • 内集団
    :自分が所属していると感じる集団

  • 外集団
    :自分が所属していない集団

で分けて考えます。内集団は「身内」、外集団は「それ以外の人全員」と捉えてOKです。

簡単な例で噛み砕いていきます。

同じ中学校に、みんなから好かれているA君がいるとします。顔が良く、頭がよく、運動もできます。そして隣の中学には、ほぼA君と同じスペックを持つB君がいます。

このとき、A君とB君は同じくらい魅力的ですが、同じ中学校のA君の方に、より魅力を感じるようになります。

同じくらい良い人なら、身内の方がより好きになるということですね。

反対に、みんなから嫌われているCさんがいたとします。クラス行事に非協力的で、気分が乗らないとすぐに早退してしまいます。隣の中学には、全く同じような人となりのDさんがいます。

このとき、CさんとDさんは同じくらい嫌な奴ですが、同じ中学校のCさんの方が、より憎たらしく感じます。

同じくらいイヤな人なら、身内の方がより嫌いになるということです。

過去の歴史を遡ると、宗教でも同じような現象が見られます。

全く別の宗教を信仰する異教徒(例えばキリスト教徒から見たイスラム教徒)よりも、同じ宗教内で別の考え方をしている異端者(カトリックから見たプロテスタント)の方が風当たりが強くなります。

「黒い羊」は聖書が由来

英語圏では、厄介者や嫌われ者を「Black sheep(黒い羊)」と呼びます。総じて、集団の中で異質な存在を指す慣用句として使われています。

黒い羊は聖書が由来。白い羊の群れに、1匹だけ混ざっていた黒い羊が、仲間である白い羊たちに認められずに追い出される話があります。

「黒い羊効果」はこれに因んでいます。

黒い羊効果によって起こること

黒い羊効果によって起こることは、どれもマイナスなものばかりです。身近な例を一緒に見ていきましょう。

起こること①:いじめ

黒い羊効果の典型例が「いじめ」です。学校や職場、ご近所関係の中で起こります。

いじめの対象になっている人は、やはり他の人とは少し異なる特徴を持っていることが多いと思われます。

  • すごく背が低い(または高い)
  • クラスに1人だけハーフ
  • 他の町から引っ越してきた
  • 町内会に入っていない

などなど。

「いじめられる人には、いじめられる理由がある」と言われることがありますが、如何ともし難い特徴を刺されてしまうのは理不尽ですね。でも人間ってそういう心理があるのです。

起こること②:不倫した人へのバッシング

不倫をした人が大バッシングされる光景は、もはや珍しくないですね。不倫へのバッシングには「黒い羊効果」の特徴がよく出ています

例えば、海外の超人気スポーツ選手が不倫をした、とニュースで見たらどう思うでしょう?「だらしない奴だなぁ」とは思うかもしれませんが、大バッシングにはならないですよね。

これが日本の有名人だったらどうでしょう。もう大バッシングですよ。でも不倫をしても、大きなバッシングを受ける人とそうでない人がいますよね。

元から世間からはみ出したイメージの人が不倫をしても、そこまで叩かれなかったりします。ですが庶民派を売りにしていた人は、猛烈なバッシングに合うわけです。

これはもちろん、庶民派の有名人の方が、世間にとってより内集団の一員として見られているからです。

あとは例えば、女性タレントが不倫したときは、男性ファンよりも女性ファンからのバッシングの方が強い印象です。これも同じで、同性の方がより内集団と見做されるからですね。

起こること③:出る杭が打たれる

新しいことにチャレンジしている人も、しばしば叩かれます。俗に言う「出る杭は打たれる」ってヤツです。

例えば、

  • インターネットビジネス
  • ノマドワーカー
  • クラウドファンディング
  • 仮想通貨

などは、出始めた頃に大いに叩かれたものです。

その後に、かつて新しいかったものが市民権を得て、多数の人にも受け入れられるようになったタイミングで叩かれなくなります。

起こること④:はみ出された人が成功を掴むことも

「黒い羊効果」があるために、多くの人は集団にとって好ましい人間であろうとします。その一方で群れではやっていけず、追い出されたり、自ら出ていったりする少数の「黒い羊」がいます。

ですがいつの時代も、大活躍する人は「黒い羊」だったりします。歴史に名を残す偉人には、社会不適合者みたい人が多いんですよね。IT企業の経営者もかなり変な人が多い印象。

ビジネス目線で言えば、価値は「希少性」に紐づきます。たくさんある石ころよりも希少な宝石、たくさんいる人材よりも希少な人材です。

量産型の白い羊よりも、尖った黒い羊の方がずっと少ない。結果として黒い羊の方が、価値を生みやすい構造になってしまうのです。

黒い羊効果の実験事例

「黒い羊効果」の提唱者であるホセ・マルケス教授らが行った実験事例を紹介します。

実験方法

  • 被験者は、ベルギーの学生184人
  • 6パターンの人物像を提示し、それぞれに「社交性」や「冷静さ」などの尺度で7段階の評価をしてもらった

6パターンの人物像

提示されたのは、以下の6パターンです。

それぞれに典型的な人物像が想定されており、「親切である」「悲観的である」といった特徴が添えられています。

  1. ベルギーの学生
  2. 北アフリカの学生
  3. 好ましくないベルギーの学生
  4. 好ましくない北アフリカの学生
  5. 好ましいベルギーの学生
  6. 好ましい北アフリカの学生

被験者はベルギーの学生でした。というわけで、ベルギーの学生は内集団、北アフリカの学生は外集団ということになります。

実験の結果

学生達が6パターンの人物像に対し、それぞれ評価したポイントを集計したところ、次のような結果になりました。

  • 好ましいベルギーの学生は、
    好ましい北アフリカの学生より高く評価されました

  • 好ましくないベルギーの学生は、
    好ましくない北アフリカの学生より低く評価されました

好ましい身内は、より好ましく。嫌いな身内は、よく嫌いになってしまう。そんな結果が浮き彫りになりました。

【考察】なぜ黒い羊効果が起きるのか?

なぜ「黒い羊効果」が起こってしまうのでしょうか?その理由を考察してみます。

理由の考察①:集団の維持・存続のため(内集団バイアス)

太古の昔から、人間は集団で生活してきました。狩猟する人もいれば、家事をする人もいれば、子供の面倒を見る人もいる。そうやって助け合って生存確率を上げていたのです。

そんな集団の中に、和を乱す異分子がいたらどう思うでしょう?例えば、食料を独り占めする人とか、他人の奥さんや旦那さんにちょっかい出す人とか。

異分子は追い出さなければ、集団の秩序を維持できません。集団が崩壊すれば生存確率が下がります。これが「黒い羊効果」に繋がっているのではないかと思います。

なお、おそらくはこのような背景から、人間には身内により好意を寄せたり、外部の人間よりも身内を重用する傾向があります。心理学では内集団バイアスと呼ばれています。

≫【身内びいきもほどほどに】内集団バイアスとは?事例&避け方を解説

理由の考察②:優生思想

こちらは大いに個人的な考察なので、耳半分くらいで受け取ってもらえればと。

優生思想とは、その民族の遺伝的素質を改善していくために、好ましくない遺伝的形質を排除し、好ましい遺伝的形質を持った人の遺伝子だけを、後世に残していこうという考え方です。

簡単に言えば、障害がある人や、肌の色が違う人、劣等人種として扱っている人とは交配せず、マイナスの遺伝子を子孫に残さないということ。完全に差別ですが、少し前の歴史では珍しい考え方ではありませんでした。

一部の宗教の厳しい戒律には、他の民族との婚姻生活をしづらくし、民族の純血を守る意図があると言われています。

なるべく異物の血を入れたくないという思想から、身内にいる不安分子ほど忌避するようになったのではないでしょうか。

黒い羊効果が起きやすい環境

「黒い羊効果」のターゲットにされてしまうと、理不尽な迫害を受ける可能性があります。注意喚起のため、黒い羊効果が起きやすい環境にも触れておきます。

起きやすい環境①:帰属意識が強い集団

集団への帰属意識が高いほど、除け者に対する風当たりが強くなります。例えば、田舎の集落で、都会から引っ越してきた人が冷遇される話を良く聞きます。

「帰属意識が強い」とは、「その集団の一員であることが、強いアイデンティティになっている」ということです。

都会の人は、住んでいる地域に対してそこまで帰属意識は持っていません。引っ越しも気軽にします。ですが小さな集落に先祖代々住んできた人は、住民であることにアイデンティティを持っています。

制服で構成メンバーに同じ格好を強いる、民族の風習で体に傷をつけるといった行為は、集団への帰属意識を強めることになるでしょう。戦時中に大日本帝国が植民地の人たちに日本語教育を強制したのも帰属意識を高めるためでした。

おそらく最も強い帰属意識を生むのは宗教でしょう。厳しい戒律を持つユダヤ教やイスラム教は、宗教の中でも特に帰属意識が高い集団と考えられます。

集団内に厳しいルールがあるほど、帰属意識が高まり、反動として「黒い羊」への敵対意識も強くなります。

起きやすい環境②:人員過剰の集団

こちらは「黒い羊効果」が起きやすいというよりは、人間関係のトラブルが起きやすい環境として捉えてもらえればと。

経営学で著明なピーター・F・ドラッカーの代表作『マネジメント』では、次のような記述があります。

(間違った組織の特徴の一つは)人の感情や好き嫌いに気を使うようになることである。

(中略)このような症状を持つ組織は、だいたいが人員過剰となっている。人の気持ちを傷つけ、ぶつかり合い、足を踏むのは、混んでいるからである。十分な空間があればぶつからない。

『マネジメントー基本と原則』より引用

思い返してみると、人員過剰ではない、つまり人が足りなくて忙しい職場にいたわたしは、会社でイジメを見たことがありません。そもそも誰かをいじめる時間がない。

意訳すると、「ヒマな人ほど、人間関係でギクシャクする。転じてヒマな人ほど、他人を攻撃したくなる」ということになるのではないでしょうか。

  • 時間に追われることがない学生
  • 仕事を引退した高齢者の集まり
  • 人が滅多に来ないヒマな役場

のような環境は、人間関係のトラブルに発展しやすいと考えられます。

黒い羊効果の対象になったらどう対処するか?

もし運悪く、あなたが「黒い羊」になってしまったらどうすれば良いのでしょう?

まず前提として、黒い羊のターゲットになってしまったら抜け出すのは困難です。

黒い羊効果は人間の心理に根ざしており、自然とそういう思考になってしまいます。外の人間が説得したところで、人の心はなかなか変えられるものではありません。

そのため、白い羊たちに対して働きかけるのではなく、黒い羊自身がどう反応するかにかかっています。

対策①:迎合する

まず一つの方法に、白い羊たちの考えや所作に、自分を迎合していく案があります。つまりは「郷に入っては郷に従う」。もっとも波風立たない選択肢です。

特にこだわりがないことなら迎合してしまえば良いでしょう。ですが、どうしても自分の信条に合わないなら、迎合せずに別の選択肢を取った方が良いでしょう。

例えば野球部で「坊主頭」を強要されたとします。髪型にこだわりがないなら坊主にすれば良いだけですが、それが嫌なら別の選択肢を取ろう、という話です。

対策②:シカトする

ストロングスタイルで行くなら、白い羊に何をされようと、無視を貫く選択肢もあります。

この選択肢を取るかは、迫害のレベル感にもよりますね。誰からも話しかけられないとか、その程度なら耐えられますが、嫌がらせや暴力を受けている場合は耐え難いですね。

どうしても逃げられない場合は、辛い戦いになるかもしれません。

インド独立の父ガンジーは、占領国イギリスからの迫害に対し、「非暴力・非服従」を貫き、周囲の考えを変えていきました。

勇気が出る話ですが、これを我々が実践できるかどうか…。

対策③:逃げてしまう

個人的にオススメしたいのは「エスケープ」。つまり逃げてしまうという選択肢。

黒い羊認定されたあなた自身も、まわりの白い羊達との違いを感じているのではないでしょうか?

外の世界を見渡すと、今は少数派のあなたと同じような人がたくさんいます。そっちに行ってしまった方が楽だし、パフォーマンスも上がるでしょう。

転校は親との相談があるので自分だけでは決められませんが、転職だったら自分の判断だけでできます。辛いなら逃げた方が楽ですよ。

黒い羊効果を起こさないための組織づくり

マネジメント目線では、「黒い羊効果」が起きない組織づくりをしていきたいですね。

とはいえ、組織への帰属意識が強い方が、パフォーマンスも上がる傾向にあります。帰属意識は損なわずに、人間関係のトラブルを避ける工夫が必要です。

組織づくり①:多様な人材を引き入れる

クラスに1人だけ肌の黒いハーフの子がいたら、どうしても目立ってしまいます。本人は全く悪くなくても、イジメのターゲットにされてしまうかもしれません。

ですがクラスが外国人だらけだったら、そんなことにはなりません。初めから多種多様な人がいれば、誰か1人だけが浮いてしまうような特徴が薄まっていくのです。

組織づくり②:ヒマにさせない

ヒマな人を作らず、ワーク量に相応した人数を配置しましょう。先にドラッカーの例で述べた通り、やることがたくさんある忙しい人は、誰かをイジメているヒマはありません。

トラップとして、ヒマな人間は、余計な仕事を作り出して時間を埋めようとします。パッとはヒマに見えないかも。現場の「人が足りない」の声は、注意して聞く必要があります。(詳細はパーキンソンの法則の記事を参照ください)

また仕事を進めていく上で、頻繁に調整や承認行為が挟まると摩擦が起きます。

渋滞してブーブーとクラクションがならないよう、各メンバーにある程度の裁量を与えた方が、人間関係のトラブルは起きづらいでしょう。

≫【隙間の魔力】パーキンソンの法則とは?あなたの自由を縛る正体はコレだった

まとめ

今回は、イジメの現象を説明するのに有効な「黒い羊効果」を紹介しました。

黒い羊効果とは…

  • 身内にいる好ましくない人は、外部の同じくらい好ましくない人より、評価が下がってしまう現象
  • 身近で変わった特徴を持つ人は、黒い羊(いじめのターゲット)になりやすい
  • 帰属意識が強い集団で起きやすい

一度「黒い羊」認定されてしまうと、その環境からはなかなか抜け出しづらくなります。

もし周りの人に合わせるのが苦でないなら迎合してしまっても良いですが、耐えられないと感じるなら、スッとその集団から立ち去った方が賢明です。

黒い羊で良いんじゃない?

個人的には、「黒い羊になった自分を受け入れていこう」と思っています。

黒い羊効果は元を辿れば、集団の秩序を乱す厄介者を排除する心理です。太古の昔、集団の崩壊は、それそのまま命に関わる危機だったからです。そのDNAが今も残っているんでしょう。

ですが現代は社会システムの進化のおかげで、集団に属していなくても問題なく生きていけます。インターネットのおかげで、個人で稼ぐことも可能になりました。

むしろ人材としては、量産型の白い羊よりも、何かの点で鋭く尖った黒い羊の方が希少です。希少ということは供給量が少ないので、必然的に人材価値も上がります。

実は黒い羊として孤高に生きた方が、成功する確率が高いのではないでしょうか?白い羊の中で無理せず、黒い羊であることを受け入れて、外の世界へ飛び出してみましょう!

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