「周りに比べて自分はマルチタスクが苦手」そう思っている人は多いはず。逆に「自分はマルチタスクが得意!」と思っている人も多いでしょう。
どちらにしても結論は一緒。「人類共通でシングルタスクの方が生産性が高い。マルチタスクなんて今スグやめてしまえ!」です。
マルチタスクは良いこととされていますが、これがそもそも間違い。「マルチタスクを避けることが、生産性を上げるもっとも効果的な方法」と言っても過言ではありません。
しかしスマホとPCがインターネットに常時接続されている現代人は、チャットやミーティングの嵐の真っ只中にいます。放っておくとマルチタスクの罠にズブズブはまってしまう…。
この記事でわかること
- マルチタスクがなぜ害悪なのか?
- シングルタスクの絶大なるメリット
- 現代人がシングルタスクを手に入れる方法
もしあなたが、仕事中にチャットやメールにチラチラ目を向けているとしたら、生産性はダダ下がりしている可能性があります。
本当のあなたはもっと高い成果をあげられるはず!この記事を読んで、ぜひあなた本来の実力を取り戻してください。
シングルタスクとマルチタスクの違い
まず「シングルタスク」と「マルチタスク」の違いをサッと押さえておきましょう。
シングルタスクとは?
1つのタスクが終わってから、次のタスクに移る仕事の進め方。1つのタスクに手をつけているときは、他のタスクには目を向けず集中して作業する
マルチタスクとは?
2つ以上のタスクを同時並行して処理する仕事の進め方。元々はコンピューターの用語
一般的にはマルチタスクが善とされています(実際には嘘なんですが…)。
スマホとインターネットで接続性が急速に上がった結果、現代人のタスクは格段に増えました。尽きることのないタスクを延々と処理をし続けなければ、帰宅すらままなりません。
そんなわけで要領よくマルチタスクで処理するスペックが求められています(本当は違うんですが)。
男性はシングルタスク、女性はマルチタスクが得意な理由
一般的に男性はシングルタスクが得意で、女性はマルチタスクが得意と言われています。私見ですが、おそらく個人差では説明できない差があるように感じます。
一説によれば、その理由は太古の昔、狩猟採集をしていた我々の祖先まで遡ります。狩猟採集民だった人類は、いくつかの家族がより集まって集団で暮らしていました。
男は主に狩りが仕事です。女は留守を預かったり、他の女衆と一緒に木の実や果物の採集をしたりしていたようです。子育ては集団の女が共同で行なっていました。
このような背景から、女性は仕事や子育てをしながら、他の家庭と友好なコミュニケーションを取る必要がありました。ここがマルチタスクの原点にあるようです。
一方の男性は、一点集中して獲物を狩る必要があります。よそに気を取られていては、獲物を仕留められないばかりか、自らの命まで危険に晒されます。ここにシングルタスクの原点がありそうです。
人間の遺伝子に組み込まれた性質は、100年や1000年では変わりません。我々が脂っこいものが好きなのは、動物性脂肪が貴重だった名残。社会が変わっても、我々の脳は狩猟採集民だった祖先とほとんど変わりません。
そんなわけで、病院の事務職や秘書に女性が多いのは、適材適所の結果と言えそうです(あくまでこの仮説を信じるならという話。男尊女卑の意図はないのであしからず)。
実はマルチタスクなんてない?
正確に実は人間にマルチタスクの機能はありません。コンピュータは、メモリが大きければいくらでもマルチタスクで処理できます。しかし人間にはできません。
その理由を解説していきます。
人間は一度にたくさんの情報を覚えていられない
人間が何かのタスクをするとき、一時的に脳はそのタスクに必要な情報を記憶しています。
例えばあなたがレジ打ち担当だったとしましょう。980円の商品を買うお客さんが、1,000円札を出しました。
このときあなたは、「代金980円」「渡された1,000円」「お釣り20円」の3つの情報を一時的に記憶しています。
タスクが終了すると、不要になった記憶は消去されます。
このようなタスクのために一時的に記憶する情報を「短期記憶」と呼びます。(または「ワーキングメモリ」とも呼ばれています。お好きな方で呼んでください)
さてこの短期記憶で、覚えておける数に上限があります。心理学の「マジカルナンバー」の理論によれば、その数は最大で7±2。近年では4±1まで減っています。
個人差がありますが、記憶力の良い人でMAX9個、記憶力が悪い人は3個が覚えておける情報の上限です。
レジ打ちのような簡単なタスクでも、3つくらいは情報を覚えておく必要があります。そうすると、もう1つタスクを並行処理するような余裕はもう残らないのです
≫【使わなきゃ損】マジカルナンバー7±2と4±1は人間が覚えていられる限界
同時にできるのは脳を使わない仕事
ですが事実として、2つのタスクを同時に行なっているケースがあります。
車の運転をしながら携帯電話で(もちろんハンズオフで!)話したり、ジョギングをしながらラジオを聞いてたりします。ドリブルをしながら、パスの相手を探すのもそうです。
行動経済学の「脳のシステム1・システム2」の理論によれば、人間の脳は、
- 簡単なタスクを自動で処理する「システム1」
- 複雑なタスクを慎重に処理する「システム2」
に分かれています。
そしてシステム2は、同時に2つ以上のタスクをこなすことができません。2つのタスクを同時に行う場合、どちらかは脳をほとんど使わずに自動で処理しています。
一流のサッカー選手が芸術的なパスルートを導き出せるのは、日頃の鍛錬で足の方は勝手に動くからです。足元に集中しなければならない二流にはできない芸当です。
マルチタスクで仕事をしている人は、片方は極めてカンタンな仕事をしているか、仕事をしているフリして実は全く身が入っていないかのどちらかです。
≫_脳の「システム1」と「システム2」とは?事例付きで徹底解説
正確にはタスクをスイッチしているだけ
この記事を読んでいる人は、システム2が必要な複雑な仕事をしているはず。あなたはマルチタスクをしているのではなく、実はタスクを細かくスイッチしているだけなのです。
脳が集中力や注意力を発揮できる量には限りがあります。RPGのMP(マジックポイント)と同じようなものです。
そしてもっとも集中力を使うのは、意思決定の瞬間です。タスクのスイッチをする瞬間も、「まだ途中だけどこっちの仕事もやっとくか」と、意思決定をしていることになります。
マルチタスクと称して細かく仕事をスイッチする人は、その度に集中力が削がれています。
「俺、マルチタスクで仕事してるぜ!」と言っている人は、大して頭を使わない仕事をしているか、本当はもっと大きな成果を出せる才能があるのにフタをしていることになります。
おそらくは後者が多いでしょう。マルチタスク派の人などこの世におらず、本来は人類は皆シングルタスクが向いているのです。
なんちゃってマルチタスクの弊害
あなたは本当はマルチタスクではなく、ただタスクをスイッチしているだけ。実際には「なんちゃってマルチタスク」なのです。
そして「なんちゃってマルチタスク」に手を染めた人には、不条理な現実が待っています。
弊害①:マルチタスクができても評価につながらない
上司は「〇〇君(あなたのこと)は、マルチタスクができるね!」と褒めてくれるかもしれません。ですが、なんちゃってマルチタスクができても評価には反映されません。
なぜなら評価は成果によって決まるからです。結局KPIをどれだけ達成したかであり、それをマルチタスクで捌いていようが、何なら他人に仕事を投げていようが関係ありません。
わたしはサラリーマン時代に、要領が良いばかりに上司のコマ使いされて、評価されない人を何人も見てきました。器用さは買われても、成果が出ていないので評価はされません。
むしろ成果を出す人は、「大切な仕事はコレ!」と決め、余計な仕事は背負い込みません。シングルタスクを追求した方が評価は上がります。
サラリーマン目線で評価としましたが、成果しかない世界の経営者やフリーランスなら尚更です。
弊害②:同僚や部下からの信頼を無くす
自分のために親身になってくれない人を信頼するのは難しい。あなたが部下や同僚の信頼を勝ち得たいなら、なんちゃってマルチタスクは辞めて、目の前の話に集中すべきです。
忙しいからと、PCをいじりながら会議に出席したり、相談を受けている途中に電話に出たり、そういう人がたくさんいます。
目の前の人は、そんなぞんざいな扱いを受けてどう感じるでしょう?もちろん忙しいことは理解できますが、同時に自分の優先度が低いことも理解するでしょう。
弊害③:上司の信頼も無くす
なんちゃってマルチタスクで仕事をしている人は、上司から急ぎの仕事が2つ舞い込んだらどうするでしょうか?
きっと両方を頑張ろうとします。
片方は完遂するかもしれませんが、もう片方は品質が低かったり、納期に間に合わないことが多いでしょう。そもそもできないことを安請け合いしているので、致し方ありません。
仕事を依頼する上司にしてみれば、むしろ正当な理由で「NO」と断ってくれた方がありがたいのです。そうなれば上司は、他の人に振るなり、優先順位を考え直したりするでしょう。
上司からしてみれば、やれると言われた仕事が滞る方がよっぽどツラい。結局安請け合いして無理したばかりか、信頼まで失ってしまう羽目になるのです。
あなたのシングルタスク度を診断しよう!
というわけで、仕事はシングルタスクで行うべきです。今のあなたの仕事の仕方から、シングルタスク度を診断してみましょう。
この診断は、『SINGLE TASK 一点集中術』から引用しています。
20の質問に自己採点しよう
まずあなたの平均的な1週間を思い浮かべてください。
そして次の20の質問に対し、0〜5点で採点してください。
採点基準
0 | 全くない |
1 | ごくたまに(年に1〜4回) |
2 | たまに(年に5〜8回) |
3 | ときどき(月に1〜3回) |
4 | しばしば(週に1〜2回) |
5 | よくある(週に3回以上) |
20の質問
1 | 運転中に携帯電話などのデバイスを使いますか? |
2 | 紹介されたばかりの人の名前を、すぐに思い出せなくなることがありますか? |
3 | 会議やミーティングの最中に、メッセージを返信することがありますか? |
4 | 話を聞き流していて、「君はどう思う?」と意見を求められたとき、答えられないことがありますか? |
5 | 歩きながら、携帯電話などのデバイスをいじりますか? |
6 | 同僚や仲間と一緒にいるときにも、スマートフォンをいじりますか? |
7 | 仕事や作業を進めようと思っていたのに、横道にそれ、つい他のことをしてしまうことがありますか? |
8 | 約束の時刻や場所を間違えてしまうことがありますか? |
9 | ノートパソコンで記録をとるふりをしながら、他のこと(ネットサーフィンやチャットの返信など)をすることがありますか? |
10 | 他のことに気を取られていて、エレベーターで目的とは違う回で降りてしまうことがありますか? |
11 | 集中していなかったため、一度読んだ文章やデータを読み直さなければならなくなることがありますか? |
12 | 一緒にいる相手に意識を100%向けていないことがありますか? |
13 | 食事中もテーブルに携帯電話などのデバイスを置き、しょっちゅう確認しますか? |
14 | 仕事関係の連絡が来たら、例え勤務時間外でも、すぐに返信しなくてはならない気がしますか? |
15 | 重要なメモをその辺にある紙切れに書き留め、そのあとどこに行ったかわからなくなることがありますか? |
16 | 1日の仕事を終えるときに「満足のいく仕事ができなかった」「仕事が捗らなかった」と感じることがありますか? |
17 | メディアの情報に気を取られ、考え事に集中できないことがありますか? |
18 | 「よく他のことをしている」「気が散りやすい」と人に言われることがありますか? |
19 | 人と電話をしている最中でも、ネットを眺めたり、SNSをしたり、メッセージに応じたりしますか? |
20 | 忙しく過ごしているにも関わらず、充足感を覚えることができず、能率が上がらないと感じることがありますか? |
採点を評価しよう
20の質問に対する自己採点を、全て足し合わせましょう。
この採点から、日常生活でどのくらいシングルタスクが達成されているかが分かります。
スコア | 評価 |
0〜25 | 【レベル1】シングルタスク上級者。あなたは今を生きています |
26〜50 | 【レベル2】いい線いってます。おそらくあなたはシングルタスクを意識しているはず。このまま邁進しましょう |
51〜75 | 【レベル3】希望を持って努力しよう。生産性を上げるために、やり方を変える必要があります |
76〜100 | 【レベル4】急ブレーキを踏む必要あり!直ちに仕事の仕方を大幅に変える必要があります |
どうでしょうか?
きっとほとんどの人は、改善が必要なレベルだったのではないでしょうか?
シングルタスクを邪魔する悪の手先
シングルタスクが良いとわかっても、現実問題とんでもない数のタスクを捌くためには、マルチタスクをせざるを得ない。そう思った人もいるでしょう。
まずはマルチタスクを呼び寄せる悪の手先が誰なのかを理解しましょう。話はそれからです。
悪の手先①:実はやらなくて良い仕事
スタートアップで立ち上がったばかりでもなければ、おそらく意味のない仕事はかなり多いはず。やめても誰も困らない、意味のない仕事しかしていない人もいます。
「パレートの法則」によれば、20%の仕事が成果の80%を叩き出しています。実はほとんどの仕事は、やってもやらなくても成果には影響しない仕事なのです。
「パーキンソンの法則」によれば、人は与えられた時間目一杯まで仕事を引き延ばします。3日と言われれば3日で、1週間と言われれば1週間で仕上げるように仕事を引き延ばします。
お役所仕事がそうですよね。生産性が低い仕事にドンドン人を投入しても、なぜか仕事はなくなりません。人が増えた分だけ、どうでもいい仕事が増えているからです。
悪の手先②:気軽に話しかけてくる同僚や上司
仕事中のあなたに声をかけてくる人は厄介です。今やっている仕事の手を止めて、その人の話を聞かなければなりません。ここで集中力が切れてしまいます。
もちろん一人で仕事をしているわけじゃないので、コミュニケーションは必要です。0にはできませんし、0にすべきとも言いません。
問題はタイミングです。タイミングの選定は話しかけてくる相手に主導権があるので、あなたが忙しかろうがなんだろうが、好きなときに話しかけてきます。
与太話なら最悪。仕事の依頼もあまり嬉しいものではありません。
悪の手先③:時間も場所も選ばないチャットやメール
パソコンとスマホで仕事をしている人は、常時インターネットに接続されています。メッセージは、時間も場所も選ばず送られてきます。
ピコンとメッセージが来たら、あなたはイヤでもそのメッセージに目を向けるでしょう。その場で質問に回答するか、後で連絡する伝えるか、一瞬悩んでチャットを返します。
ここで強制的にシングルタスクが断ち切られてしまいます。チャットやメールは、画面を開いた瞬間に集中力を奪う恐ろしい存在なのです。
シングルタスクが向いている職種と向いていない職種
シングルタスクは誰であっても実践できます。しかし、すんなりシングルタスクができるか、あるいは相当意識しないとできないかは、職種によって異なります。
総合職はマルチタスクになりやすい
全般的に総合職のホワイトカラーは、マルチタスクになりやすい職種です。
末端の作業は自分でやらないことが多いので、必然的にコミュニケーションが業務の中心になるからです。誰かからもらった仕事を、別の誰かに振る仕事です。
複数人の関係者のハブになることも多く、一つの業務や案件に集中して取り組む機会は基本的に少ないはず。かなり意識しなければシングルタスクの達成は難しいでしょう。
専門職はシングルタスクに向いている
反対に専門職はシングルタスクになりやすい職種です。いわゆる手に職がある人で、プログラマー、ライター、デザイナー、イラストレーターなど。
基本的にはクライアントの代表者1人とコミュニケーションするだけで、もっぱら自分の作業に没頭する時間が長くなります。
マルチタスクが性に合わない人は、こういった専門職を目指してみてはいかがでしょうか。
ただし専門職でも、管理職として現場を束ねたり、フリーランスでもディレクターとして他のフリーランスを統率したりする場合は、総合職と同じようにマルチタスクになりやすくなります。
シングルタスクで仕事の生産性をあげる4つの方法
現代の働き方には、マルチタスクを誘うものが多すぎます。シングルタスクは根性論や心がけではまず間違いなく達成できません。
そうではなく、構造的にマルチタスク状態を排除する方法を考えなければなりません。自分の意思に頼ってはいけません。
方法①:スケジュールの立て方に妙味あり
誰でも活用しやすい方法が、スケジューリングの工夫によって、マルチタスクを排除する方法です。有力案が複数あります。それぞれ見ていきましょう。
1-1:その日にやる優先度が高いタスクをリストアップする
中には永遠に手をつけなくて良い仕事もあります。余計な仕事に目移りしないために、あらかじめその日にやる仕事はリストアップしておきましょう。
仕事の内容にもよりますが、1日にこなせるタスクは5〜6個程度(ちょっとしたメールを返信するレベルは除く)じゃないでしょうか?
その日にやらなければならない優先度が高い仕事を上からリストアップしていき、ノミネートされた仕事以外は基本やらないようにしましょう。
よく「明日やろうは馬鹿野郎」なんて言いますが、これはケースバイケース。既にタスクの行列が出来てしまっている人は、「明日できることは明日に回せ」で良いのです。
1-2:似たようなタスクはまとめて処理する
全然違うタスクにスイッチすると、集中力が一気に削がれてしまいます。会議が連続で続いて、次の議題に頭が切り替わらない経験をした人も多いでしょう。
なるべく大きな切り替えにならないよう、同じようなタスクは連続した時間で処理するのが効率的です。
- A社の案件でエンジニアと打ち合わせ→A社へのプレゼン資料作成
- B社へ電話→C社へ電話→D社へメール返信→E社へメール返信
といった具合に、脳に負担をかけない順番を心がけましょう。
1-3:作業時間をブロックする
おそらく多くの社会人は、社内でカレンダーを共有していると思います。同僚の予定を聞く前に、まずスケジュールを確認する礼儀はほとんどの人が弁えています。
作業に集中するためには、思い切って長めに時間をブロックしておきましょう。もちろんその時間は他のタスクは無視して、目の前のタスクに専念します。
ポイントは次の3点です。
作業時間をブロックするときのポイント
- 何のタスクを処理する時間か明記しておく。見た人が「あの仕事やってんのか。邪魔したら悪いな」と思ってもらえるので
- 長めの時間を確保する。迷ったら想定作業時間の1.5倍で見積もる
- 業務時間外は、最初からスケジュールNGにしておく
スケジュールに空きがあると、バンバン予定を入れられかねません。基本は終日埋まるようにスケジュールを詰めておくことをお勧めします。
また手を動かすだけでなく、考える時間も重要です。考えるだけであっても、「〇〇案件の検討」といった名目でスケジュールを押さえておきましょう。
1-4:細かいタスク処理はまとまった枠を確保する
メールを返信したり、チャットを見たり、承認ボタンを押したり、といった細々としたタスクもたくさんあります。
こういった細かいタスクは30分〜1時間程度の枠を決めて集中処理してしまいましょう。バラバラとやってしまうと、大事なタスクから集中力を逸らすことなってしまいます。
方法②:ワーキングメモリを解放する
タスク処理に必要な情報を一時的に記憶できる容量を「ワーキングメモリ」と呼びます。既に紹介したように、少ない人は3つの情報しか頭の中に置いておけません。
厄介なことに、他のタスクやプライベートの悩みなどがワーキングメモリに残ってしまうことがあります。そうすると気もそぞろになって、目の前のタスクに集中できなくなります。
シングルタスクで処理するためには、ワーキングメモリは目の前のタスクに集中すべきです。余計な情報からワーキングメモリを解放する方法を紹介します。
2-1:メモを取る
ワーキングメモリのもっとも簡単な解放方法は、メモを取ることです。
例えば作業中に、急に関係ないアイデアが閃いてしまうことがあります。そのナイスなアイデアを覚えておこうとすると、ワーキングメモリの枠を1つ消費してしまいます。
そのアイデアをメモに残しておけば、メモを見返せば即座に思い出せます。だからワーキングメモリから消去してもOKと脳は判断します。
アイデアだけでなく、悩みも、会議で出た意見も、お客さんからの急なお願い事も、いったんメモ帳やメモアプリに書き溜めておきましょう。
2-2:瞑想する
瞑想をすることで、頭の中であれこれ考えが巡ってしまう状況にストップをかけることができます。
ちなみに瞑想というと、「無心になって何も考えない」というイメージがありますが、実はそうではありません。
湧き上がってくる感情を「あ、今〇〇って思ったぞ(あるいは感じたぞ)」と認識し、自分の感情を客観的に観察するのが瞑想です。
5分や10分でも効果があります。職場だとちょっと他人の目が気になるかもしれませんが、場所を見つけてチャレンジしてみましょう。
方法③:働く環境を変える
マルチタスクの誘惑は、あなたの内側からではなく、外側からやってきます。自分の意思に頼ったらまず失敗するので、物理的に誘惑から距離を取る必要があります。
誘惑を遠ざけるには、働く環境を変えるのが効果的です。
3-1:スマホの電源を切る
スマホが鳴ってしまったら最後、画面を開きたくなる誘惑と戦わなくてはなりません。
しかし戦った時点で負け。2,000年以上前に孫氏の兵法で語られているように、戦わずして勝つのが最上の策なのです。
スマホの電源は切りましょう。スマホと言いましたが、集中力を妨げるものは全て机からどけてしまいましょう。机の上には、作業用に必要なものだけあれば良いのです。
なおこのとき、なるべく誘惑に応えるのを面倒くさくするのがコツです。スマホをポケットに入れるだけでは弱い。電源を切って、机にしまって、鍵を閉めてみてはいかがでしょう?
3-2:ブラウザのタブやアプリは閉じる
PCで作業をするとき、よく見るページやよく使うアプリは開きっぱなしになっていることが多いと思います。ですが、これも気が散る原因になります。
資料を作っているのに、ついついメールボックスを見てしまったり、チャットを開いてしまったり。この誘惑に逆らうのは至難の技です。
タスクに集中するときは、関係ないページやアプリは閉じてしまいましょう。また開くのを面倒と思うかもしれませんが、閉じてしまった方が正味の生産性は高いでしょう。
わたしの場合は、PCのアカウントをもう一つ作って作業専用としています。作業専用のアカウントでは、メールやSNSなどの関係ないページは全て閉じています。
会社のPCだとアカウントをもう一つ作るのは難しいかもしれませんが、できる人はメリハリがついてオススメです。
3-3:作業机を離れる
よく「家で仕事できないから、カフェで仕事する」と聞きます。まさにその通りで、気が散るモノが周りにある環境で仕事をするのはとっても難しいです。
気が散る「モノ」もそうですが、声をかけてくる「人」も遠ざけたいところ。理想は机とイスしかない、誰も来ない独房みたいな部屋です(笑)
カフェで仕事をするのも1つの手ですね。日頃から外出が多い人は、わざと長めに予定をブロックしておいて、カフェで仕事をするのも良いでしょう。
外出が難しい人は、会議室を予約してこもって仕事するのも良いですね。勤め先の環境によっては難しいかもしれませんが、なるべく自席を離れる機会を作りましょう。
方法④:「NO」という勇気を持つ
最後にちょっと難易度が高いかもしれませんが、絶大な効果を発揮する方法を紹介します。
それはやるべきではない仕事に「NO」と言うことです。
フリーランスならまだしも、サラリーマンにはそんなの無理だと思うかもしれません。確かに100%は無理ですが、サラリーマンであっても上司に「NO」を言うことは可能です。
4-1:仕事の目的や意義を聞き返す
仕事を頼まれたときは、「その仕事の目的はなんですか?」「ゴールは何ですか?」と問い返しましょう。
その答えが、組織やあなた個人の成果につながらないのであれば、「NO」と言いましょう。それは上司にとってもメリットがないので、やる意味ないですよね?と。
そんな無能な上司いるか?と思うかもしれませんが、普通によくある話です。誰かがやらなきゃいけなくても、筋が通らないならその仕事は引き受けるべきではありません。
もしかしたら「上司に意見するなんてありえない!」と思った人もいるかもしれません。しかしそれは大きな間違いです。
本来は仕事の目的を明確に伝えられない上司は、管理職失格です。目的が分からなければ、指示された方としても力の入れようが分かりませんし、工夫のしようもありません。
4-2:優先順位を問う
あなたのリソースがもう限界でも、上司はそれを知らずに(あるいは知らないフリして)仕事を依頼してくるかもしれません。
その場合は、あなたが今やっている仕事を伝え、「今の仕事を遅らせて良いなら受けられますが、それでも良いでしょうか?」と返しましょう。
まともな上司なら、優先順位をその場で決めるか、他の人に仕事を振り直すかを判断してくれます。もしくは両方の仕事を素早く捌く妙案を示してくれるかもしれません。
「それでもやれ!」と言う上司は「残業しろ!」と言っているのと同じ。さらに上の上司や人事にかけ合いましょう。それでも残業容認のスタンスなら、その会社を去る検討をしましょう。
ただしあなた自身がその仕事をチャンスと捉えていたり、その経験を買ってでもしたいと考えるなら話は別。身体にムチ打って残業するのも良いでしょう。
参考文献
参考文献は、『SINGLE TASK 一点集中術』です。シングルタスクと言えばこの一冊でしょう。
本記事でも大いに参考にさせていただきました。この1冊を読めば、シングルタスクを手に入れるとどれだけ得するかがよく分かります。
そしてマルチタスクの罠を巧妙に避ける方法も詳しく載っています。汎用性の高いビジネス書としてオススメです。
社会人の学びに「この2つ」は絶対外せない!
あらゆる教材の中で、コスパ最強なのが書籍。内容はセミナーやコンサルと遜色ないレベルなのに、なぜか1冊1,000円ほどしかかりません。
それでも数を読もうとすると、チリも積もればで結構な出費に。ハイペースで読んでいくなら、月1万円以上は覚悟しなければなりません…。
しかし現代はありがたいことに、月額で本読み放題のサービスがあります!
外せない❶ Kindle Unlimited
Amazonの電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)」は、月額980円。本1冊分の値段で約200万冊が読み放題になります。
新刊のビジネス書が早々に読み放題になっていることも珍しくありません。個人的には、ラインナップはかなり充実していると思います。
外せない❷ Audible
こちらもAmazonの「Audible(オーディブル)」は、耳で本を聴くサービスです。月額1,500円で約12万冊が聴き放題になります。
Audibleの最大のメリットは、手が塞がっていても耳で聴けること。通勤中や家事をしながら、子供を寝かしつけながらでも学習できます。
冊数はKindle Unlimitedより少ないものの、Kindle Unlimitedにはない良書が聴き放題になっていることも多い。有料の本もありますが、無料の本だけでも十分聴き倒せます。
ちなみにわたしは両方契約しています。シーンで使い分けているのと、両者の蔵書ラインナップが被っていないためです。
どちらも30日間は無料なので、万が一読みたい本がなかった場合は解約してください(30日以内であれば、仮に何冊読んでいても無料です)。
そして読書は、早く始めた人が圧倒的に有利。本は読めば読むほど、複利のように雪だるま式に知識が蓄積されていくからです。
ガンガン読んで、ガンガン知識をつけて周りに差をつけましょう!
とりあえず両方試してみて、それぞれのラインナップをチェックするのがオススメです!