生産性向上

デフォルト・モード・ネットワークで「ひらめく脳」を作るコツ【アイデアが出ない人へ】

仕事で斬新なアイデアを求められているのに、アイデアが湧かずに堂々巡りしてしまう経験って誰にでもありますよね。煮詰まった状態を脳科学の力で打破できるとしたら、知りたくありませんか?

「デフォルト・モード・ネットワーク」状態の脳は、ひらめきが起こりやすいと言われています。

デフォルト・モード・ネットワークとは、意識的な作業をしていないボーッとしているときの脳の状態です。その状態に入るためには、あえてデスクを離れて、リフレッシュするのが効果的です。

アイデアに煮詰まってしまった人は、この記事を読んで、「デフォルト・モード・ネットワーク」を活用しましょう!

「ひらめき」はリラックスしたときに訪れる

近年の脳科学の研究により、デフォルト・モード・ネットワークという言葉が一躍脚光を浴びるようになりました。

デフォルト・モード・ネットワーク状態の脳は、ひらめきを生みやすいと言われています。意図的にこの状態を作ることで、ビジネスや創作活動のパフォーマンスを向上させることができます。

では、どのようにデフォルト・モード・ネットワークの状態を作り出せるのでしょうか?そのヒントは、1000年前から伝わる中国の格言にあります。

1000年前の中国から伝わるアイデアの時間「三上」

欧陽 脩(おうよう しゅう 1007〜1072年)という中国の政治家が、アイデアがひらめく瞬間を「三上」という言葉で表しました。

三上とはすなわち、次の3つの瞬間です。

三上(さんじょう)

  • 馬上(ばじょう):馬に乗っているとき
  • 枕上(ちんじょう):布団に横になっているとき
  • 厠上(しじょう):トイレにいるとき

共通するのは、リラックスしているときです。氏曰く、これらの時間がアイデアが湧くゴールデンタイムなのです。

現代人に当てはめると、

  • 馬上電車に揺られているときや、散歩しているとき
  • 枕上布団に入って眠りにつくまでの時間
  • 厠上トイレ中お風呂に入っているとき

といったシーンが、アイデアをひらめくのに適した時間です。

つまり、机の上で頑張って考えているときよりも、意識せずにいるときの方が、ひらめきを生みやすいということです。

脳のデフォルト・モード・ネットワークとは?

少々小話を挟んでしまいましたが、本題に戻りましょう。「デフォルト・モード・ネットワーク」とは何なのか?を解説していきます。

従来の脳科学では、「作業をする」「話をする」「本を読む」といった、意識的な活動を行うときにのみ脳は活発になると考えられていました。そしてそれ以外の時間は休んでいると。

ところが、近年のワシントン大学医学部 マーカス・レイクル(Marcus E. Raichle)教授の研究により、意識的な活動をしていないときにも脳は働いていることが判明しました。

この無意識下の活動中で、意識下とは異なる脳の状態を「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼びます。

脳が使う1日に消費するエネルギーの配分は、

  • 「話をする」「本を読む」などの意識的な活動:5%
  • 脳細胞の維持、修復:20%
  • 意識的な活動をしていないとき:残り75%

となっています。無意識の活動中に消費される脳のエネルギーは、意識的な活動中の「20倍」に達することもあります。

大雑把に言えば、何も考えておらずボーッとしているときの方が、仕事をしているときの20倍頭を使っているのです。

にわかに信じがたい話ですが、科学的にはそういうことになっています。

デフォルト・モード・ネットワークのメカニズム

何かの作業に集中しているときは、その作業に使う脳の領域だけに、エネルギーを集中させます。何かを凝視するときは、視覚的な領域にエネルギーを集中させるわけです。違和感はありませんね。

一方で、次に何が起きるか分からない状況では、脳の複数領域にエネルギーを費やさなければなりません。そのため、意識的な活動を行っていないときの方が、多くのエネルギーを必要とします。

「デフォルト・モード・ネットワーク」状態の脳は、車のアイドリング状態に例えられます。何か起きたらすぐに思考&行動できるよう、エンジンをかけてスタンバイしている状態なのです。

「脳が意識的に行動しているとき」は、後部帯状回と前頭葉内側の血流が減り、その活動を低下させます。

その一方で、「意識的な活動をしていないとき」は、後部帯状回と前頭葉内側の血流量が増加して、その領域が脳内で最もエネルギー量を消費する状態となります。

この状態を「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼びます。

ボーッとしている脳が「ひらめき」を生む

この「デフォルト・モード・ネットワーク」の状態のとき、脳の複数の領域が活性化している状態になります。

不思議なことに、この状態の脳は、脳内に散らばる「記憶の断片」をつなぎ合わせ、本人が思いもよらない「ひらめき」を生み出していると考えられています。

冒頭の「三上」の話を思い出してみましょう。

三上(さんじょう)

  • 馬上(ばじょう):馬に乗っているとき
  • 枕上(ちんじょう):布団に横になっているとき
  • 厠上(しじょう):トイレにいるとき

いずれも、頭を使わずにボーッとしているときですよね。

1000年前のこの中国の格言が、時を超えて現代の脳科学で明らかになったのは、非常に興味深いですね。というより、昔から残っている格言は、歴史に裏打ちされた至言なんですね。

デフォルト・モード・ネットワークのデメリット「脳疲れ」

「デフォルト・モード・ネットワーク」は、ひらめきの時間という大きなメリットがありますが、デメリットも大きいです。

脳の75%のエネルギーを消費しているということは、それだけ脳を無駄に働かせている時間が長いということです。

脳の集中力は、朝起きたときがMAXで、そのあとは低下し続けます。

「デフォルト・モード・ネットワーク」で脳のエネルギーを浪費すれば、それだけ集中力が下がり、パフォーマンスが落ちてしまうのです。

瞑想でデフォルト・モード・ネットワークをOFFにする

パフォーマンスを上げるためには、脳が不必要に「デフォルト・モード・ネットワーク」状態になるのを止めなければなりません。

そこで有効なのが「瞑想」です。瞑想とは、すなわち「脳の断捨離」です。

デフォルト・モード・ネットワーク時に活発になる後部帯状回と内側前頭前野の活動を抑えることができると言われており、脳のエネルギー浪費を止めることができるのです。

仏教の禅から信仰要素を取り除いた「瞑想」は「マインドフルネス」とも呼ばれています。Google社で取り入れられたことで脚光を浴びました。瞑想は世界中のビジネスパーソンに大人気です。

東洋で生まれた「禅」が、欧米のビジネスパーソンの目に留まり、逆輸入の形で日本人に注目を浴びているのは、面白くもあり、ちょっと悔しい気もしますね。

まとめ:アイデアを出すためにデスクから離れよう!

昔の格言や瞑想のような、眉唾に考えられていた事柄の有効性が、脳科学の発展によって明らかになっているのは興味深いことですね。

「デフォルト・モード・ネットワーク」を機能させるためには、リラックス状態が必要です。「ひらめき」を探すためには、あえてデスクを離れてみましょう。

お昼休みに職場を出て散歩をしたら、思わぬアイデアが生まれるかもしれませんよ?

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