心理学・行動経済学

【あなたも絶対かかっている】プライミング効果とは?実験事例で解説|仕事に役立つ心理学

今日食べるもの、休日の予定、大切な人への誕生日プレゼント。あなたは自分の行動を、本当に自分の意思で決定していると思っていますか?

ひょっとすると、それは「プライミング効果」によって、あなたが動かされた結果かもしれません。

プライミング効果とは、先に見聞きした情報によって、その後の感情や行動が影響を受けてしまう現象です。一言でいうなら「暗示」です。

この記事では次のことがわかります。

  • プライミング効果とは?
  • プライミング効果の実験例
  • プライミング効果を仕事に活かす方法

この記事を読んで、魔法のようなプライミング効果を仕事にも活用していきましょう!

プライミング効果とは?

プライミング効果(priming effect)とは…

先に見聞きした情報によって、その後の感情や行動が影響を受けてしまう現象のことです。

脳は連想が大好きで、見聞きした情報から勝手に別のことを連想し始めます。連想した結果、その後の感情や行動が影響を受けてしまうのです。日本語で言えば「暗示」ですね。

脳科学・心理学・行動経済学で用いられる用語で、マーケティング手法としても非常に有名です。

プライミング効果を体感してみよう

プライミング効果は、言葉で説明するよりも、実際に体験してもらう方がわかりやすいです。

次の単語を見てみてください。

「深夜」「公園」

…どうでしょうか?

ただ単語を見てくださいと言われただけなのに、「物騒」とか「不良」のようなイメージを勝手に持ちませんでしたか?

このようなイメージを持ったあとは、「今日はなるべく暗がりで一人にならないように帰ろう」と思うようになります。

このとき、先に見聞きする情報(「深夜」と「公園」)を「プライマー(または先行刺激)」と呼びます。

一方でプライマーの影響を受ける事柄(「なるべく暗がりで一人にならないように帰ろう」と思う感情)を「ターゲット(または後続刺激)」と呼びます。

直接プライミングと間接プライミング

プライミング効果は次の2種類に大別されます。

2種のプライミング効果

  • 直接プライミング
  • 間接プライミング

それぞれをカンタンな例を見てきましょう。

直接プライミングの例

直接プライミングとは、「プライマー」と「ターゲット」が同じときに起こるプライミング効果のことです。

例えば次の写真を見てみてください。

写真

見ましたね。

それでは、次の問題に答えてください。

問題

Q:「ラ□□ン」の□の空欄を埋めて、単語を作ってください。

第一に思い浮かんだのは、もちろん「ラーメン」ですね。それ以外の単語が思い浮かばなかった人もいると思います。

「ライオン」や「ランタン」といった単語もありますが、きっと出てきません。直前に見たラーメンの写真が頭に残っていて、脳が勝手にラーメンを連想してしまうからです。

間接プライミングの例

間接プライミングとは、「プライマー」と「ターゲット」が同じではないとき起こるプライミング効果のことです。

次のタスクを見てみてください。

タスク

以下の3つの単語を紙に書いてください。面倒だったら心の中でゆっくり唱えてください。

  • 「動物園」
  • 「草原」
  • 「アフリカ」

対応しましたね。

問題

Q:「ラ□□ン」の□の空欄を埋めて、単語を作ってください。

今度は「ライオン」が第一に思い浮かぶと思います。

その単語(「ライオン」)ではなく、その単語を連想させる言葉でもプライミング効果は発揮されます。

プライミング効果の実験事例 3連発

実際にあったプライミング効果の実験事例を3つ紹介します。いずれの例も、ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者ダニエル・カーネマン氏の著書『ファスト&スロー』を参考にしています。

この3つを見れば、無意識のうちに人間がどれだけプライミング効果の影響を受けているかわかります。

事例①:高齢者をイメージする単語を聞いただけで…

心理学者のジョン・バルフらがニューヨーク大学の大学生を対象に行った実験です。

実験の内容

  • 被験者を2つのグループに分け、それぞれに5つの単語を提示する
  • 被験者は提示された5つの単語から、4つを選び短文を作るよう指示される
  • 実験を終えたあとの被験者の行動を観察する

被験者グループの条件

  • グループA:関連性のない5つ単語を提示する
  • グループB:「フロリダ」「忘れっぽい」「はげ」「ごま塩」「しわ」といった高齢者を想起させる単語を提示する

*フロリダはアメリカでは高齢者のイメージがあるそうです

結果は次の通りです。

実験の結果

実験を終えた学生たちは別の部屋に移動させられたが、高齢者を想起させたグループBは、歩くスピードが明らかに遅くなった

高齢者を連想させる言葉を見ただけで、歩く速度が遅くなるとは直感的には信じがたいかもしれません。この実験の結果は、実験内容にちなんで「フロリダ効果」と呼ばれています。

また、このように言葉から連想されるイメージで行動が変わる現象を、総称して「イデオモーター効果」と呼びます。

事例②:投票所の場所で投票結果が変わってしまう

2000年にアリゾナ州で投票に関する調査が行われました。

複数の選挙区で投票結果を調査したところ、投票所が学校であった場合に、そうでない場合よりも学校補助金の増額案に賛成する票が明らかに多かったことが判明しました。

他の実験では、教室やロッカーの写真を見せられただけの被験者でも、同様の結果が確認されています。学校を連想させる写真の有無は、生徒の親かそうでないかの違いよりも大きな影響がありました

これらの結果から、投票というそれなりに意思や信条を持って行う行為でも、プライミング効果の影響が受けてしまうことがわかります。

事例③:写真をはるだけでちゃんとお金を払うように

イギリスのとあるオフィスで行われた実験です。そのオフィスのキッチンには、セルフサービスの紅茶とコーヒーがあります。

スタッフは飲んだ代金を自ら箱に入れる仕組みになっていて、その箱には価格表が貼ってあります。

実験の内容

  • 集金箱の上に写真を貼る
  • 写真は10種類あり、1週間ずつ張り替える
  • 「こちらをじっと見ている目の写真」と「花の写真」が交互に張り替えられる

結果は次の通りです。

実験の結果

「花の写真」の週と比べ、「目の写真」の週の代金の投入率は3倍となった

人に見られていることを連想させる写真を貼っただけで、ちゃんとお金を払うようになりました。あくまでただの写真であって、カメラで監視しているわけではないにも関わらずです。

プライミング効果をビジネスに活かす方法 3選

プライミング効果により、人間の行動はちょっとした仕掛けで、カンタンに操られてしまいます。このエッセンスはビジネスにも応用したいところです。

プライミング効果のビジネス活用例を紹介するので、もし機会があれば実践してみてください。

活用①:メルマガ

マーケティングの古典的な手法にメルマガがあります。メールを開いて読んでもらうために、件名をあれこれ工夫して気を引くのも良いですが、プライミング効果を狙う場合は別のやり方もあります。

メルマガの件名には、「社名」と「商品名」または「商品を想起させる単語」を載せましょう

プライミング効果であれば、受け手に中身を見てもらえなくても効果が期待できます。顧客がその商品を必要とするシーンになったら、メルマガでよく目にしている会社に問い合わせる可能性が高いです。

活用②:営業アンケート

お店に来てくれた人や、営業先の顧客にアンケートを書かせる手法も有効です。

アンケートには次の項目を入れておきましょう。

  • ○○の商品を今後購入する予定がありますか?
    (○○は、売りたい商品名や商品ジャンル)
      
  • 予算感を選択式でチェックしてもらう
    (高めの予算レンジを選択肢に混ぜておく)

事前にアンケートに回答する行為がプライマーになり、その後の商談で購入率UPが期待できます。

露骨に宣伝すると嫌煙されてしまいますが、プライミング効果を狙うときは、その商品を連想させる情報だけでOKです。そのため、悪い印象を持たれずに宣伝ができます。

また、予算感はなるべく高いレンジの選択肢を見せておくと、購入金額を釣り上げる効果が狙えます。(これにはアンカリング効果という別の作用も働いています)

活用③:組織人事の名称

顧客だけでなく、社員や自分自身の業績アップにプライミング効果が応用できます。

部署名は「第1営業部 第1課」のような無機質な名前ではなく、「金融営業部 保険営業グループ」という感じにしましょう。

何も連想できない部署名だとプライミング効果は起きません。

「金融系企業を担当する部のなかで、あなたは保険会社に営業をするグループに所属している」とした方が、メンバーはその業界に精通した営業になるようにプライミングされます。

役職名も同様の効果が期待できます。有望な人には積極的に役職を持たせましょう。「課長」と名刺に書かれている人は、プライミングされて勝手に課長然となっていきます。

まとめ

今回は心理学より「プライミング効果」を紹介しました。

広告はプライミング効果のカタマリですね。何度も広告を見れば、その商品が頭に刷り込まれて、いつの間にか欲しくなってしまいます。

プライミング効果とは…

  • 先に見聞きした情報によって、その後の感情や行動が影響を受けてしまう現象のこと
     
  • 人は自分の意思で行動していると思っているが、多くの場面でプライミングの影響を受けている

プライミング効果のビジネス活用メリット

  • 露骨な宣伝だとイメージを害する危険性があるが、プライミング効果は商品を連想させる情報だけでいいので、印象を下げることなくアピールできる
     
  • 他人だけでなく、自分自身にプライミング効果をかけて業績をあげることもできる

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