心理学・行動経済学

【印象操作】クレショフ効果とは?マーケティング活用方法を解説|映像から生まれた心理学

インターネット通信の大容量化によって、かつてテキスト中心だったネットの世界に、映像コンテンツが爆発的に増えています。

WEB広告や、YouTube動画などで

  • グラフィックデザイン
  • 動画編集
  • アニメーション制作

の裾野が広がっているのも、時代の流れによるものです。

では、映像を使って、ムダなく端的に消費者にイメージを伝えるには、どうすれば良いのでしょうか?

「クレショフ効果」は、モンタージュと呼ばれる複数の映像の組み合わせで、印象を操作する心理効果です。短い時間に訴求しなければならない映像広告とは相性抜群です。

クレショフ効果を広告に活用する例も解説しています。動画編集者やマーケッターは、ぜひチェックしてみて下さい。

「クレショフ効果」は、映像による印象操作

クレショフ効果(Kuleshov effect)とは…

複数の映像を並べられたとき、映像同士に何ら関係性がなくても、無意識にその前後の関係を連想してしまう心理効果のことです。

複数の映像をつなぎ合わせることで新しい意味を作る映画理論に「モンタージュ理論」があります。このモンタージュ理論の検証の最中に発見されたのがクレショフ効果です。

例えば次の画像を順番に見てみてください。

「新聞を読む人は、お金持ちになる」という意味に感じませんでしたか?

このように、クレショフ効果を使った映画やアニメーション、広告によって、知らず知らずのうちに消費者の印象を操作されています。

「クレショフ」は、旧ソ連の映画理論家レフ・クレショフ氏(1899~1970)の人名から来ています。

後ほど紹介するクレショフ氏が行った実験で発見された心理効果なので、「クレショフ効果」と名付けられました。

 

クレショフ効果はプライミング効果の一種

人間の脳は、連想せずにはいられない性質があります。これは脳が自動でそう働いてしまうので、止めることはできません。

例えば、「雨」「走る」という単語をみたら、

勝手に「傘を忘れた人が、突然雨に降られて慌てて走っているシーン」を連想します。

この脳の自動連想システムにより、直前に見聞きした情報が、直後の行動や判断に影響を与えてしまう現象を「プライミング効果」と呼びます。非常に有名な心理学の用語です。

ひとつ試して見ましょう。次のタスクを行ってみてください。

タスク

以下の3つの単語を紙に書いてください。面倒だったら心の中でゆっくり唱えてください。

  • 「動物園」
  • 「草原」
  • 「アフリカ」

対応しましたね。それでは、次の問題に答えてください。

問題

Q:「ラ□□ン」の□の空欄を埋めて、単語を作ってください。

ほとんどの人は、「ライオン」が第一に思い浮かぶと思います。

直前に見た3つの単語に、判断が影響を受けてしまった結果です。ちなみに「ラーメン」「ランタン」といった言葉もありますが、いの一番には出てきません。

「クレショフ効果=映像で起こるプライミング効果」と解釈できます。

≫ 【あなたも絶対かかっている】プライミング効果とは?実験事例で解説

クレショフ効果の実験事例

それではクレショフ効果という名前の由来になった、レフ・クレショフ氏の行った実験(1922年)を見ていきましょう。

実験の内容

  • 観客を3つのグループに分け、各グループに2つの短い映像で構成されたモンタージュを見せる
  • 1つ目の映像はグループによって異なる
  • 2つ目の映像は俳優のイワン・モジューヒンの無表情の映像を映す

 

被験者グループの条件

  • グループAのモンタージュ:スープの入った皿 ⇒ 俳優
  • グループBのモンタージュ:棺に入った遺体 ⇒ 俳優
  • グループCのモンタージュ:横たわる女性 ⇒ 俳優
 

結果は次の通りでした。

実験の結果

  • グループA:俳優に「飢え」の感情を感じた
  • グループB:俳優に「悲観」の感情を感じた
  • グループC:俳優に「欲望」の感情を感じた

関係ない映像をつなげても、人間の脳は勝手に前後の映像を関連づけて意味を解釈することがわかりました。

この手法を使って映画の演出を行うと、望む通りのイメージを観客に持たせることができます。

↓こちらが実際の映像なので、気になる人は見てみて下さい。

クレショフ効果をマーケティングに活用する方法

クレショフ効果は、画像や動画といった映像を使ったマーケティングに活用できます。クレショフ効果を使うことで、顧客が感じる商品の印象を操作することができます。

2つ例を紹介するので、皆さんの扱っている商材をイメージしながら見てみてください。

画像による広告の例:ワイン

ワインの新商品を訴求するための、ポスターやバナー広告、ランディングページを考えてみましょう。

次の3つの画像を見て、それぞれどんなイメージを持つでしょうか?ワインの画像は同じですが、背景が異なっています。

キレイな夜景がバックになっていて、高級レストランからの眺めを彷彿とさせます。重厚感のある高級ワインをイメージさせます。
自宅のダイニングテーブルが背景になっていて、カジュアルな雰囲気があります。何気ない日に、安価に楽しむワインをイメージさせます。
南国のリゾート地が背景になっています。冷やして飲むフルーティーなワインをイメージさせます。

いかがでしょうか?

組み合わせる画像によって、消費者が感じるイメージを操作できることがお分かりいただけたと思います。

動画による広告の例:冷感素材の服

続いては、動画やアニメーションで広告するシーンを考えてみましょう。訴求する商品は、冷感シャツとしています。(そんな商品があるのかは、さておきですが)

次の3コマの連続した絵を見て、どんなイメージを持つでしょうか?

真ん中の画像は、ただワイシャツが並んでいるだけです。しかしながら、この順番で見せると、「暑い日にこのワイシャツを着ると涼しくなる!」というイメージを持たせることができます。

すごく凝った編集や素材を集めなくても、消費者に持ってもらいたいイメージを植え付けることは可能なのです。

まとめ

今回は心理学より「クレショフ効果」を紹介しました。

今後もインターネットの高速化により、映像コンテンツの裾野が増えていくと予想されます。3Dイメージが主力コンテンツになる日も遠くないでしょう。

クレショフ効果が生まれたのは大正時代に遡りますが、テクノロジーの進歩により、現代でさらに活用されそうです。

クレショフ効果とは…

  • 複数の映像を並べられたとき、無意識にその前後の関係を連想してしまう心理効果
  • 画像を組み合わせることで、相手が持つ印象を操作することができる

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