心理学・行動経済学

【絶対にわかる】アフォーダンスの意味を具体例で解説。シグニファイアと何が違う?

「アフォーダンス」は決して一般的な用語ではありませんが、デザインの世界では重要なキーワードの一つです。

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  • 建築デザイン
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は、いずれもユーザー(来訪者・購入者など)のためにあります。ユーザーが迷わず目的を達成できるように導くのがデザインの唯一でもっとも重要な仕事なのです。

そしてユーザーが直感的に使い方を理解できるかどうかは、アフォーダンスにかかっています。

ただデザインの世界で使われる「アフォーダンス」は、本来の意味とは異なった解釈がされています。そこで「シグニファイア」という似たような概念が出てきます。

このアフォーダンスとシグニファイアの違いは、とにかくわかりづらい。一発で理解できる文章に出会ったことがありません。

この記事では、まず「アフォーダンスとは何か?」を、具体例を交えながら解説します。そして、「シグニファイアとは何が違うのか?」を、なるべくわかりやすい言葉で説いてみようと思います。

多少の誤解は恐れず、わかりやすさ重視でいきます。アフォーダンスの意味にイマイチ腹落ちできない人は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

アフォーダンスとは?

まずはわかりにくいことを承知で、お堅い定義から入りましょう。

アフォーダンス(affordance)とは…

環境が、動物に対して与える「意味」のこと。アメリカの知覚心理学者ジェームズ・J・ギブソンによる造語であり、心理学の用語。

さっっっぱりわかりませんね(笑)

「環境=何かしらのモノ」をイメージすると良いでしょう。イスやコップ、机など。WEBサイトも環境に入りますが、ややこしくなるので物理的なモノをイメージしましょう。

「動物=人間」と考えればOKです。ホントは犬でも構わないのですが、ほとんどのケースは人間が対象なので、ここは人間としておきます。

「アフォーダンスとは、モノが人間に与える意味である」ということになりますが、これでもまだ分かりません。説明を続けましょう。

英語の意味から紐解くアフォーダンス

affordanceは、英単語の”afford”から取った造語です。

affordは「与える」という意味の動詞ですが、英語の授業では「〇〇する余裕がある」と習うケースがほとんどでしょう。

団地などにある鉄の柵は、大人の体では通れません。しかし体の小さい子供は、体を横にすれば通れてしまいます。これは「子供には、柵の隙間をすり抜ける余裕がある」ということでもあります。

この鉄の柵は、わたしのような大人には「隙間をすり抜ける」というアフォーダンス(余裕)を与えてくれません。しかし子供にはその余裕を与えています。

アフォーダンスとは、「そのモノと特定の人との関係性の中で、そのモノがその人にどんな余裕を与えているか」ということです。

「余裕」を「可能性」という言葉に置き換えるなら、そのモノが、その人に与えている「行為の可能性」がアフォーダンスです。誤解を恐れず言えば、「アフォーダンス=可能性」と読み替えるとしっくりくるかもしれません。

アフォーダンスが1つしかないケースもあり得ますが、ほとんどのモノは複数のアフォーダンスを持っています。それもかなり大きい数です。

アフォーダンスの具体例で理解を深めよう

抽象的な言葉を並べてもピンとこないので、具体例を使ってアフォーダンスの理解を深めましょう。

  1. イスのアフォーダンス
  2. ストーブのアフォーダンス
  3. 手すりのアフォーダンス

の3つの具体例から、はっきりとしたアフォーダンスのイメージが湧くと思います。

具体例①:イスのアフォーダンス

あなたはイスをどのように使ったことがあるでしょう?思い出してみてください。

もちろんイスに「座る」があります。ですが、それだけじゃないはずです。

わたしは電球を取り替えるときに、イスに「乗る」をよくやります。

まだまだいっぱいあります。

  • 携帯電話や今しがた届いた宅配物など、イスの上に「モノを乗せる」もやりますね。
  • 地べたに座って、イスにパソコンを乗せて「机の代わりにする」もやったことがあります。
  • 乱暴な小学生は、ケンカでイスを「投げて相手にぶつける」もやります(わたしはそんな粗相はしたことないですが、ここではしたことにしておきます)。

もっと挙げられますが、キリがないのでこの辺りにしておきましょう。

ここで出てきた「座る」「乗る」「モノを乗せる」「机の代わりにする」「投げて相手にぶつける」は、イスとわたしの間にあるアフォーダンスです。

トイプードルは、イスの上で「丸くなって寝る」や「餌を乗せて食べる」をするかもしれません。それらはイスとトイプードルの間にあるアフォーダンスです。

具体例②:ストーブのアフォーダンス

ストーブは、熱を発して、寒い部屋にいる人間を温めるものです。

まず1つ目に「自分が温まる」というアフォーダンスがあります。

他には濡れた手袋や靴下を近くに置いて、「濡れたモノを乾かす」というアフォーダンスもあります。

わたしはやったことないですが、ストーブの上にヤカンを置いて、「ヤカンを沸騰させて、その蒸気で加湿する」というアフォーダンスもあります。

視点を広げると、「熱」を持つモノは、熱を利用した様々なアフォーダンスを提供します。真夏の車のボンネットは、「目玉焼きを焼く」というアフォーダンスを与えている、と言えなくもないですね。

具体例③:傾斜のある手すりのアフォーダンス

別の視点からアフォーダンスを考えてみましょう。

手すりは歩くときや階段を登るときに、疲れた人や足の不自由な人が体を支えるために、手を置くところです。

ですがちょうど胸あたりの高さに水平な面があると、多くの人に「モノを置く」というアフォーダンスを与えてしまいます。

手すりにモノを置かれてしまうと、ゴミが増えたり、忘れ物が出たりで、施設の人は仕事が増えてしまいます。しかも本来の手すりの目的ではない用途によってです。

そこでモノが置けないように、手すりの面を丸くして傾斜をつけます。そうすると手は置けるけど、モノは置けない手すりが出来上がります。

この傾斜のある手すりは、利用者に「モノを置く」というアフォーダンスを与えていません。

アフォーダンスの本質的な理解を深める

アフォーダンスを理解すると、アフォーダンスの特徴と言えそうな点がいくつか見えてきます。ちょっとくどいですが、

  1. アフォーダンスの数は増えたり減ったりしない
  2. モノの構造とアフォーダンスの数の関係
  3. 意外な使われ方の裏にアフォーダンスあり

の3点を解説します。

①アフォーダンスの数は増えたり減ったりしない

アフォーダンスは、そのモノが人に与える可能性です。可能性は増えたり減ったりせず、そのモノがある限り一定です(周辺環境が変わらなければの話ですが)。

例えばあなたが仕事中に座っているイス。このイスにはキャスターがついているとします。

ふとした思いつきで、あなたは坂の上にイスを持っていき、イスに乗って勢いよく坂から滑り降りてみました。スカッとした気分になり、とても良い遊びだと感じました。

この場合、あなたが思いついた瞬間に、イスが「坂を滑り降りて遊ぶ」というアフォーダンスを与えるようになったのではありません。その可能性は最初からあったわけです。

人間の側が気づいているかいないかに関わらず、そのモノがそうされる可能性があるのなら、アフォーダンスは初めから存在していたことになります。

アフォーダンスは、人がある使い方に気づいた時点で増えるものではないのです。もちろん、忘れたから減るものでもありません。

②モノの構造とアフォーダンスの数の関係

理屈の上では、シンプルな構造のモノほど多くのアフォーダンスを提供し、複雑な構造のモノほど限られたアフォーダンスを提供します。

イスはシンプルな構造ゆえ、たくさんのアフォーダンスを人間に与えてくれます。ティッシュや輪ゴムや爪楊枝も、シンプルな構造から多くのアフォーダンスを与えてくれます。

一方で複雑な構造のモノは、特定の用途に狙いを澄ました形状をしています。

坦々麺の挽き肉をすくうための穴の空いたスプーン。わたしはあのスプーンを、坦々麺の挽き肉を食べるシーン意外に見たことがありません。

もしかしたら意外な使い方があるのかもしれません。ただ少なくとも、穴の空いていない普通のスプーンよりは、少ないアフォーダンスしか提供していないと考えられます。

③意外な使われ方の裏にアフォーダンスあり

しばしば人は、その製品が本来想定している使い方とは、全く違う使い方をすることがあります。

  • ストーブの上にヤカンを置く
  • 洗濯機の中に(子供が)入る
  • 物干し竿にブラ下がる

は、いずれも想定されていない使い方です。むしろメーカーとしては、危険なのでやって欲しくない使い方でしょう。

ですがメーカー側は想定していなかったとしても、そう使うことができてしまった時点で、その製品は間違った使い方のアフォーダンスを与えているのです。

よくイジメっ子は、「イジメられる奴には、イジメられる理由がある。だからイジメられる奴が悪いんだ」と言います。

この表現を借りると、「間違った使われ方をされる製品は、そう使われるアフォーダンスがある。だからそのアフォーダンスを許したメーカーが悪いんだ」となります。

変な使い方をする人の肩を持つつもりはありませんが、メーカーがその余地を残してしまっているのは事実でしょう。

デザインの世界のアフォーダンスの解釈

デザインの世界に「アフォーダンス」の用語が広まるきっかけになったのは、1988年に出版された1冊の本です。

アメリカの認知科学者ドナルド・ノーマンは、著書『誰のためのデザイン?』で、アフォーダンスを取り上げました。

しかしノーマンはアフォーダンスを、「そのモノがどのように扱われるべきかを、ユーザーが直感的に理解するためのヒントを示すこと」という意味で使いました。

誤用されているアフォーダンスの具体例

よく具体例に挙げられるのは、「ドアの取っ手」です。ドアの取っ手の形状は、そのドアの開け方を示すヒントになります。

  • 「取っ手がある」=「押すか引くでドアが開く」
  • 「平らな板が貼ってある」=「押せばドアが開く」

というヒントになります。

もし押し戸なら、押すための板があった方が迷わなくて良いデザインですね。これがノーマンが解釈したアフォーダンスです。

デザインの世界では、このようなユーザーに使い方のヒントを与えることを「アフォーダンス」と呼んでいます。ですがこれは、ギブソンが定義したアフォーダンスとは別物。

後にノーマンは誤用を認めていて、自身が用いたアフォーダンスの解釈は「知覚されたアフォーダンス」と表現すべきだったと述べています。

そしてノーマンは、「知覚されたアフォーダンス」ではややこしいので、シグニファイア(signifier)という言葉に置き換えようと提唱しました。

このような経緯から、デザインの世界で使われている「アフォーダンス」という用語は、実際には「シグニファイア」の意味で使われているケースが多いのです。

アフォーダンスとシグニファイアはどう違う?

本来の「アフォーダンス」と、デザイン界隈のアフォーダンスの解釈である「シグニファイア」は、具体的にどう違うのか?

人間の「作意」に注目すると、両者の違いが分かります。また「ドア」を例に考えてみましょう。

まず「アフォーダンス」には作意は関係ありません。

ドアには「引く」「押す」「スライドする」「自動で開く」「蹴破って開ける」といった可能性があります。この全てがアフォーダンスです。

そのドアが「押して開けるドア」だったとしても、ドアの前に立った人には、引いたり、蹴破ったりする可能性があります。可能性がある以上、全ての選択肢はアフォーダンスの範疇です。

ですがドアの制作者は、ドアを「押して開けて欲しい」と考えています。

そこで無数にあるアフォーダンスの中から、「押す」のアフォーダンスが選ばれやすくするために、「作意的」にドアノブではなく押し板を取り付けます。

押し板を見た人は、「お、このドアは押して開けるんだな」と理解できます。ここでの「押し板」がシグニファイアです。

ドアメーカーが押し板をつけたことで、そのドアには「押して開ける」のシグニファイアが与えられました。可能性としては激減しましたが、一応「引く」「蹴破る」といったアフォーダンスも依然として残ってはいます。

これがアフォーダンスとシグニファイアの関係です。

もう少しだけ付け加えます。

自然の岩には、「座って休む」や「追ってきた熊から隠れる」といったアフォーダンスがあります。しかし誰の作意にもよらない自然の岩に、シグニファイアはありません。

アフォーダンス理論に見る究極のデザインとは

わたし個人の見解ですが、デザインが究極に求めるべきは、「間違った操作のアフォーダンスをなくすこと」だと考えています。

押し戸と気づかせるために、ドアに押し板をつけるのは、かなり良い「シグニファイア」です。しかし究極に求められるべきは、押す以外に選択肢がないドアではないでしょうか?

間違った選択肢(つまり間違ったアフォーダンス)がある以上、操作を誤るユーザーは出てきてしまいます。間違うユーザーが多ければ、制作者は説明で補完しなければなりません。それはユーザーにも制作者にも負担になります。

しかし間違った操作の可能性がなく、誰がどう見ても正しい操作しかしようがないなら、説明の必要はありません。これが究極の姿です。

以前のUSBケーブルには上下がありました。多くの人はいちいち差込口を見ず、2分の1の確率にかけて差し込みます。間違えるとイライラしながら差し直したものです。

ですが現在主流のUSBケーブルには上下がありません。どちらで差しても正解です。操作ミスがなくなりました。

デザインをするときの視点は、「正しい操作を促す」ではなく、「間違った操作をなくす」に主眼を置くのがより望ましいと言えるでしょう。

スーパーマリオに見る究極のデザイン

秀逸なデザインの例を一つ。世界でもっとも売れた「スーパーマリオブラザーズ」です。

同ゲームの1-1ステージ、一番最初の画面。この画面デザインで伝えたかったのは何でしょう?

Mario出典:任天堂「スーパーマリオブラザーズ」より

答えを先に言ってしまうと、「右に進め」です。

なお本考察はわたしのオリジナルではなく、元任天堂社員が著者である『「ついやってしまう」体験のつくりかた』を参考にしています。

スーパーマリオブラザーズは初めての横スクロールアクションゲームです。初めて触ったプレーヤーは右に進めば良いとは知りません。

先入観のないプレーヤーに、如何にしてゲームの大切なルール「右に進め」を直感的に理解させるか。その答えが画面デザインに現れています。

  • マリオの向き
    :右を向いている。向きを分かりやすくするために、あえて帽子とヒゲを加えている
  • マリオの位置
    :左寄りに立っている。右側は開けていて右に進めそう
  • 後ろの山
    :左側が行き止まりなのを示唆している
  • 雲と草むら
    :右に進むと何かのイベントが起きそうな予感を感じさせる

このデザインから「右に進む」以外の操作をしようと思うでしょうか?

しかもちょっと進むと最初の敵キャラ「クリボー」が現れます。

マリオが横向きなのに対し、クリボーはカニのように横歩きをしていて、正面を向いています。一見不自然に見えるデザインです。

クリボーが横歩きしているのは、プレーヤーに醜悪な顔をはっきり見せて、「敵キャラだ!」と間違いなく認識させるためです。

敵キャラを初めて見たプレーヤーは、「右に進んで正解だった!」と理解できます。

徹底して間違った操作の選択肢を消すデザインが施されていますね。デザインかくあるべしという印象を受けます。

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