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幸福度は情報量と反比例|あの国が幸せな理由と幸せになるためのコツ

あなたは、「今幸せですか?」と言われて、「はい」と答えられますか?日本は世界で見てもかなり恵まれた国に見えますが、それが必ずにも幸せに繋がっていないように思います。

ブータンは世界一幸福な国として知られていますが、その背景には「情報量」が関係しています。情報量が少ないことが幸福度を上げているのです。

「情報量と幸福度は反比例する」という説は、実験や調査でも明らかになっています。ここに我々が幸せになるためのコツが隠されています。

現代の日本人が幸せになるための、具体的な方法も解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

彼の国ブータンと幸福度について

ブータンの国旗。「ブータン」は、現地の言葉で「雷竜の国」の意味

「ブータンは世界一幸せな国」というフレーズは、誰しも一度は聞いたことがあるでしょう。

ブータンは、1976年に当時のブータン国王の提唱で、国民総幸福量(GNH)の測定を始めました。一人一人の国民が幸せかどうかを指標化し、経済の規模よりも幸福度の向上を、国の最重要指標としたのです。

一般的には、一つの国の良し悪しを国内総生産(GDP)や国民総所得(GNI)といった経済の規模で測ります。

ブータンの1人当たりの国民総所得(GNI)は1,920ドルで日本円で20万円前後です(世界銀行,2010年)。

にもかかわらず、国勢調査(2005年)ではブータン国民の約97%が「幸せ」と回答しています。

国民総幸福量(GNH)の考え方

以下は外務省HPからの抜粋した、国民総幸福量(GNH)の考え方です。基本的にはブータン国内だけで使われている指標です。

GNHは,経済成長を重視する姿勢を見直し,伝統的な社会・文化や民意,環境にも配慮した「国民の幸福」の実現を目指す考え方です。

その背景には仏教の価値観があり,環境保護,文化の推進など4本柱のもと,9つの分野にわたり「家族は互いに助け合っているか」「睡眠時間」「植林したか」「医療機関までの距離」など72の指標が策定されています。

国家がGNH追求のために努力することは憲法にも明記され,政策を立案,調整するGNH委員会が重要な役割を担っています。

出典:外務省HP

国民総幸福量(GNH)

ブータンという国の特徴

ブータンは次のような国です。

ブータンの特徴

  • 人口は約80万人(2017年時点)
  • 国土は約38,394平方キロメートルで九州とほぼ同じ大きさ
  • 人口密度は日本の約15分の1
  • 国土の大半は手付かずの自然
  • 国民の6割は農業に従事しており、その多くがほぼ自給自足

ブータンは1971年に国連に加盟する以前は鎖国体制を敷いていました。少し前は旅行者制限もありました。現在でも日本からは直行便がないのと、旅行会社経由でビザ申請をしなければならないので、若干の面倒さはあります。

インターネットは、異国文化の流入により伝統を損なう恐れがあるとして、1999年まで制限されていました。2015年にようやくインターネット普及率50%を超えたということでかなり遅めです。

近年はモバイルインターネットも普及してきており、インドから輸入された廉価なスマートフォンが普及し始めています。

ブータンの幸福度が高い理由

ブータンに限りませんが、外国からは閉鎖的に見えている街でも、中の人は案外幸せそうに暮らしていることがあります。

仮説に過ぎませんが、ブータンのような国は、以下のような側面から幸福度が高くなっている可能性があります。

ブータンの幸福度が高くなった要因の仮説
 
  • インターネットの普及が遅く、多くの選択肢を見る機会がなかった
  • 多くの国民が農業に従事しており、他の職業の選択肢を知る機会少なかった
  • 人口密度が低く、他人と比べる機会が少なかった

この先インターネットが普及し、ブータン国内に海外の情報が大量に流れ込むようになります。この仮説が正しいとすれば、ブータンの幸福度は維持できなくなります。

この仮説の根拠は、「幸福度と情報量が反比例する」という研究結果があるからです。次の章で解説します。

幸福度は情報量と反比例する

心理学者バリー・シュワルツ氏は、著書内で「情報量と幸福度は反比例する」という説を提唱しています。

「情報量=選択肢の数」と捉え、選択肢の数が多ければ多いほど心的負担が増すという仮説です。「選択のパラドックス」とも呼ばれています。

情報量が多い時に起きる心的負担とは、次の3つを指します。

情報が多すぎるときの心的負担
 
  • 選択肢が多すぎると、最適なものを選ぶことが難しくなる。結果として行動が先延ばしになったり、行動すらできなくなったりする。
     
  • 選択できたとしても、「その選択が本当に正しかったのか」疑ったり、「別の選択肢を選んだほうがもっとよかったんじゃないかと」と後悔してしまう。
     
  • 選択肢が多いと、それだけ自分に適したものがあるはずだと期待値が上がってしまう。結果として、現実と期待値の間にギャップが生まれ、満足しづらくなる。
 

ジャムの法則

選択肢の数が多ければ多いほど心的負担が増すことは、「ジャムの法則」で実証されています。

ジャムの法則とは、選択肢が多すぎると、選べなくなってしまう心理現象のことです。スーパーマーケットでのジャムを使った実験からこの名前がついています。

実験の概要は、次の通りです。

実験の内容

  • スーパーでジャムの試食販売をする
  • 1つのグループにはジャムを「6種類」、もう一方にはジャムを「24種類」用意する

実験の結果

  • ジャム「6種類」のグループ:購入率 30%
  • ジャム「24種類」のグループ:購入率 3%
 

24種類もあると、全部は試食できませんよね。いくつか見繕って試食しても、「他にもっと美味しいのがあるかもしれないから、今はやめておこう」という心理が働いてしまいます。

結果として美味しいジャムにありつける幸福を逃してしまうのです。

≫ ジャムの法則の詳細記事はこちら

SNS利用頻度と幸福度も反比例

2016年、ピッツバーグ大学医学部の研究チームは、SNSが精神に及ぼす影響について調査を行いました。

調査の結果

  • SNSの利用頻度が低い人と比べ、頻度が高い人がうつ病になるリスクは2.7倍になる
  • 1日中SNSを利用していると答えた人は、利用時間が短い人と比べ、うつ病になるリスクが1.7倍になる

他人のSNSは、言わば「自分が取らなかった人生の選択肢」です。

これをたくさん見ることで、

今の自分の人生がベストではない。もっと幸せな人生があったかもしれないのに、実際の自分はそうなっていない。

と悲観してしまうのでしょう。

まとめ:日本に暮らす人々が幸せになるためのコツ

今回は「幸福度と情報量が反比例する」という説から、ブータンの幸福度が高い理由を考察しました。

次のことに気をつけると、今よりも少し幸せになれるのではないでしょうか。

SNSはほどほどに

もしやるとしても、決して他人と自分を比較しないこと

交友関係を多く持ちすぎない

人脈自慢をする人がたまにいますが、本当に大事な人はそう多くないはず。優先度が低い他人に時間を費やすくらいなら、自分自身ともっと向き合いましょう

趣味で集めているもの以外は持ち物を減らす

服・家電・食べ物、あえて選択肢を絞りましょう

他人と比較する目標設定は避ける

「あいつに勝ちたい!」という感情が、モチベーション向上に繋がることは確かにあります

しかしながら、勝っても上には上がいて、いつまでたっても幸福にはなれません

もし大変な努力で頂点にたどり着いても、他人に勝つことを目標にしていては、その先に待っているのは「虚無」でしかありません

いずれも、「ミニマリズム」に通じる考え方です。ミニマリズムは、余計なものを捨てた方が幸せになるという考え方です。ものが豊富にある現代においては、色物のように感じる人もいます。

しかしながら、心理学の観点から、選択肢を絞る「ミニマリズム」の考え方は合理的と言えます。